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ちょっと聞いて下さい2
2010年11月11日 更新

最近のニュースといえば、尖閣諸島での映像流出が話題の中心ですが、群馬県で起きた小学6年生の女の子の自殺も大きく取り上げられています。

マスコミの報道の仕方によって、民意は影響を受けるのだろうと思いますが、親御さんのインタビューを聞く限り、イジメがきっかけだったのだろうと考えています。ところが、学校側はイジメの存在を当初は否定していました。

普通に考えると、否定しきれる根拠がないと思うのですが、報道になった他のイジメのケースをみても、どうしてイジメの存在を認めないんだろうと思っていました。テレビを観ていたら、教育が専門の方がこんな意見を述べていました。イジメを認めたら、責任問題が浮上して、校長、教育委員会、担任までが辞任に追い込まれてしまうかもしれず、そういった側面もあるのではないかというものでした。「なるほどな」と思いましたが、もし本当だとしたら、「ちょっと違うんじゃないか」と思ってしまいます。

それだけではなく、精神的にも発達段階の子ども達を相手に“犯人探し”をせざるを得なくなり、それもナイーブな問題なだけに、難しいなと思ってしまいました。学校教育の世界もいろんな問題を抱えているなと思わされました。

2日前に「ちょっと聞いて下さい」というタイトルでひとつのケースを紹介しました。

ある患者さんが咳が長引いており、とある医院さんで「気管支炎」と診断され、説明もなくシングレアというぜんそくの薬を使用したり、抗生剤やサクシゾンというステロイド薬の点滴を繰り返されていたというものです。説明不十分で、敢えて言いますが、医学的な根拠に乏しい対応をしておきながら、「よそに行っても同じ」と“説明”されていたのには驚かされました。

私が診ればぜんそくと診断し、治療することで多分すみやかに改善させることはできたであろうと思います。

いつも言っている通り、診断を間違えば、治療も間違い、患者さんは症状が改善せず、その分苦しむことになります。今は医学が進歩しており、薬を使って良くならなければ、自分の診断が間違っているのではないか?と自分の対応を顧みないといけないのです。説明はなかったのですが、シングレアという薬を使うのは間違っていません。ただし、2年通って処方されたのが当院受診の1週間前だったそうです。もっと早く気付くべきでしょう。

全ての小児科医がぜんそくに詳しいとは限らず、私がよく言っている「ガイドライン」は増え続ける小児ぜんそくを適確に診断し、治療するためのツールな訳です。しかし、ガイドラインに沿ってキチンと治療している医師は、今回のケースをみても分かる通り、決して多くはないのが現状です。

当院はアレルギー専門医であり、小児科医でもあります。点滴を繰り返すことは極力避けています。なぜなら、自分が子どもの立場なら、しなくていいような点滴ならして欲しくないからです。「頑張って薬を飲むから、点滴はしないで」と思うと思うのです。それがポリシーでもあるので、ぜんそく患者さんにはステロイド薬の点滴はまず行いません。

これは先の親御さんが言っていたのですが、明細をみてみるとかなり保険点数が高かったそうです。どういうことかと言いますと、あれこれ検査や処置を繰り返すと、診察して内服薬を処方するよりは、検査代や点滴代が上乗せされるのです。医師には余計に入るのです。

成人なら、医療費が高いと「あんな医院、二度と行かないと思った」なんて話も聞きます。しかし、乳幼児の場合は、「乳幼児医療費助成制度」のおかげで、新潟県では受診1回当たり530円の支払いで済みます。患者さんにしてみれば、530円しかかからないので、実際にどれくらいかかっているのかよく分からないはずです。本当はその陰で年々膨らみ続ける医療費から、かかった分の手間賃が医院から請求されることになります。

適確に診断し、適切に治療すれば、正当な報酬として医院に支払われるのはよく分かります。私はそうやって収入を得ています。しかし、申し訳ないのですが、今回のケースのように診断が正しくなく、治療も一貫性がない場合でも医療費はかかっているし、逆に真面目に診断して、適切に治療した方が報酬が少なくなることは大きな矛盾と言わざるを得ません。

近畿の整形外科の作り置きの点滴で重症感染症で亡くなったケースや、必要のない手術やカテーテル検査を繰り返されたケース、激安をうたったずさんなレーシック手術で視力低下に至らしめたケースなど、おかしな医療をしている医師が後を絶ちません。

もしかしたらですよ、わざと間違って診断し、必要のない処置を繰り返している医師がいないとは限らないのです。先の死亡例や健康被害などの弊害が出なければ、表沙汰にならないのです。それが表面化しなければ、ペナルティは一切なし。治らなければ、患者が減るでしょうが、東海の歯科医でインプラントの使い回しをしていたケースでは、地元のラジオのスポンサーになって宣伝を繰り返しており、地元では名医として通っていたそうです。

患者さんの判断で他の医療機関に移れば、自分の診断や治療が正しくなかったことにも気付かない訳です。間違った方が何度も受診してくれて、利益も上がり、何も知らない患者さんからは感謝される訳ですから、学会に参加して勉強しようとも思わなくなるかもしれません。いろいろ考えたら切りがないのです。

医療は、医師の頑張りに依存する部分がとても大きいのだろうと思いますし、結局のところ、医療の世界も最大のポイントは「良心」なのだろうと思っています。ただし、外からはその“良心”は見えません。

保険診療も抜本的な改革が必要なのかもしれませんが、すぐには変わらないでしょう。差し当たりは「セカンドオピニオン」が有効だと思います。自分のやられている医療が正しいのか、もう一人の専門医に相談するというシステムです。アメリカでは普及したシステムだそうです。

アレルギーの専門医は少ないため、咳でも湿疹でも何度も通院しても良くならなければ、「では専門医に紹介しましょう」と言ってくれる医師も非常に少ないため、「セカンドオピニオン」をやってみることをお薦めします。

もちろん、私もミスをなくし、より適切な医療ができるように努力を続けなければなりません。患者さんは患者さんで、ご自分の身を守るために、より良い医療を求める努力をしなければならないと思っています。特に子どもアレルギーに関しては、少しは知識を持ているつもりですので、「セカンドオピニオン」のために受診して頂きたいと思っています。