小児科 すこやかアレルギークリニック

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「期待しています」
2010年10月28日 更新

最近、アレルギーの新患が目立ちます。

近々話そうと思っていましたが、ラテックスアレルギーやラテックス-フルーツ症候群など比較的珍しい病気の患者さんの相談もありました。学校から「アレルギーの専門医を受診した方がいい」とアドバイスを受けたそうです。専門でない先生は、こういう患者さんの経験も少ないでしょうし、対処法もなかなかご存知ないでしょうから、私が何とかしなければなりません。期待されているのでしょうし、「3分診療」なんてことはできません。

さらに、今月からインフルエンザの予防接種も加わりましたので、朝から晩まで働きづめです。来月、市内の園の先生が集まって下さり、子どもの感染症について話すことになっていますが、なかなか準備をする時間が取れません。

アレルギーのプロとは言え、その前に私は小児科医です。小児科医は、感染症の「プロ」でなければなりません。集団生活をして、接する距離が近く、鼻もうまくかめなかったりして、感染しやすい要素をいくつも持っています。小児科を受診する子ども達のほとんどが感染症ですし、子どもが入院する原因のほとんどは感染症です。

いつもぜんそくを“風邪”、アトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”と誤って診断され、適切な治療を受けられていない患者さんが少なくないと言っ ています。でもこれは感染症にも当てはまります。

ただし、子どもの感染症の原因はウィルスが多いところが異なります。ウィルスはインフルエンザの「タミフル」、水ぼうそうの「ゾビラックス」くらいしか特効薬がありません。おたふく風邪もヘルパンギーナも手足口 病、RSウィルス、ロタウィルス、アデノウィルス、ノロウィルスなどのウィルスは特効薬がないのです。その多くは、放っておいても治ります。

ただ、だからといって診断がいい加減では困ります。適切に診断しないといけません。なぜなら、感染源になってしまい、同級生など周囲の子ども達に迷惑をかけてしまうからです。

子どもは幼稚園や保育園、学校などと集団生活の中でいろいろと学び、成長していきます。感染症にかかってしまったら、しっかり治してから 登園なり登校するのがマナーでしょう。医師が診断を誤っては、一気に 病気が園や学校で流行してしまいます。

当院にかかっているお子さんがのどからアデノウィルスが検出され、お母さんが園に「アデノウィルスでした」と報告したら「アデノウィルスって何ですか?」と先生から言われたそうです。

アデノウィルスはのどに炎症を起こし、扁桃腺に膿がつくことが多く、高熱が平均で5日間続く病気です。先程述べたように、ウィルスですから特効薬はありません。抗生剤の点滴に通っているお子さんもいるでしょうが、点滴は有効ではありません。いわば、熱の間は耐え忍ぶしかないのです。

どの親御さんも、うつして欲しくない病気のひとつでしょう。申し訳ないけれど、結構メジャーなウィルス感染症です。治療法がないのですが、医院で簡単に調べることができます。でも園の先生がご存知ないことを考えると、周囲では調べていないのかもしれません。私はのどの所見から疑ったら、なるべく調べています。病初期など、典型的でなければ見逃してしまうこともあるでしょうが、見逃さないよう努力しているつもりです。

RSウィルスは、調べると医院の損になるため、調べない医院さんが多いのですが、私は調べています。極めて感染力が強いため、乳幼児にうつりやすいのと、窒息死することも有り得ること、かかったことでその後 何年もゼーゼー言いやすくなるからです。自分の損得を考えていては、よい医療はできないと考えています。

同様にノロウィルスも、検査費用が医院の持ち出しになってしまうので、調べる医療機関は極めて少ないのです。しかし、園などで集団発生があると、 保健所が調査に入ることになっています。医師が「おなかの風邪だ」と診断して、親御さんも軽くみて登園させたりすると、やはり感染力が強いので一気に感染した子ども達が増えることになります。園や学校の先生からすれば、キチンと診断して欲しい病気の代表格でしょう。

先程も述べた通り、アデノ、RS、ノロウィルスいずれも特効薬はありませんが、だからといって診断を間違っていい訳はありません。保険診療の関係など医院の都合で、調べられないのは私はおかしい話だと思っています。キチンと診断して、園に親御さんを通して「○○ウィルスの患者が出た」 ということを伝え、続発するかもしれないそのウィルスの感染を抑える努力はすべきだと思います。

園の先生のお子さんを当院で診ているのですが、診察中に感染症の講演の話になった時に、医師によって診断が異なったり、対処などの指導が違って困っているという現状を教えられました。その時に「期待してますよ」とも言われました。

当院は、なるべくは無駄な抗生剤は出さない、点滴至上主義みたいな患者さんもいますが、それ程効くものではありませんので、無駄な点滴をしないという方針のもと、日頃から真面目に診療しているつもりです。その辺を評価され、私に白羽の矢が立ったのかもしれません。

子どもの感染症は沢山ありますし、それをなるべく「医学的根拠」に基づいて話をすることを期待されているのでしょう。園の先生方の参加がとても多いそうで、いい加減なことは話せません。

アデノウィルスの知名度も上げなければなりませんし、RSウィルスやノロウィルスが簡単に調べられることも知って頂かなければなりません。マイコプラズマは何度も繰り返すものではないことも知って頂かなければ、地元の感染症情報はおかしいものになってしまいます。いろいろ知っておいて頂きたいことがあるのです。準備の時間もないのですが、期待に応えられるように頑張らなければならないと思っています。