3月になりました。ここ最近、食物アレルギーの診断書を持ってこられる患者さんが増えました。
当院はアレルギー体質の強いお子さんが多く受診されており、ぜんそくやアトピー性皮膚炎のお子さんが多いのですが、と同時に食物アレルギーを合併していたりします。
アレルギー検査の結果のみで卵アレルギー、ミルクアレルギーと診断されており、市内には「2歳まで食べるな」と指導している医院さんもあるようです。
この文章を読んで、食物アレルギーに知識のある方は「あっ、間違っている」と分かると思います。
何故なら、アレルギー検査が高くても、それを含むものは一切食べられないかと言われると、そうではない可能性が極めて高いからです。そもそも、検査が高くても、食べて何ともなければ、誰が困るのでしょうか?。見方によっては、「検査した方が悪い」とも言えます。
以前、こんなことがありました。あるお子さんが給食後に強いアレルギー症状を起こしました。あるアレルギーが専門でない医院さんを受診したそうですが、給食のメニューを聞き出し、その日に出た食材を選んでアレルギー検査をしました。そうしたら、タケノコとモモがクラス2だったそうです。何の関連性も確認せずに、アレルギー診断書にタケノコとモモを除去するように記載したそうです。
敢えて言いますが、新潟の食物アレルギーのレベルを表していると言えます。このお子さんは、普段からタケノコやモモは食べているからです。医師からの診断書ということで、学校ではタケノコとモモを一生懸命除去していました。ところが、少し前にこのお子さんが強いアレルギー症状を起こし、救急車で当院に搬送されました。
学校の先生や栄養士の方はさぞかし驚かれたことでしょう。(元)主治医の言われた通りの除去を一生懸命にやっていたからです。実は、タケノコやモモは関係なく、他に原因がありました。というか、親御さんが、いつもタケノコやモモを与えていた訳ですから、診断が違うことは薄々気付いておられました。
申し訳ないですが、こういう“一方通行”な診断を地元からなくしたいと思っています。アレルギー検査の結果を参考にするとしても、親御さんと「日頃から食べて症状が出るか出ないか」を確認していれば、こんな診断書にはならなかったはずです。普段食べて何ともないものを、「食べるな」と指導されるのは苦痛以外の何物でもないはずです。
このお子さんは、アナフィラキシーという強いアレルギー症状を起こしており、親御さんと綿密な打ち合わせをすべきでした。一生懸命考えて分からなければ、専門医に紹介すべきだったと思います。
ちなみにこのお子さんは、小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシーと考えています。次回の症状誘発時に備えて、アナフィラキシー改善薬であるエピペンを処方しています。今後、症状が出てしまう可能性もない訳ではありませんが、症状としては典型的であり、専門医とそうでない医師の差が最も現れやすい部分でもあります。
もし紹介状を書いてもらっていたら、そう診断した根拠などを書き記すことができるのですが、紹介がなかったため、また似たような症状を持ったお子さんが来たら、同じように診断をされるのかと思うと心が傷みます。
また「2歳まで」という指導も、根拠のない話です。もしかしたら、医学書には「2歳頃に軽快していくことが多い」と書いてあるのかもしれません。それを“根拠”としているのなら、「ちょっと待った」です。
当院には、小学校になっても微量の卵や乳製品でアレルギー症状を起こしてしまう患者さんがいます。「2歳になっても治っていない」のです。一方、1歳のうちに卵焼きや牛乳を摂取できるお子さんもいます。「2歳まで」除去する医師にかかっていたら、1年なり無駄に除去を続けなければなりません。
専門医でなければ、何も起きないようにオーバーに除去するように指示していることが多いと思います。当然、医師は何も起きませんから、何ら責任を負わずに済みます。仮に1年間としても、その間に1日3食の食事を摂り、おやつも食べることでしょう。ちょっと出かけたりすれば、外食もします。
外食はスーパーで買う食品と違い、卵やミルクを含むかどうかは、表示しなくていい決まりになっています。仮に食べて症状を起こせば、「自己責任」となってしまいます。親御さんとしては、それは困るので楽しいはずの外出さえ、億劫になってしまっている場合もあります。子どもが小さければ、何にでも興味を持ち、口にしてしまう年頃のため、誤食に1日中目を光らせていなければなりません。365日それを続けるのは、至難の業でしょう。もちろん、重症な場合は365×何年もということになります。
患者さんに対し、思いやりの気持ちがあり、更に食物アレルギーに理解があれば、安易に「2歳まで」という言い方はできないはずです。
2歳になったら、どういう対応をするかと言えば、多分「家で少しずつ食べさせてみなさい」と言われることがほとんどだと思います。「強いアレルギー症状を起こすかもしれないから、食べないように」と指導しておいて、今度は手のひらを返したように「少しずつ食べさせてみなさい」と言うのは、明らかにおかしな対応です。
家で食べさせて、「具合が悪ければ飛んで来なさい」と言うのは、私に言わせれば責任転嫁以外の何物でもありません。患者さんは「ここ(医院)で食べちゃいけませんか?」と言うべきでしょう。私だって食べられるかどうか断言できないので、「食物負荷試験」という形で医院で食べて頂いています。患者さんは素人ですから、プロに医療費というお金を出して「教えて下さい」と受診しています。そんな患者さんに責任転嫁なんてすべきではありません。
昨日の話ではないですが、名の通った医院さんでもこんなことが上越市に限らず、全国各地で行われており、患者さんは「それが当たり前」と思っています。専門医か専門医でないかで、診断書通りに除去していて症状を起こしたり、不必要な除去を強いられたりと、大きな差が出るのが食物アレルギーだと思っています。
私は新潟県に正しい食物アレルギーの医療を普及させようと、特に開院以来、多くのエネルギーを注いできました。食物アレルギーは乳幼児で頻度が高いため、開業の先生のところに多く集まっているものと思われます。私自身は得意分野を活かして、地域のために同業の先生と協力的にやっていきたいと思っています。しかし、患者さんの方で「2歳まで除去するように言われましたが、本当でしょうか?」と相談に来られると、「専門医の場合は、負荷試験をして、できるだけ早く食べさせるという方針をとっています」と言うしかないのです。それで尚更に紹介がないのだとしたら、どうしたらいいのでしょうか?。
私が福岡の専門病院で学んできた技術は、地域に還元すべきだと思っています。決して、患者集め、経営とは考えていません。食べられるものを「食べてはいけない」と指導されていると、「オレが何とかしなければ」と思ってしまいます。
いろいろと書いてしまいましたが、3月7日からインフルエンザ流行につき一時休止していた「食物負荷試験」を再開したいと思っています。待って下さっていた患者さんも少なくないと思います。受けたことのない方も、専門医が介することで一気に食材が広がるということもありますので、相談して下さればと思います。
年度末ということで、食物アレルギーの診断書の提出を求められる時期でもあります。試験自体は半日の日には行わない方針ですので、月、火、木、金曜に行います。医院の方へお電話頂ければと思っています。


