小児科 すこやかアレルギークリニック

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強いと弱い
2011年04月04日 更新

4月2日(土)は診療が終わったら、120キロ離れた新潟市へ行く予定でした。

新潟県は食物アレルギーをやっている小児科は極めて少なく、それ以外の施設ではアレルギー検査の結果だけで食べられる・食べられないの判断がされることが多いことでしょう。

私自身は、福岡の専門施設で「食物負荷試験」のやり方を学んできましたので、食べられそうなものは何でも食べさせてあげたいと考えています。多分、地元の小児科の先生の指導よりは、かなり多くのものを患者さんに食べて頂いていると思います。

当院も「食物負荷試験」をやらなければ、アナフィラキシーを起こすかもしれないというリスクを背負わずに済む訳で、負荷試験にかかる手間や時間を、いわゆる風邪ひきの子ども達を診る時間にあてられます。そちらの方が経営面でも有利になります。

当院は、アレルギーの子ども達を救う目的で、上越市に開業したので、楽をして老後のために稼ごうなんて全く思っていません。それだけの気持ちを持って「食物負荷試験」をやっていますので、これまで何百件もやってきた負荷試験の結果をまとめることで、同業の先生方に負荷試験のことをよく知って頂くいい機会だと思いました。2日に行われる予定だった学会に発表するつもりでエントリーしていたのですが、学会自体が中止となってしまいました。

発表の準備は進めていたのですが、仕方ありません。その代わりに、ここ最近ずっと土曜の午後に行っている「気道過敏性試験」の予定を急遽いれ、その検査を行いました。週末に“1日半”しっかり休むと言うことはなかなか難しいようです。

さて、今日は治療の強いと弱いについてお話ししたいと思っています。

地元では、「○○医院さんは治療が弱いせいか、効かない」とか「○○クリニックさんは治療が強い」とか言われているようです。これってどういうことでしょうか?。

インフルエンザの流行がかなり下火になってきました。流行期に高熱で受診されると、インフルエンザを疑うことになるのですが、検査をし、結果を待つだけです。使う検査キットはどの医療機関でも同等ですし、インフルエンザであれば、小さければタミフル、タミフルが使えない年代であればリレンザもしくはイナビルを処方するだけです。これも同じ薬なので、どの医院を受診しようが治療が“強い”とか“弱い”とかはありません。どこでもいわば「全国共通」です。

私がアレルギーを専門にしていることもあり、どの医院さんがどういう方針でやっているかは手に取るように分かります。一般の方はアレルギーの治療のことを“強い”、“弱い”と言っているように感じています。

ある医院さんでは、ぜんそくなのに“風邪”、“マイコプラズマ”と診断する傾向にあり、いつも言っているように、ぜんそくにはぜんそくの治療があるので、風邪薬やマイコプラズマに有効な薬を使っても、症状は改善しません。点滴に通わせたりしているようですが、点滴したからと言ってやはり病状に合った適切な治療しなければ、改善は望めません。

一方、別の医院さんでは、「ぜんそくっぽい」という診断のもと、オノンやキプレスという抗アレルギー薬やフルタイドというステロイド吸入が出されており、更に気管支拡張効果のあるアドエアやシムビコートを早く選択しているようです。また、咳が長引くと点滴でステロイドを投与しているようです。

医師により、治療にもいろいろな考え方があるのも確かですが、以前も述べた通り、心因反応で咳が出ているのにステロイドの点滴を繰り返したりするのは、やり過ぎでしょう。確かに治療としては“強い”傾向にあるのかもしれません。

小児科医は、内科医と違い、弱い子どもを相手にします。薬の副作用にも常に注意を払っていなければなりません。私の経験では、ぜんそくで重症だと、重い発作を繰り返しますので、その悪循環を断たなければなりません。病気が慢性化していると、その悪循環を断つには、相当大変な作業になります。その際には、いわゆる強い薬も使わざるを得ないのです。もちろん、そんな時でも副作用を親御さんにも説明し、仮に出ても必要最小限にすべきでしょう。

これはハッキリさせておかなければなりませんが、「治療が“弱い”」と、「診断を間違い、治療も間違う」のは、全く別次元の問題です。治療が弱いというと、子どもの副作用を心配して、副作用の出にくい優しい治療をしてくれるというイメージかもしれませんが、実は診断と治療が間違っていたと言うのであれば、言語道断と言えましょう。患者さんの症状が良くならなくても、ぜんそくを疑いもせず、最初の“風邪”や“マイコプラズマ”という診断も治療も変えないのは、大きな問題です。

いずれにしても、症状が改善しないからと、闇雲に治療をエスカレートすれば良いものではなく、症状が改善しないのに、効果のない“弱い”薬を出し続ける対応もおかしいと言え、時々立ち止まって「自分の診断は間違っていないだろうか?」、「この治療で良いのだろうか?」と考えるべきでしょう。

地元では、どういう訳か“弱い”治療の方が好意的に受け取られている気がしてなりません。逆に、地元にこういう傾向があるようでは、アレルギーの分野においては医療レベルが決して高くないと言われても、否定はできないのです。

私のよく言うように、各アレルギー疾患にはガイドラインがあり、治療法が重症度に合わせて記載されています。できれば、受診の時点でのベストと思われる治療を見つけ出し、速やかに症状を軽減させるのがプロであり、専門医と言えましょう。いずれにしても、患者さんのために親身に話を聞き、方針や薬で起こり得る副作用などの説明もして、患者さんと二人三脚で進んでいくことが重要でしょう。地元では質問をすると嫌な顔をされたり、話を遮られることも多いようですから、その辺も注意が必要です。

アレルギーでは治療が“弱い”と思われていても、発熱のお子さんに、少なくとも小児科医は感染症での外来治療にはまず使わない「デカドロン」という“強い”ステロイドを使っている医院さんもあります。いつも“弱い”訳ではなさそうです。私の経験では、地元では評判が悪くないはずなのに、「あれれっ!?」という医療をやっている医院さんもあります。つまり、噂に惑わされないようにしなければならないと思うのです。

そのためには、症状が落ち着かない時は、試しに医院をいくつか回ってみるしかないと思います。開業医はその分野が苦手であっても、なかなか他院に紹介してくれないため、患者さんの方で動くしかなく、現在行われている治療が適切かどうか、確認する姿勢が必要があると思っています。

個人的には、アレルギーの対応として、治療は“強い”方がまだ分かるのですが、“弱い”ことを理由に評価を受けているのであれば、それを改善させるのが私の役目だと思っています。

小児科だから皆アレルギーに詳しいということはなく、各医院にはその医院さん特有のクセというか傾向があるように感じていますので、親御さんはできればそれを見極めて、お子さんのためにより良い治療法を探す必要があると思っています。