小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

学校の先生が知りたいこと
2010年07月06日 更新

来月、上越市の養護教諭の先生を対象に学童、生徒のアレルギーについて講演する予定になっています。

先日も高校生がアレルギーの相談に当院を受診されました。実は2年前に当院を初診していました。あまり小児科医はみないと思うのですが、コリン性蕁麻疹でした。割りと若い層にみられるタイプの蕁麻疹で、いわゆる食物アレルギーの際にボコッと出るような典型的な蕁麻疹とは異なります。

蕁麻疹でも、年代によって異なることもあるのです。いつもは乳幼児の食物アレルギーの話をすることが多いので、コリン性蕁麻疹の話をすることはまずないのですが、児童、生徒が対象になると話さない訳にはいきません。

今回は、昼食後に運動したら上半身に膨隆した発疹が出たそうです。食後に運動して、広範囲に蕁麻疹が出たとなると、思いつくのが「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」です。原因食品として、小麦が最多ですが、小麦は摂っておりませんでした。現時点で「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」かどうかは確定できませんが、これも中学生や高校生以降にみられることのあるアレルギー疾患です。講演の際には外せません。

対応は、原因食品を食べたら運動しない、食べなければ思い切り運動してよい、という指導をすることですが、発症してしまったらアナフィラキシー、もしくはアナフィラキシーショックに至る重篤な病気です。そうなれば「エピペン」を打つ、もしくは救急車で医療機関に搬送してもらうという対処が必要になります。

学校の先生にアレルギーについて最も知りたいことを尋ねると、「エピペン」と答える方が多いそうです。これは一般的に言えることだと思うのですが、小児科医はお子さんがアナフィラキシーの状態で受診すると、重篤であればエピネフリンという「エピペン」と同じ成分の注射を打つでしょうが、そこまで重篤でないとあまり使わないように思います。小児科医でもあまり使わないのに、なぜ学校の先生が知りたがるのか?。

答は簡単です。学校でアナフィラキシーを起こした場合、学校の先生が「エピペン」を打つことが期待されているからです。これまで「エピペン」は医師はもちろんですが、本人と親しか使えませんでした。今は救急救命士も打てることになっています。しかし、学校で不意にアナフィラキシーを起こしてしまった場合、本人が意識がもうろうとしていては当然打てません。救急車が到着するまで、対応できるのは学校の先生しかいないのです。

本来、「エピペン」を打つという行為は医療行為に当たります。しかし、そのまま死亡してしまうかもしれず、手元に「エピペン」があるにもかかわらず、使用しないのは人道上問題があるということで、学校の先生が使用してもよいということになりました。この通知は既になされているため、たいていの養護教諭の先生がご存知であり、使い方を知っておきたいということなのだと思います。

「エピペン」は医師なら誰でも処方できるものではありません。使い方の研修を受けていなければ、処方してはいけない決まりになっています。小児科医なら2~3割もいないように思います。実際、地元の上越でも処方できない医師の方が多いと思います。しかも、先に述べた通り、小児科医でも打つタイミングが難しいと思うのに、学校の先生も大変だと思います。

学校もさまざまな問題を抱えているでしょうし、更に「エピペン」のこともとなると先生方も大変過ぎやしないかと思ってしまいます。しかし、養護の先生がアレルギーで最も知りたいのが「エピペン」ということなのです。食物アレルギーで実際に使ったことのある小児科医は少ないと思われ、経験者としての私はその期待に応えることが求められているのだろうと思います。

開院以来、真面目にしかも専門的に診療してきて、上越の養護の先生を対象に講演を依頼されました。医師は自分の医院に来た患者さんを診ていればいいだけではなく、情報発信を役目も持っていると思います。上越の先生方にアレルギーの正しい知識を持って頂くいい機会だと思っています。ここずっと日々の診療も忙しいのですが、地域の期待を感じつつ、実のある講演をできるよう準備したいと思っています。