小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

バロメータ
2010年12月14日 更新

ここ最近、一気にいろいろな感染症が流行りだし、外来は大変なことになっています。

胃腸炎が多く、溶連菌、おたふく風邪、水痘、RSウィルス、アデノウィルス咽頭炎などもいます。

胃腸炎は「ノロウィルスが多い」なんて言われていますが、調べている医師が少ないのに、「何でそんなことが分かるの?」って思います。ほとんどが「ノロだろう」という“診断!?”だと思います。

医師のそんな一言で、患者さんが通っている幼稚園や保育園は大変なことになります。子ども達に流行が広がっては申し訳ないし、集団発生が認められれば保健所の指導が入ることになり、新聞等で報道されることもあるからです。ですから、相当ピリピリしているはずです。

外来でノロウィルスを調べると、検査費用が医院の持ち出しになるため、医師は調べないようにするし、患者さんや園は調べてもらいシロクロをつけて欲しいのです。つまり、両者には相当の温度差があります。

当院では疑わしいケースはなるべく調べるようにしています。調べても出ないケースもあり、「ノロウィルスが多い」というのは決して正しくないと思っています。実際にアデノウィルスが便から検出されるケースもあります。

今シーズン、当院では確認していませんがロタウィルスも強い胃腸炎症状を引き起こすウィルスです。ロタとアデノウィルスは体力のある大人にはかかりにくい印象があります。一方、ノロウィルスは“一家全滅”なんてこともあるように、大人でもいとも簡単にうつってしまいます。

先日、お子さんが胃腸炎症状で、母も「嘔吐を繰り返し辛かった」そうなので、お子さんの便を調べさせて頂いたら、ノロウィルスが出ました。ノロウィルスも流行っているのも事実なのだと思います。ノロウィルス=感染力が強い、のですからより注意を喚起することができます。なるべく調べるようにする努力は、必要だと思っています。

先月、市内の園で感染症の講演を任されましたが、その時に感じたのは、子どもを扱う園関係者であっても「ウィルスと細菌の違いが充分に理解されていない」ことです。医療関係者でも、インフルエンザ菌とインフルエンザウィルスの違いを分かっていないことさえあります。医師からすれば常識なのですが、我々が抗生剤をよく出しているので、ウィルスにも抗生剤が効くと錯覚されているのでしょう。ウィルスと細菌は全くの別物です。

先日、当院で診ているお子さんのご両親がほぼ同時に熱を出したそうです。近くの内科に行ったら、「溶連菌かもしれない」、「インフルエンザもあり得る」と言われたそうです。どちらも開業医であっても迅速診断できるのですが、検査はされずに抗生剤の点滴をされたそうです。

ここで考えて頂きたいのは、なぜ検査をしないのかということです。溶連菌であれば抗生剤が、インフルエンザであればタミフル、リレンザなどの抗ウィルス薬が効きます。診断をつけるのが先だし、インフルエンザに抗生剤を使っても治療効果はゼロです。

だいたい大人がちょっと熱が出たところで、脱水にはならないし、溶連菌なら抗生剤を使いますが、点滴の抗生剤を使わずとも内服でもあっという間に治ることが多いのです。その先生の意図は分かりませんが、私ならまず検査で診断をつけて、どちらかが出ればその治療をするし、どちらもでなければ、その他の感染症ということで、細菌感染が否定できなければ、抗生剤を内服という形で処方したと思います。ついでに言うなら、私のやり方の方が売り上げは低いのです。

診断をつけて、それに対する直接的な治療をするのが最短距離なのに、核心をぼやかした方が収益が上なら、真面目にやっている医師が浮かばれないことになります。理論的でない医療があちらこちらで繰り返されることになってしまいます。

ノロウィルスとともに“いい加減”に対応されている代表的な病気が、RSウィルスです。この場合も、よく書いているように、検査費用が医院の持ち出しになるからです。このRSウィルス、実は上越は流行中で、当院では何人も確認しています。

熱が3日くらい続いて、咳と鼻がひどければRSウィルスの可能性が高いと思います。ほとんどの医師がインフルエンザを調べて、「インフルエンザじゃなくてよかったね」と言っているケースだと思います。患者さんもそれを聞いて、ホッとされるのだと思いますが、「じゃあ、熱の原因はなに?」と考えて頂きたいのです。

先日当院で診断したインフルエンザのお子さんも、タミフルを使ったら、あっという間に解熱しました。今年もよく効いてくれそうな印象を持ちました。しかし、RSウィルスには特効薬がなく、平気で熱が5日くらい続きます。しかも、インフルエンザよりも痰が絡むため、夜寝れなくなったりしますし、乳幼児ならゼーゼーいって呼吸困難を来します。インフルエンザより、よっぽどやっかいな病気です。

最近は、エコ、エコと言われますが、ノロウィルスやRSウィルスを調べないのは、“エゴ”なのだろうと思います。これはあくまで私の考え方ですが、評判が良いとされる小児科でも、これらのウィルスを調べない方針なら、おかしいと言わざるを得ません。

そりゃ医師も人の子。損はしたくないでしょうが、多少損をしてでも患者さんに真実を伝えることは大切なことです。当院は、RSウィルスが出れば、熱は5日続いてもおかしくない、ゼーゼーいって呼吸困難を来すことがある、夜間に病院に駆け込まなければならない可能性もあることを伝えています。そこまでやって、小児科医の責任を果たしていることになると考えています。

インフルエンザでもないのに高熱が続けば、親御さんは不安になります。特効薬がなくても、RSウィルスが原因で、熱が続く可能性があることを知っていれば、落ち着いて対処できるはずです。小児科の中には「治療法がないから、RSを調べても仕方ない」と言う医師もいるでしょう。その発想は、小児科医として何かが欠けていると思いますし、私には屁理屈にしか聞こえません。

ひとつの側面でしょうが、ノロやRSウィルスを調べているかどうかが、その医院がどれだけ真面目に診療しているかのバロメータになり得ます。患者さんはよく参考にして頂きたいと思っています。