当院は、「食物負荷試験」にこだわっています。というかこだわらざるを得ないのが本心です。
昨日も触れましたが、開業医は軽症の患者さんがどっと押し寄せ、そんな毎日の連続です。となると、一人当たりに時間をかけていては、他の患者さんの待ち時間も長くなるし、それが毎日となると医師自身の体も保ちません。つい、サラッという感じの対応になるのだと思います。
当院は“医学的根拠”のある医療をやろうと考えています。キチンと根拠のあることをやろうとすると、力を入れざるを得ないし、開業医だからレベルの低いことをやって許されるものではありません。今は便利な時代になり、アレルギー各疾患のガイドラインができていますので、その通りにやれば“間違いない”診療ができます。そういう方針でやれば、食物アレルギーに関しては「食物負荷試験」をやらざるを得ないのです。
最近、「医療」って何だろうと思います。医師が患者さんのために、時間をかけても正しいことをやりたいと思わなくなれば、医師としてはダメだと思うのです。点滴はしたがるけど、根拠のある手間のかかることをやりたがらないのは、経営に傾きかけているのかなと思ってしまいます。
さて、3月、4月と「食物負荷試験」はかなりの件数をこなしました。最近は減ってはいますが、負荷試験をやる日を決めてはいますが、1日に2~3件はやっていると思います。
以前は、卵の負荷試験が圧倒的に多かったのですが、最近は魚や甲殻類、貝類、ナッツ類などを負荷する機会も増えてきました。もちろん、卵や乳製品もやってはいますが、困った事態になっています。
「食物負荷試験」は2種類あります。医師も患者さん本人も何を食べるか分かっている場合と、分からなくしてある場合です。後者は、年長児で精神的に食べられなくなっているケースに有効です。ただ、特殊な材料が必要になり、当院でも行っていないのです。このタイプの検査をやっているのは、全国の限られた専門施設のみだと思います。
何を食べるか分かっている方法を「オープン法」というのですが、当院はすべてこのやり方で負荷試験を行っています。この方法のメリットは簡単に行えるということ。デメリットは、食べてくれなきゃ始まらない、のです。これまでは、食べてくれないことはあまりなかったのですが、最近は結構とそんなことが続いています。
10歳以上の場合は、食材を見ただけでオエッとなることもあり、かなり困難です。本当に重症なケースもあるのですが、ある程度“医源性”と思われるケースもあります。「もっと早く解除してくれればいいのに」と悔やまれることもかなりあります。
4歳くらいでも、全く食べたがらないとか、「カユカユになるから食べたくない」と言うこともあります。逆に「食べない」と“宣言”していて、あっさりと食べてくれることもあります。何百件も負荷試験をやっていると、いろんなことが起きます。
驚いたことに、2歳半でほとんど全く口にしてくれないこともあるのです。そうなると、工夫をしないといけなくなります。卵アレルギーなら、給食では生や半熟の卵は出ませんので、加熱した卵料理を食べられるかどうかを調べることになります。Mサイズの鶏卵1個を用い、ゆで卵でやるのが基本のようですが、当院では、味をつけた卵焼きの方が食べてくれるので、卵焼きを使用しています。スクランブルエッグを採用している施設もあるようです。
その卵焼きを食べてくれないお子さんの場合は、あの黄色い色に拒否反応が出ている可能性があります。子どもの目をかく乱する(?)必要が出てきます。先日は、チャーハンに炒り卵として卵を1個使い、負荷試験を行いました。作戦はまんまと成功し、その時は食べてくれました。ただいつもその作戦が上手くいくとは限らず、その前にやった時は食べてくれませんでした。
結局、どうするのがいいかと言えば、そういう“知恵”が出る前に「食物負荷試験」を行うのが一番だと思います。できれば1歳代で行いたいところです。本当に重症で食べられないのなら、それは仕方のないのですが、軽症なら物心がつく前に解除できるものは解除してあげたいと思っています。
前医から「2歳まで食べてはいけない」と説明されたという患者さんも当院に来られますが、“2歳”に根拠はあるのでしょうか?。2歳頃に食べられる子が多いのは事実ですが、重症なら2歳では無理で、軽症なら1歳から問題なく食べられます。目の前の患者さんを一律に「2歳まで」というのは根拠のないことです。
「待っていれば食べられるようになる」とある意味、無責任なことを言う小児科医もいます。そんな対応をしていて、タイミングを逸し精神的に食べられなくなることも意外とあるのです。2歳まで待つことはせずに、早めに相談に来て頂きたいと思っています。


