春になると学校検尿が行われます。
その学校検尿で血尿やタンパク尿を指摘された患者さんが、当院を受診されています。私の前勤務先である柏崎の病院は腎臓病の専門医がいました。小児科医というと、子どものことは何でも対応できそうですが、決してそうではありません。あくまで“広く浅く”であって、細かい部分になると手出しできません。私がアレルギーの専門医であるように、腎臓病に関しても専門的に細分化されているのです。
学校検尿がなぜ行われているかと言うと、腎臓病を早期発見・早期治療することだと思います。中でもIgA腎症などの慢性腎臓病だと、のちに腎不全となり、透析を余儀なくされる可能性もあるのです。以前は予後はいいとされていましたが、決して楽観できないことが明らかになってきています。
先日、中学生でタンパク尿を指摘されたお子さんが当院を受診されました。これまで検尿で異常を指摘されたことはなかったそうです。タンパク質は体にとって大事な栄養なのに、体外に捨てられるということは何らかの異常が見つかる可能性が充分あるのです。
病院を受診する際に、「早朝尿」といって朝一番とおしっこと、病院受診時にとる「外来尿」の両方を調べることが多いと思います。このお子さんのタンパク尿には特徴がありました。「早朝尿」ではタンパクは検出されず、「外来尿」だけ陽性になるのです。もし、腎臓が傷んでいるのであれば、いつでもタンパクがみられるはずです。
お子さんが成長期であることもあり、「起立性タンパク尿」という病態を考えました。これは成長期のお子さんのみられる病態で、起立した状態で腎臓に行く血管が圧迫されて、タンパク質が尿に漏れ出てしまうのです。これは腎臓病とは異なり、成長とともに改善していくと言われています。
この病態を確定するには、腎臓の機能に異常がなく、「前弯(ぜんわん)負荷試験」が陽性になることを確認する必要があります。負荷試験と言っても、私がいつも強調しているのは「食物負荷試験」ですが、これは違う負荷試験です。腰を前に突き出すような体勢を5分続けます。それにより腎臓の血管をより圧迫する状態を作り出すのです。
一般的にこの前弯負荷試験で負荷をかけた直後にタンパク尿が悪化し、その後安静にしていると2時間以内に消失してしまうと言われています。当院でこの検査をやるのは初めてでしたが、これまでの勤務してきた病院では何度かやっています。簡単な検査なので、開業医でも充分行えます。
結果はどうだったかと言うと、受診時(2+)だったタンパクが、負荷後に(4+)に急増し、その後(-)になりました。つまり、典型的な前弯負荷試験は陽性だったのです。
腎機能は異常ありませんでしたので、このお子さんは将来的に腎不全に至ってしまう腎臓病も考えられたのですが、起立性タンパク尿と診断しました。もし腎臓病があって、重ければ専門病院に紹介して精密検査が必要になりますし、好きな野球も控える必要があったと思います。腎臓病ではなくて良かったと思います。
血尿のお子さんも受診されています。これも血尿=腎臓病ではありません。腎臓の組織が弱くて血尿となる病態(家族性良性血尿)もありますし、尿中のカルシウムが多くて小さな石ができた結果、血尿となる病気(高カルシウム尿症)もあります。今、父が尿管結石があり、高カルシウム尿症を疑い検査しているお子さんもいます。もちろん、私が診て診断がつかなければ、専門医に紹介しようと思っています。
先に述べた通り、本物の腎臓病を見落としてはいけません。かといって腎臓病でなさそうなら、それを証明する努力は必要だと思っています。私の診ている患者さんがぜんそく発作でゼーゼー繰り返したり、アトピーで皮膚を掻きまくり眠れなかったり、食べられるはずのものを除去しているのは、我慢できません。私の専門分野ではなくても、私のかかわっている患者さんが後に腎不全に至ってしまうのも避けたいところです。
親御さんには、アレルギーも腎臓病も専門医がいて、軽くなければ専門的な目で治療や管理していく必要があることをご理解頂きたいと思っています。理論的に考えて、かかりつけ医として腎臓病があるのかどうかをキチンと見極める努力が必要なのだと考えています。


