小児科医は、乳幼児を相手にすることが多く、怖がらせてはいけません。
泣くと、仕事ができなくなります。つまり、聴診で肺の異常音を聴き逃さないようにしていますが、泣き声が“騒音”になってしまって、聴くのが難しくなります。泣かせないがために、つい、赤ちゃん言葉で話しかけてしまう小児科医も多いかと思います。
診察室に入ってくるやいなや、「チックンしない?」と何度も何度も繰り返すお子さんもいます。「しないよ」と言っても、疑心暗鬼になっているらしく、5回くらい「チックンしない?」を連発する子もいます。
当院は、必要のない採血や点滴をしないようにしています。それが浸透してきたのか、お母さんが「すこやか(当院のこと)に行くよ」というと、「痛くないところね。だったら行く。」と言ってくれるお子さんもいるようです。
ちなみに、当院は診察室に入ると、直進したところに診察室の椅子があります。そこに座って聴診をすることになります。入った右手にベットがあり、そこはお腹を触るところです。しかし、いつの間にかベットの上は、アンパンマンや仮面ライダー、プリキュアなどのおもちゃやぬいぐるみがベットの上にところ狭しと置いてあります。
最新のおもちゃをチェックしており、来週から始まる戦隊ものの「ゴーカイジャー」や「スイートプリキュア」の載った本も用意しています。「仮面ライダーオーズ」のメダルを入れて遊ぶ剣も置いてあります。今年の患者さんから頂いた年賀状に「あたらしいおもちゃをよろしく」と書いてありました(笑)。
それを楽しみにしてくれている子ども達も多いため、こちらも気合いが入ります。それはそれでいいのですが、たいていのお子さんが、診察室に入ると“右折”してしまい、おもちゃで遊びだします。仕事になりません(汗)。
おもちゃに注目させて、静かにしているところで胸の音を聞いたりしていますが、一部のお子さんはベットの方に行きたがり、落ち着いて診察できないこともあります。まさに想定外の行動です。
診察室に入ってくると、小さなお子さんは「この人は敵か味方か」なんて顔をしているので、「モシモシできるひと~?」と話しかけると「は~い」と答えてくれ、診察がスムーズに行くことが多いようです。
以前、休日夜間診療所に診療に行った際に、大人の患者さんについ「モシモシできるひと~?」と言ってしまったらしいです。あとで聞いて、汗が出てきました。
おもちゃが多いと、普通はそれこそ「仕事にならない」と思うでしょうが、メリットはあります。親御さんに説明している時に、お子さんが飽きずに、静かにしていることです。
患者さんがこれまで受けてきた説明や方針が全く変わることも少なくありません。いつも言っているように、ぜんそくを“風邪”、“マイコプラズマ”、アトピーを“乳児湿疹”、“乾燥肌”と診断されていたり、アレルギー検査だけで食べられる・食べられないの判断をされており、分かりやすく説明しないと患者さんが混乱します。
慢性の病気は、患者さんにそのことをしっかり認識して頂くことがスタートだと思っています。ぜんそくを“風邪”と説明されてきた患者さんは、咳が治まれば治療を中止していいものだと考えています。少し重い場合は、継続的な治療が必要になりますので、病気に関する誤った認識を取り払う必要があります。
いまだに20~30分説明にかかってしまうこともあります。低年齢のお子さんは、その間大人しくしているなんて相当困難だと思いますので、ベット上のおもちゃは大活躍してくれます。ただ、おもちゃの動作音がにぎやかだったりすると、ちょっとうるさいなと思うこともありますが…。
アレルギーなどの慢性疾患は、患者教育が大切です。当院の診療スタイルは「あり」なんだと思っています。症状が良くならずに困っているお子さんは、是非遊びにきて頂きたいと思っています。


