小児科 すこやかアレルギークリニック

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「食物負荷試験」の体制作りの必要性
2010年02月03日 更新

昨日、先日の土曜日にアトピー性皮膚炎の特集が教育テレビで放映されていたことを話題に挙げました。

2日の夜は、ぜんそくの講演が高田駅の近くのホテルであり、参加してきました。帰宅してNHKのニュースを観ていると、食物アレルギーに取り組む患者さんや小児科医の話題が取り上げられていました。

今週末に新潟に来られる愛知の伊藤先生のご研究によると、食物アレルギーの子を持つ親御さんの多くが、心配だから致し方ない部分もあるでしょうが、オーバーな除去をしている事実が明らかになりました。例えば、小麦アレルギーがあれば、同じ穀類全般を除去してしまうというようにです。

ただ、親御さんだけの問題だけではなく、小児科医による部分もあると思います。鶏卵アレルギーがある場合に、鶏肉や卵つながりで魚卵まで除去を指示しているケースもあります。普段から牛乳を飲んでいるお子さんに、数時間前に食べた脱脂粉乳入りのパンが蕁麻疹の原因だと乳製品全般を除去するように指示されていたケースもあります。牛乳を飲んでいた訳ですから、パンが蕁麻疹の原因でないことは火を見るより明らかなはずです。また、普通米を食べていて症状がないにもかかわらず、アレルギー検査で米の値が陽性と言うだけでアレルギー米を購入し続けていたお子さんもいます。こういう事例はほんの一部に過ぎません。

親御さんが、心配で食べさせられないのは重々承知しているつもりです。医師は不要な除去を減らす立場なのに、オーバーに除去を勧めているのは患者さんを追いつめることにつながりかねません。

実際、今回の研究の6割のお子さんが標準体重よりも少ないという結果が出たそうです。中には、除去が厳し過ぎて、カルシウム不足に至り、くる病を発症してしまったお子さんの例も取り上げられていました。こんなことも起き得るのです。

先の伊藤先生はこういう現状を打破するために、ここでもよく取り上げている「食物負荷試験」の重要性を強調し、力を入れていらっしゃいます。くる病を発症したお子さんも伊藤先生が担当されていますが、「食物負荷試験」を繰り返し行い、食べられる食材が確実に増え、今では体重は標準に近づいているそうです。

ニュースの中で事実もキチンと伝えていました。攻めの姿勢で食べられるものを探しにいく訳ですから、時には強めのアレルギー症状を起こすことも起こり得ます。ただし、アレルギーの専門医が付きっきりでいるので、最低限のリスクのもとで「食物負荷試験」を行えるとも言っていました。

こういう動きを受けて、神奈川県の相模原病院では小児科医を対象に「食物負荷試験」を実践トレーニングを受け付けているそうです。番組の中では他県から来た小児科医が、専門医から指導を受けている様子が流されていました。私も福岡の専門病院で「食物負荷試験」に立ち会い、こういう症状が出た時はどの薬を使うかというトレーニングを受けたことを思い出していました。ポイントは早めの対応と言えるでしょう。

「食物負荷試験」は、負荷方法を示したガイドラインも作成されていますが、簡単に身に付くものではないと思います。実地で指導されて、様々なケースを経験していく必要があります。当院が「食物負荷試験」をやっていることを受けて、他の医療機関でもやる動きはあるようですが、無理をしないで欲しいと思っています。安易な負荷試験が増えるのも困ります。大事なことは患者さんを危険にさらしてはならないということです。

ニュースの終わりに、「食物負荷試験」は都会の一部の専門病院で行われており、地方ではあまり行われていないため、「食物負荷試験」を“安全”に行える体制作りが必要だと述べていました。まさにその通りだと思います。

以前の私も含め、アレルゲンは極力避けるもので、患者さんは我慢するのが当たり前と考えていました。それが多少のリスクを背負ってでも、必要最小限の除去をすることが患者さんのQOL(生活の質)を上げることが重要と変化してきています。私自身もまだまだ勉強しなければなりませんが、食物アレルギーに対し、真の理解を持ち、様々なケースに対応できる小児科医に増えて欲しいと思っています。

PS:教育テレビでやったアトピーの番組は、2月5日のお昼の11:30から再放送をやるようです。アトピーでお困りの方は是非ご覧頂きたいと思っています。