先日、アレルギーではないのですが、皮膚の湿疹が広がってきたと当院を受診されました。
親御さんの話によると、2~3週間前にとびひのような湿疹が出たため、皮膚科に行っていたそうです。抗生剤の塗り薬と内服まで出してもらっていたそうですが良くならず、かえってとびひとは異なる別の湿疹が広がってきたそうです。診断名を告げずに「強い薬を出す」と言われたため、不信感を持ち、当院を受診されたという格好です。
病気は何でも診断をつけてから、その病気に見合った治療をすべきです。当たり前のことですが、診断できない医者に治療はできない、と言っても過言ではないと思います。当院に「咳が止まらない」、「湿疹が良くならない」と言って受診される患者さんは、ぜんそくやアトピー性皮膚炎が見逃されています。もちろん、診断が間違っていますので、適切に治療できるはずはないのです。
親御さんは、「有名だったから行ってみた」とおっしゃっていました。正直、“有名”って何だろう?って思います。いわゆる有名であろう医院さんに行っていても、アトピーが見逃されていたり、小児科でもゼーゼー繰り返していても、ぜんそくとは診断されておらず、患者さんの方が「ぜんそくに違いない」と見切りをつけて当院を受診されることも少なくないのが現状です。「研修医だって分かるだろう」ってケースが見逃されていることもあります。
ちなみに、冒頭の患者さんはアトピーではありませんでした。ステロイド軟膏は大抵の湿疹には効果があると思います。この患者さんにも使わせて頂ければ、症状は軽快するだろうと思いました。しかし、今回の親御さんの期待に応えるためには、キチンと病名を付けることだと理解しています。
正直言って、地元で3年も診療を続けていると、皮膚科ならどの先生がキチンと診療されているか、小児科もどの医院の先生が信頼できるかは分かっているつもりです。今回は、キチンと診断をつけてくれそうな皮膚科の先生に紹介状を書くことにしました。こんなところで自分の勉強不足を思い知らされるし、やはり悔しく思います。しかし、紹介状を書けば答を書いた返事が頂けるので、二度と同じ失敗はしなくなると思っています。
診断も告げずに、ステロイドを出す医師もいます。やや極端に言えば、詐欺まがいではないかと思います。ステロイドに不安を感じている患者さんはいまだに少なからずいらっしゃいます。患者さんが思う程、ステロイドは副作用の出る薬ではないのですが、本来なら診断をつけ、ステロイドを使う根拠を示し、副作用についても説明した上で処方すべきだと思っています。地元では、こっそりステロイドが使われているというやり方が結構と行われているのです。こういうやり方は患者さんに対する侮辱ではないかと思っています。
いわゆる「おいしい店」情報にしても、行ってみたけれどおいしいとは感じないお店も存在することは、ほとんどの方が経験されているはずです。もともとおいしくないけれど、とにかくメディアで宣伝しているので名が知れているという場合や、最初は真面目にやっていたけれど、客が増えるにつれ手を抜くようになったという場合もあるでしょう。一方、あまり知られていないけれど、真面目に作っていておいしい店もあるでしょう。
同じように、医療機関も有名だから腕がいいとか、キチンと症状が改善するかと言えば、必ずしもそうではないことが理解できると思います。
他科のことはよく分かりませんが、皮膚科の先生も皮膚ガンが専門で、同じ皮膚の病気ではありますが、アトピー性皮膚炎は詳しくない医師もいることでしょう。呼吸器内科の先生でも、肺ガンが専門で、ぜんそくはあまり力を入れていない先生がいるという話を耳にしたことがあります。
有名は有名でも、その特定の病気で有名ならいいのですが、別の部分で有名な場合は、本当に適切なことをやられているのか、場合によっては確かめてみる必要があると思います。何度も通院しても良くならなければ、尚更「おかしいんじゃないか」と考えることも大切ではないかと思うのです。
小児科は分野が広いので、子どものことなら何でも対応できるという医師は存在しません。医師は「分かりません。ごめんなさい。」とはまず言いませんので、親御さんはお子さんの病気で心配なことがあれば、質問してみて納得のいく回答が得られなければ、別の医師に相談するセカンドオピニオンを心掛けなければならないと思っています。
この場で「ぜんそくなのに“風邪”と診断されている」、「アトピーなのに“乳児湿疹”と言われている」、「症状が良くなっていないのに同じ薬を出し続ける」、「説明もせず、皮膚の病気にステロイドを処方している」、「医院の損になるからRSウィルス(ノロウィルス)を調べない」などいろんな問題を指摘しています。これがすべて同一の医療機関だったらどう思いますか?。
私は当院に来られる患者さんに最近よく言っていることがあります。「ある程度、親御さんも病気について勉強しないと自分の子どもを守れない」と伝えています。大抵の親御さんが「小児科医なら誰でも同じ」、「(かかりつけの)私の先生が一番」とお思いでしょうが、小児科はアレルギーや神経、腎臓、循環器、内分泌などと細分化されており、医師が替われば指導も全く変わってしまうことも少なくありません。
「有名だから」と信用し過ぎも、場合によってはうまくいかないケースもあるのだろうと思っています。こういう問題提起が、患者さん達が「医療の質」を考えるよいきっかけになってくれればいいなと思っています。


