小児科 すこやかアレルギークリニック

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ω5グリアジン
2011年03月02日 更新

昨日、当院での「食物負荷試験」の再開のアナウンスをしました。

待ってましたと言わんばかりに、電話で予約を頂いているようです。インフルエンザが流行中は、負荷試験を自粛せざるを得なかったので、ようやくいつもの診療スタイルに戻れます。

ちょうど年度末で、食物アレルギーのアレルギー診断書の希望が増えます。負荷試験をしたくてもできないのは、辛いものがありました。アレルギーの専門病院と張り合うつもりなんてありませんが、季節を問わずコンスタントに負荷試験をできるのは、やはりうらやましいと感じていました。

開業医は、体がひとつしかなく、インフルエンザ流行期は診察して、必要であればインフルエンザの検査をして、その結果を説明します。ひとりを2度診察室に呼び入れて対応しますので、2倍の労力となります。当院もこだわっていますので、負荷試験をやっていない当院は「クリープを入れないコーヒー」のようだと感じていました(笑)。

先日、小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシーを考えている患者さんに、アレルギー検査をしようということになりました。

専門医の間では広く知られていますが、「ω5グリアジン」という検査項目があります。「何、それ?」とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、小麦に関する検査項目です。

以前は、小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシーの際に、通常検査に用いられる「小麦」の項目よりも、「ω5グリアジン」の方が有用性が高いと言われています。

「それも調べましょう」ということになりました。当院は電子カルテを採用していますので、検査のオーダーは電子カルテを通して行っています。比較的最近になって、ようやく検査できるようになったので、検査会社にω5グリアジンの検査の入力の仕方を問い合わせてみました。

そうしたら検査会社の方でも、地方になるとそのことを認識していない様子でした。「何ですか、それ」みたいな感じで…(汗)。周囲で誰も調べていないから、認知も進んでいなかったのでしょう。結局、今回のケースではω5グリアジンは陰性でした。だからと言って診断が違うとは言えず、検査だけでは判断が難しいと言えるようです。

このω5グリアジン、食物依存性運動誘発アナフィラキシーで注目されたと認識していますが、通常の小麦アレルギーでも有用という報告がなされています。当院も小麦が食べられずに困っている患者さんも少なくありませんので、今後はこの項目についても検査をやっていき、自分でその有用性を判断していこうと思っています。

その小麦アレルギーですが、検査項目は増えても、実際に病気があると相当辛いものでしょう。

食物アレルギーは卵やミルクが頻度が高く、これらにアレルギーがあれば、それを原材料表示をもとに除去することになりますが、小麦アレルギーはそれに加えて合併していることも多く、卵や乳製品を除去した上で、小麦も除去することになります。

小麦は、うどんやラーメン、スパゲッティ、パンの材料なので、主食がご飯しか選べなくなります。しかも、クッキーやビスケット、ケーキ、カステラも難しいとなると、お菓子を食べたい年頃の子どもだとせんべいくらいでしょうか。相当、我慢を強いられると思います。食物アレルギーはないに越したことはありませんが、小麦アレルギーの有無は食生活に大きな差をもたらすと思っています。

食物アレルギーの患者さんを診ると、1品でも多くの食品を食べさせてあげたいと願います。先程述べたように、小麦アレルギーの場合はいかんともし難い、というのが現状です。それでも何とかと思えば、やりようはあると思っています。

まず、子どもは麺類が好きだと思います。ただ、小麦アレルギーだと小麦を使った麺類は使うことができません。となると、ヒエやアワを使った麺なら使える可能性があります。また、小麦のアレルゲンを95%除去したクッキーやクラッカーもあります。当院で重症な小麦アレルギーのお子さんに負荷してみたら、アレルギー症状が誘発されてしまいましたが、それ程重度でなければ食べられるようです。

ただ、重度なお子さんでも、せんべいとは異なる食感を気に入ったらしく、「また、食べたい」と言ってくれました。また挑戦したいと思っています。

このように小麦アレルギーがあると、患者さんの食生活のQOL(生活の質)は大きく低下します。小麦アレルギーはアレルギー検査値が高くても食べられる可能性はあります。私の知っているデータでは、小麦がクラス6という最高値であっても、うどんを4分の1の子は食べられたというものです。クラス2程度なら除去する必要がないくらいのお子さんが大勢出てきます。

もし小麦のアレルギー検査が高いというだけの理由で、あらゆる小麦製品を除去するように主治医から言われているようであれば、是非とも相談して下さい。専門でない先生は往々にしてQOLよりも、何も起きない方を優先する傾向にあります。もしご自分のお子さんがそうなら、耐えられるでしょうか?。多分、音を上げてしまうでしょう。

ω5グリアジンが通常の小麦アレルギーにどれだけ有効か、調べられるようになった今、考えながら検査をやっていこうと思っていますが、やはり検査結果よりは、実際に食べられるかどうかということが重要です。小麦の無駄な除去を指示され、食生活でQOLを大きく下げている患者さんは少なくないのだろうと思っています。是非ともご相談頂きたいと思っています。