小児科 すこやかアレルギークリニック

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乳糖不耐症
2010年12月01日 更新

昨日は、赤ちゃんがヒューヒュー言っているにもかかわらず、“風邪”と診断されていた話を取り上げました。

患者さんには、「医師に風邪と診断されたからと言って、風邪ではヒューヒューしない」ことを理解して頂きたいと思っています。申し訳ないけれど、世の中にはいろんな医師がいます。地元も例外ではありません。

呼吸困難をよく起こすRSウィルスを調べてみましたが、この患者さんは陰性でした。陰性とはいえ、ヒューヒューしているのは、危険なサインです。気管支に痰が溜まって、呼吸する度に痰が震えてヒューヒュー、ゼーゼーしているので、更に痰が溜まれば、呼吸が苦しくなります。病気が進行すれば、呼吸困難も起こりうるのです。

本当の風邪なら、放っておいても治るので、親御さんは呼吸困難になるなんて微塵も考えていないはずです。親御さんには、危険なサインが出ていることを理解しておいた方がよいはずです。責任ある医療している医師は、いい加減なことを言うべきでないのです。

小児科で風邪と言われ、おかしいと思って当院を頼って受診して下さった訳ですが、もうひとつ相談されました。下痢のことです。

まだ0歳の赤ちゃんは、最近下痢もし始めたそうです。前医で相談すると「乳糖不耐症」と診断されたそうです。ラクトレスという治療用のミルクも買うように薦められたそうですが、話を聞いていて「えっ?」と思ってしまいました。

「乳糖不耐症」とはアレルギーや感染症ではないのですが、そんなこともあって、この病気のことも知っておいて頂く必要があると思いました。

「乳糖不耐症」とは、文字通り母乳やミルクに含まれる乳糖が消化できなくなる病気です。この病気には2種類あり、先天性と後天性です。つまり、生まれつきと、あとで起こってくるタイプに分けられます。

先天的とは、生まれつき乳糖を分解する酵素がないので、母乳やミルクを飲めば下痢になるという症状は、飲み始めた当初から起こるはずです。しかし、この赤ちゃんは、以前から飲んでいたので、先天性はまずないことになります。

では、後天性かということになるのですが、後天性はあるきっかけ後に起こることがほとんどです。いわゆる胃腸炎になったのちに、腸が傷んでミルクの消化が一時的に苦手になってしまうものです。これならミルクを飲んでいたのに、胃腸炎をきっかけに下痢を繰り返します。

日頃診療していると、乳糖不耐症を疑う患者さんはたまにいます。小児科医の経験する乳糖不耐症は、ほとんどがこのタイプでしょう。ということは、胃腸炎というきっかけがなければならないのです。親御さんに聞いてみても、便が急に緩くなって医院を受診したら、乳糖不耐症と診断されたというのです。

ラクトレスという専用のミルクを買うように言われ、飲んでも良くならなかったそうです。私が乳糖不耐症と診断したケースでは、専用のミルクにすればすっと下痢は止まることが多いのですが、下痢は続いたそうです。経過を詳細に聞いたところ、乳糖不耐症の診断をするには無理があるのではないかと思った次第です。

小児科医は乳糖不耐症の診断は冷静に行うべきだし、患者さんに高いミルクを買ってもらうのなら、経済的に負担を強いることになるので、尚更適確な診断を心掛けるべきだと思っています。当院は、アレルギー用ミルクの試供品を渡しています。実は乳糖不耐症の治療にも使われる場合があるのです。ただの試供品を飲んでみて、有効ならやや高価な専用のミルクを購入して頂く根拠になると思います。

普段から、ぜんそくやアトピー性皮膚炎が過小に診断され、適切な治療に結びつかず、良くならずに困っている患者さんが多いと書いていますが、感染症やその他の病気に関しても、同様なこともあると思います。

「この病気については地元の患者さんに知っておいて頂く必要がある」と思えば、アレルギーに限らず触れていこうと思っています。