小児科 すこやかアレルギークリニック

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同じじゃない
2011年02月08日 更新

新潟には食物アレルギーの専門医が非常に少ないため、当院が力を入れざるを得ない、というのが現状です。

しかし、ぜんそくも“風邪”や“マイコプラズマ”などと誤って診断されていることも少なくなく、アトピー性皮膚炎も診断すら正しくないケースも多々見ています。どれも手を抜くことなんてできません。

各病気に対する診断法や治療法を明記した「ガイドライン」が普及してきて、ぜんそくに関してはアレルギー専門医でなくても、明らかなぜんそくで重めのお子さんは吸入ステロイドなど、それなりの治療が行われるようになってきています。

ただ、以前も書きましたが、当院で診ているぜんそくのお子さんが、正月に実家に帰った時に、風邪をきっかけにゼーゼー言ってしまい、近くの小児科を受診した際に、いきなり吸入ステロイドが大した説明もなく処方されたと聞いて、驚きました。吸入ステロイドは、たまたま発作を起こした時に使う薬ではないからです。

昨日、咳長引いても軽んじられている印象が強いと書きました。ぜんそくは、慢性の病気なので患者さんとの信頼関係が最も重要です。患者さんもそれから数日後にこちらに戻って来られましたが、その薬は使わなかったそうです。

「ぜんそくなら、近頃はこの薬を処方しておけばいい」と思ったのでしょうが、そもそも小さい子が発作で苦しい時に上手く吸えないと思います。日頃から診ている私にとっては、本当に必要かどうかは疑問のある処方であり、現在、その薬は使わずに調子のいい状態が続いています。

子どものぜんそくの最大の治療目標は、「大人に持ち越さない」ということでしょう。5~6割は治ると言われていますが、その残りは治らないということを表します。ただし、軽症なら治る可能性が高く、重症なら治りづらいのは事実です。

「ぜんそく=吸入ステロイド」という認識が一般小児科医にも広まりつつあり、これは内科の分野も同様です。呼吸器が専門でない内科の先生が、ぜんそくを疑い、吸入ステロイドを出すケースも多いと思います。

ある意味で正しい反面、正しくないのではないかという印象を持っています。一部では過剰に処方されていると考えています。「これを出しておけば間違いない、治るだろう」とお思いだと思いますが、外国の論文では吸入ステロイドを使って治療を開始したら、症状が改善したが、治療を止めたら症状が再燃した、という報告もあります。専門医の間では、現時点では吸入ステロイドは、ぜんそくの症状を軽減させるが、治癒させるものではない、というのが共通の認識です。その辺を分かって処方するのと、そうでないのでは、大きな差になります。

専門医もぜんそくが軽くないと分かれば、フルタイドなどの吸入ステロイド薬を処方するでしょう。一般小児科の先生も処方すれば、結果としては“同じ”ことになります。

しかし、考えていることは全く違うと思います。専門医は本当に必要と考えて処方しているし、上手に治療しないと治せないと考え、調子が良くても良くなくても、毎日継続して吸入するように指導すると思います。その辺を徹底しないと、患者さんはちょっと調子がいいとすぐに止めてしまいます。それは医師の説明不足に起因していると考えています。ぜんそくは慢性疾患なのに、急性疾患と勘違いし、「ちょっと風邪がこじれた」くらいに思っている方が多いと思います。

私の診ている患者さんも一生懸命説明しているつもりでも、じきに止めてしまう患者さんもいらっしゃいます。私としては本当に必要な人にしか処方していないので、継続的に治療しなければ意味がないことを理解して頂く努力をその都度しています。自分の処方に責任を持っているからこそ、そうしています。ぜんそく=吸入ステロイドといった安易な発想で処方はしていないし、患者さんの将来を見据えているつもりです。

中には患者さんが止めても、とりあえず呼吸苦もないようだし、「まあ、いいや」と注意もしない医師もいるでしょう。しかし、治った訳ではないので、また風邪などを契機に発作を起こします。それでは意味がないのです。必要と判断された患者さんには、もっとお節介を焼くべきだと思うのです。

アトピーは過小診断、過小治療が多く、食物アレルギーはアレルギー検査は食べられる、食べられないの判断には最終的には役に立ちません。そこで「食物負荷試験」を行うべきなのですが、それを薦める医師は極めて少なく、これらの病気は専門医と一般医の間では方針が大きく異なります。

ぜんそくに関しては、吸入ステロイドを出すという点では、専門医と一般医は“同じ”なのです。ただ、それは表面上であり、頭の中で考えていることは「同じじゃない」のです。

重めのぜんそくの患者さんは、専門医が診るべきというのが私の持論です。成人ぜんそくに至る頻度もそれなりにあるので、専門医が診ても治せないケースがあるのも事実です。しかし、同じ処方でも、処方した責任や治療過程が大きく違うため、それが治癒率に影響してくるかもしれません。その違いをご理解頂きたいと思っています。