小児科 すこやかアレルギークリニック

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魚アレルギー
2010年03月02日 更新

先日、この春小学校に上がる食物アレルギーを持つお子さんが当院を受診されました。

いくつかの食品を除去されていました。園では「アレルギー検査が陽性にものは万が一のことを考えて食べさせません」という方針だったようです。小学校に上がるに際して、小学校側から専門医を受診するように薦められたそうです。

これまでぜんそくや食物アレルギーがあるため、当院の受診を薦めてくれる幼稚園や保育園はありましたが、私のやっていることを認めてくれる小学校も増えてきて嬉しく思っています。

食物アレルギーは子どもの成長に関わる問題です。「食べられるものはなるべく食べさせてあげる」というのは、子どもを守る小児科医であれば当たり前の発想ではないかと思います。アレルギー検査の数字が高いものを除去する医師が相変わらず多いですが、その辺を無難に除去しておけば何も起きませんし、責任を負う必要がありません。正しくないであろう除去の指示を出し続けるのはそろそろ止めませんか?と提案したいと思います。そして周囲の幼稚園、保育園にも、先のような誤解をなくすよう指導しなければなりません。

「食べて症状の出るものは除去する」というのは食物アレルギーの基本です。裏を返せば、「検査が高くても食べても何も起こらなければ、食べさせても良い」ということになります。医師が食物アレルギーに理解を持ち、しかるべき対応を取れば、お子さんは除去する品目が減り、親御さんも食事の苦労が軽減します。と同時に学校側も給食に関して配慮が減ることにつながります。すべてがハッピーな訳です。アレルギー診断書は小児科医が書くことが多いでしょうから、“小児科医次第”ということになります。

今回受診されたお子さんは魚をすべて除去していました。いわゆる魚アレルギーが問題になっていました。あるアレルギー科の医院にかかっており、魚を調べて数値でいうとクラス2という微妙な値であり、除去を指示されていました。魚をよく食べる日本人にとって魚を除去し続けることは大変です。

実は、これまでいくつかの小児科を受診していましたが、各医師の言うことが異なっており、親御さんはかなり戸惑っておりました。アメリカの食物アレルギーの権威が、魚アレルギーの場合、クラス○の隣に書いてある数値が20以上であれば、アレルギー症状を起こす可能性が高いと言っています。この患者さんの場合は2.5とか、その程度の数値であり、まさに食べさせてみなければ何とも言えない状況でした。

これは「食物負荷試験」の出番のはずですが、これまで医師の口から「食物負荷試験」の話すら出ていませんでした。ちょっと過激な言い方になりますが、民主主義の日本において“情報操作”がなされていると言ってもいいでしょう。都合の悪いことは言わないという感じです。当院が「食物負荷試験」をやっているのを知っていて相談がないのは、なおさら不思議でなりません。

少し前にNHKで食物アレルギーの特集をしており、過剰な除去をしている親が多いと言っていたのに触発されて、お母さんは魚のだし汁、ツナ缶、練り物を自宅で食べさせてみたそうです。何も起きませんでした。

お母さんからしてみれば、「アレルギー検査が高い」、「医師から食べることを禁じられている」、「勇気を出して食べさせてみたら何も起こらない」となると本当に混乱してしまいます。でもこの答えは簡単です。検査が高くても食べられるケースは意外と多いし、魚のアレルゲンの強さは、魚そのもの>練り物>干物>缶詰>だし汁と言われています。弱いものから与えたからでしょう。

ただし、“本丸”である魚そのものを与えてみなければ、食べられる、食べられないの判断はできません。先日、新潟に来られた食物アレルギーの第一人者の先生は、魚はいろんな種類がありますが、例えばブリが食べられればタイが食べられるといった関連性は見出せないとおっしゃっていました。つまり片っ端から魚を食べさせてみる必要があるのだと思います。

しかし、4月まであと1ヶ月しかありません。当院は「食物負荷試験」の予約がかなり入っており、このお子さんだけ負荷できる訳ではありません。とりあえず、今度上がる小学校の給食によく出る魚を聞いて、それを優先して「食物負荷試験」をやることにしました。

40分くらい説明したでしょうか?。帰りにお母さんはだいぶスッキリした顔をされていました。申し訳ないですが、医師の言うことがいつも全て正しい訳ではないこともご理解頂けたと思います。今の医学は「医師であれば誰でもよい」でなく「専門医でなければならない」という時代になっています。

私は危惧しているのは、母が子どもを守るために「魚は食べないように」とお子さんに言い続けてきました。年齢が年齢であり、精神的に食べられなくなっている可能性があることです。いわゆるPTSD(心的外傷後ストレス障害)のようになっていることも少なくありません。何人も経験があります。

こういった子ども達をなくすためにも、医師も含め「食物負荷試験」を広める必要があると思いました。ぜんそくやアトピーの新患も多く、体がひとつでは足りませんが、困っている子ども達を助けるのが小児科医の役目です。作戦を練り、啓発活動を広めたいと思っています。