小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

予防投与
2011年02月01日 更新

ここ上越市でも、インフルエンザが拡大してきています。

当初は小学生中心でしたが、最近は幼稚園や保育園児も目立ちます。市内の幼稚園や保育園にも拡大してきているようです。

ただし、お子さんが発熱して、インフルエンザを心配して検査をしても陰性のことも少なくありません。まだ溶連菌やおたふく風邪も結構みられています。

小児科医は、子どもの診察をした際にキチンと診断し、適切に治療することが大切です。いま、3つの感染症を挙げましたが、インフルエンザなら「タミフル」や「リレンザ」などの抗ウィルス薬が有効ですし、溶連菌はウィルスではなく細菌ですが、抗生剤が著効します。おたふく風邪は、一部抗生剤を処方している医師もいるようですが、これはウィルスです。インフルエンザのような抗ウィルス薬は開発されていませんから、有効とされる薬は存在しません。そのまま経過を見ることになります。仮に熱が数日続いたとしても、抗生剤は全く効きません。医師は、その感染症に見合った薬があれば処方し、なければ脱水などに注意しながら、待つしかないのです。

熱が続けば、抗生剤が必要と思っている親御さんも少なくありませんが、私を含めた大人は小児期から幾度となく発熱を繰り返してきましたが、風邪を含めたウィルス感染の場合は、抗生剤を使わずに克服してきたはずです。

ウィルス感染では、水ぼうそうも「ゾビラックス」、「バルトレックス」といった特効薬があります。これもインフルエンザに対するタミフル、リレンザのように早期に使えば、ウィルスの増殖を抑えてくれ、軽症で済ませることが可能になります。

私が上越の地で開業して、これまで大勢インフルエンザや水ぼうそうの患者さんを診てきました。先程述べたように、これらの二つのウィルス感染症のみ、特効薬がありますから、服用せずに悪化してもらっては困りますから、ほぼ全例に処方してきたと思います。

その際に、「家族にも出して下さい」と何度か言われました。「えっ!?」と思い、話を聞いてみると「○○先生のところでは、以前インフルエンザにかかった時に、家族全員のタミフルを処方してもらった」とか、やはり「○○先生のところでは、水ぼうそうの時にゾビラックスを兄弟の予防のためにもらった」とおっしゃるのです。

ここで、医療の大原則をお話ししなければなりません。病気の人にしか、薬は出せない決まりになっています。そりゃ、そうでしょう。

タミフルもゾビラックスも、過去の処方経験からすると、副作用の少ない薬だと思います。ただ、よく言われるように、薬(クスリ)を逆から読むと「リスク(危険)」になります。副作用が少ないと言っても、人によっては出る場合もあります。

病気の患者さんに、薬を飲んでもらうメリット、デメリットを比較し、メリットが大きい時にのみ処方すべきでしょう。発症してもいない人に、薬を飲ませて副作用が出たら、誰が責任を負うのでしょうか?。何故そんなことをしているのだろうと思います。

口の悪い言い方をすれば、医者は余計なことをすれば利益が上がります。周囲をみていると、必要でないであろう検査や点滴、処方が全く行われていない訳ではないと思っています。

例えば、あるお子さんがインフルエンザにかかったとします。もちろん、タミフルの適応です。家庭内に蔓延しないようにタミフルの処方を許したら、ではその子の通う園の子ども全員に処方するという考え方も出てくるし、ご近所さんにもうつさないようにと、その地区全員にタミフルを飲ませた方がよいと言うことになります。その医院さんは経営面で大きなメリットを得る訳です。「かかったら困るから、タミフルを飲んだ方がいいよ」と医師から親切?に言われても、現行のルール上は、それは良心的というよりは、下心みえみえと言えると思います。

私の知る限り、インフルエンザであれば65歳以上の高齢者、慢性の呼吸器や心臓に病気のある方、糖尿病などの病気のある方、腎臓に病気にある方のみ予防投与の適応があると思います。つまり、家族にインフルエンザが出ても、こういう患者さんのみ予防投与の適応があるのであり、親切?に処方されるのはおかしいと言えると思います。

これは水ぼうそうのゾビラックスについても同様です。兄弟の分も処方している医師もいるようですが、余程の理由がなければ、つまり健康の小児なら適応はないはずです。

先日も、お子さんをインフルエンザと診断した時に、親御さんから家族の分もと言われましたが、丁重にお断りしました。そんなことをされているケースが少なくないので、そういう方法をお知りになったのだろうと思っています。

医師は保険診療というルールの中で、診断し、その病気に見合った治療薬を処方しています。「自分よければ…」なんて処方はすべきではないし、ルールに沿った対応をすべきだと思っています。私の場合は、ルール違反をしてまで、経営に走ろうとは考えておりません。

逆に、私にはあまり関係ありませんが、高齢者でインフルエンザにかかり、死亡されるケースはあるはずです。予防投与の認められているケースでは、積極的にタミフルなどが処方され、助かるはずの命は助けるべきでしょう。

日頃からアレルギーは過小診断、過小治療で良くならないという話を繰り返していますが、今度は逆に過剰治療と言っていいでしょう。過小でもなく、過剰でもない、適切な医療を心掛けるべきだし、一般の方々もそういうルールを知って頂きたいと思っています。