小児科 すこやかアレルギークリニック

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ピーナッツがクラス3
2010年11月04日 更新

開業してみて分かったのですが、世の中にはいろんな医師がいます。

政治家や弁護士のように「先生」と言われる職業なだけに、「医師」=「信頼できる」というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、もし医師がキチンと勉強してレベルの高い診療をやっていれば、どこの医院や病院にかかっても、同じような医療になるはずです。ところが、通っても一向に良くならず、医者を替えたという話はよく聞きます。つまり、医者の間にはレベルの差があることを表しています。

医療が細分化してくると、専門外のことはよく分からなかったりします。敢えて言いますが、“知ったかぶり”をする医師も少なくないと思います。逆に、「分かりません」と言ってくれた方が、人としても信頼できると思います。

私の場合、ウソはつけないので、分からない時は「分からない」と言っています。治療も何も分からなければ、分かりそうな先生のところを受診するように言っていますし、診断名はつかなくても、大したことはなく様子をみてよさそうなら、その旨を伝えています。時々ではありますが「分かりません」と正直に言っていても、信頼して通って下さる患者さんは少なくありません。

私は「分からないことは分からない」と言える医師が多くなるといいなと思っています。いつも言っているように、ぜんそくを“風邪”、アトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”と診断されて、何度も通院しても良くならないと、患者さんの方から愛想をつかして医師を替えることが多いと思います。「治療しても良くならないから、専門の先生のところに行ってみて下さい」と言ってくれれば、患者さんは多いに助かるのにと常々思っています。残念ながら、そういう感じで当院への受診を薦められるのは開業医ではなく、病院の先生だったりします。

以前もこの場で触れましたが、蕁麻疹が出たため、ある小児科を受診したら、アレルギー検査をしたそうです。ピーナッツがクラス3で陽性だったため、「蕁麻疹の原因が分かりました。ピーナッツでした。」と言われたそうです。

その説明に納得いかずに、当院に相談に来られたのです。なぜなら、ピーナッツバターの付いたパンはかなり頻回に食べていたからです。本来、そういう相談は、検査結果を説明された時にするものだと思います。ただ、「聞きづらかった」とか「聞く前に診察室を出された」とかそういう話をよく聞きます。疑問に思っていることを相談できないのに、かかりつけ医って言えるだろうか?と思ってしまいます。

とにもかくにも、キチンと答えてくれるだろうと期待されて当院を受診された訳です。そういう話を聞くと、尚更おかしな対応はできません。もちろん、そんな対応はしていませんが…。

日頃からピーナッツバターを食べている子が、ピーナッツで蕁麻疹が起きるものだろうか?と誰でも考えます。実際、素人であるはずの親御さんもそこが腑に落ちな買った訳で、医師もおかしいと思わないのは不思議です。

ピーナッツという強めのアレルギー症状を起こすアレルゲンがクラス3というそこそこ高い値だと、ピーナッツが原因と決めつけたい気持ちも分からなくはありません。つまり、もしかしたら、量の問題である可能性もあります。日頃食べているピーナッツバターよりも多めに食べたがために、症状が出てしまったということです。

しかし、たまたま検査が陽性であって、ピーナッツが犯人ではないという可能性もあります。冷静に考えれば、この可能性もかなり大きいと考えるべきでしょう。ましてや、お子さんが好きでよく食べていたピーナッツバターを「止めるように」と言われては、親としては切ないはずです。

ここは「食物負荷試験」の適応になるのですが、医師の方からそんな検査の存在さえも教えられていませんでした。私が「食物負荷試験」をやっているからなのかもしれませんが、伝えられるべき真実を伝えられないのは、“情報操作”ではないかと思ってしまうのです。

ピーナッツでアナフィラキシーを起こしたお子さんは何人も当院で診ています。アメリカで年間50~100人がピーナッツによるアナフィラキシーショックで死亡しているという話もあり、確かに恐いアレルゲンだと思います。しかし、真実を求めて相談された私が「恐いから食べさせられない」と言ってしまったら、患者さんは一生ピーナッツを口にしないかもしれません。「食べてはダメ」というのは簡単ですが、好きで食べていたお子さんに検査結果だけでそう言うのは、無責任だろうと思うのです。シロクロつけてあげるのがプロだろうと思いました。

先日、ピーナッツで「食物負荷試験」を行いました。少量から食べさせてみました。ちょっと食べても何も起きません。更に食べても、何も起きません。増量していって、最終的には10粒食べても蕁麻疹ひとつでませんでした。

アナフィラキシーを起こしてしまったら、私の責任です。正直、症状が出てしまったらどうしようと不安は感じていました。ただ、シロクロをつけなければ、私は責任を果たしたことにならないのです。結局ピーナッツは食べ続けてもいいという結論に至りました。

申し訳ないのですが、前の先生とは全く逆の指導になりました。嫌な言い方になってしまいますが、どちらの医師が正しいことを言っているかは、誰の目からも明らかでしょう。私が逆の立場なら、「あの医院で間違った指導をされた」なんて噂が広まると嫌なので、専門医への受診を薦めるのだろうと思います。

先程の述べた通り、ピーナッツは強いアレルギー症状を起こし得ます。しかし、だからといって食べられるのに「食べてはいけない」と言う権利は医師にはないはずです。当院でもかつてはピーナッツの負荷試験に慎重でしたが、自分のこれまでの経験を活かして「これなら食べられるはず」と自信が持てれば、シロクロをつけるために「食物負荷試験」を行っています。

真面目に医療をやっていれば、当院の知名度と信用度を上げることができるのだろうと思っています。