小児科 すこやかアレルギークリニック

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いきなり中止
2011年03月11日 更新

以前もこの場で触れましたが、当院で診ていた重症のぜんそくの患者さんが急に受診しなくなりました。

もともとこの患者さんは、別の小児科で発作を起こせば点滴に通うよう指示され、一向に良くならず、同じことの繰り返しに疑問を感じ、当院に鞍替えされました。

ぜんそくは発作を繰り返すことで、より気管支が敏感になり、一層発作を起こしやすくなります。1ヶ月に1回くらいの割合でゼーゼー言ったり、強い咳込みを繰り返していると、継続的な予防治療が必要とぜんそく治療のガイドラインに明記されています。

ガイドラインはここ10年でかなり整備され、完成度を増してきました。私の恩師が中心になって、ぜんそく発作で窒息死する子どもを減らしたい一心でガイドラインを数年毎に改訂しているのです。そのお陰で、日本はぜんそくによる子どもの死亡率が世界トップレベルに低いという地位を確立しています。

そんな素晴らしいガイドラインがあるにもかかわらず、ガイドラインを全く守っていない医院さんもあります。重症な患者さんが、発作を起こしたら吸入や点滴に通院するのは、一見正しい対応に見えます。ところが、ガイドラインでは推奨していないのです。それは、先程も述べた通り、発作を起こすことでより一層発作を起こすようになるため、ある意味で何の解決にもなっていないのです。

こういった慢性の病気は、大人に持ち越す可能性がありますので、小児科医の役目は、それを防ぐことにあります。発作を起こしやすいお子さんは、発作を起こさないよう予防治療が重要とされています。

以前に比べれば、新潟でもガイドラインが普及してきて、専門でない先生が予防治療をするようになってきました。その結果、随分発作を繰り返す患者さんが減ってきているように思います。

その一方で、今回のように、重症にもかかわらず、一切の予防治療がなされていないガイドラインを無視した治療をしている医師も存在しています。我流のやり方を変えようとしないので、敢えて言いますが、親御さんが病気に対し、知識を持たないと自分のお子さんを守れないことになると思います。

先の患者さんは、当院を受診されてから重症度に見合った治療を行うことで、随分と発作の回数が減りました。ただし、これまで全くの無治療だったため、発作の起こしやすさが残っており、風邪を引くと重めの発作を起こすこともありました。

夜間に発作を起こすと、申し訳ないですが、当院はやっていないため、他の医療機関を受診することになります。そこの先生が「今後責任を持って、自分が診たい。」と言ったのだそうです。それで、冒頭の部分に戻るのですが、当院を受診されなくなったのです。アレルギー専門の先生でなかったので、正直「本当にできるのだろうか?」と思っていましたが、結局、どこに通うかを決めるのは患者さん自身です。患者さんの意思に任せるしかありません。

心配していましたが、2ヶ月も経たないうちに「継続的には診れない」と言い出したため、また当院に戻ってこられました。「責任を持って」というあの言葉は何だったんだろうと思います。

当院の場合は、成長して将来は地元を離れるかもしれませんが、それまでは治療させて頂く心づもりで診療に当たっています。途中でぜんそくが治ってしまう場合もあるでしょうが、重症なら思春期までぜんそく症状がみられている可能性は充分にあります。それが「責任を持つ」ということだと思っています。

更に驚いたことがありました。実は、兄弟も決して軽くないぜんそくがあり、当院で診ていました。兄も一緒に治療を委ねることになったのですが、当院の治療で症状が落ち着いていたのに、「症状がないから」といきなり当院の治療を中止されました。

ぜんそくの治療は、ちょっと調子がいいからと言っていきなり中止するものではありません。ぜんそくの重症度を軽い、中くらい、重いとすると、重い患者さん用の治療をしている場合、それで症状が落ち着いていれば、それを完治とは言いません。薬で落ち着かされているのであって、まだ中くらいの病気の勢いがあると考えます。中途半端な状態で治療を中断すれば、当然のように発作を繰り返すようになります。今は兄も、当院でぜんそくの治療を再開されています。

ぜんそくは、かなりの頻度でみられる病気ですが、小児科医の間でもこんなにも対応が異なってしまっています。転勤の多いお母さんがおっしゃっていたことですが、転勤の度にかかっていた小児科医の説明や治療方針が変わってしまい、困っていたそうです。日本にはガイドラインがあるため、医師によって言うことが違うことは基本的にはないはずです。どうしてこんなことが起こるのでしょうか?。

先程も述べた通り、何度も発作を起こせば、継続的な予防治療を行うはずなのに、一切お構いなしのこどもの医院さんもあり、ガイドライン通りの治療をしなければ、医療費が支払われないくらいのシステムが作られない限り、変わらないと思っています。

私の恩師が一生懸命、日本の子どものぜんそくを良くしたいとぜんそくのガイドラインをまとめられたので、私には地元にそれを広める責任があると思っています。