小児科 すこやかアレルギークリニック

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4回の出入り
2011年05月03日 更新

ゴールデンウィークの後半に入りました。

近頃は感染症が多く、30日(土)も15時近くまで外来が終わらず、その後にぜんそく治療を終了していいか判断する「気道過敏性試験」の予定が入っていました。帰ったのは、夕方になっており、疲労度は平日とそんなに変わりません。全くゴールデンウィークという感じがしません(涙)。

市内では、インフルエンザB型が猛威を振るっており、しかし、場所によっては、A型が主体となっているようです。インフルエンザのワクチンを昨年秋に接種してから既に半年近く経っており、ワクチンの効果が期待できなくなってきているでしょうから、B型にかかってやれやれと思っているとA型にかかる、もしくはその逆も有り得るのかなと思っています。

胃腸炎も多く、一時減ってきていた溶連菌や水痘もまたみられています。RSウィルスやアデノウィルスも混じっており、外来は様々な感染症がみられています。

私の心掛けていることと言えば、診断を確定するということです。これはアレルギーに限らず、感染症でも心掛けていることです。いろいろな感染症がみられているため、診断を確定するためには相当頭を使わざるを得ない状況です。当然、手間も時間もかかります。

例えば、お子さんが高熱を出し、2~3日経っているとします。

今の状況では、原因としてインフルエンザが真っ先に頭に浮かびます。もちろん周囲にインフルエンザがいれば、もらってしまう可能性は高いのですが、いなくても人ごみに出れば、どこからともなくもらってしまうこともあります。実際に、心当たりもないのにインフルエンザを調べると、陽性になることもあります。

インフルエンザを調べても、出なければ、別の原因を考えなければなりません。「インフルエンザじゃないから、風邪でしょう」なんて言われたのであれば、かなり乱暴な“診断”です。

熱が続いていると、まず、今回の感染がウィルスか、細菌かをみた方がいいと思います。こういう時、小児科医はだいたいCRPという炎症反応をチェックします。健康だと0.3以下の値になるのですが、熱が続いているのに、0.0とか0.1という結果のことがあります。

こんな時は、ウィルス感染を考えます。インフルエンザが陰性で、炎症反応がこの値であれば、何もやることはありません。ウィルス感染で特効薬があるのは、インフルエンザと水痘くらいなので、これらでないことが確認されたら、基本的には“成り行きに任せる”しかないのです。

つい先日の患者さんは、インフルエンザが陰性だった患者さんに採血をさせて頂いたら、CRPが6.2でした。これくらい高いとウィルス感染ではないので、何らかの細菌感染症を考えることが多いのです。

細菌感染だと、抗生剤の使用が求められます。抗生剤も投与法として、内服と点滴という形があります。内服で事足りそうであれば、点滴は必要ないと考えるべきですが、極端に点滴を好む医院さんもありますね…。

ただし、CRPが6.2だからといって必ずしも細菌感染とは限りません。アデノウィルスに感染すると、CRPが跳ね上がることもあるのです。先程も述べたように、ウィルスに効くのは、インフルエンザと水痘くらいなので、アデノウィルスだった場合は、やはり“成り行きに任せる”しかないのです。

アデノウィルスで、典型的なのどの所見は、扁桃腺に膿が付いているのが見えるのですが、この患者さんの場合、膿は付いていませんでした。アデノウィルスの可能性もあり、それを否定しないまま、抗生剤の点滴をやるのであれば、それは根拠のある医療とは言えません。アデノウィルスは、綿棒でのどをこすること、それを検体に検査をすることができるので、調べさせて頂きました。結果は、アデノウィルスが陽性でした。

この間にどういうやり取りがあったかというと、もう一度整理をしてみたいと思います。

まず診察し、インフルエンザの可能性を考え、鼻水をもらい、それを検体に検査を行いました。2回目診察室に入って頂き、インフルエンザが陰性の旨を伝えまました。では原因がインフルエンザではなくて何かを調べるためCRPを調べる必要があるとお話しし、採血をさせて頂きました。3回目に診察室に入って頂き、結果を説明します。アデノウィルスの可能性も出てきたので、アデノウィルスを調べさせて欲しいとお話ししました。さらに4回目診察室に入って頂き、ようやく原因が分かり、アデノウィルスとはどういうウィルスかを説明しました。

開業医は効率を重視します。こんなに4回も診察室を出入りしたら、診療が進まないということにつながります。ただ、周囲ではインフルエンザが流行しており、インフルエンザが陰性だったことから、熱の原因を追及する必要がありました。アデノウィルスの典型的な所見であれば、最初からアデノウィルスを調べたでしょうから、4回も診察室の出入りをする必要はなかったのだと思います。

親御さんもよく4回も待って下さったと思いますが、最後に診察を出る時に「原因が分かって良かったです」と言って下さいました。アデノウィルスは、ともすると5日くらいは熱が下がらず、しかも高熱なので、親御さんはかなり不安になることが多いのです。特効薬もなく、基本的には待つしかないのです。事前に5日くらいは熱が下がらないことが分かっていれば、不安も必要最小限でいいと思います。

私自身も、必要なプロセスを踏んだと考えており、だからこそ、キチンと診断できたと思うし、CRP6.2をみた時点で、早まって抗生剤の点滴をしていたら、点滴分は医院の利益が上がったかもしれませんが、患者さんには無駄な点滴をして、痛い思いをさせることになってしまい、それを避けることができてよかったと思っています。

こんな患者さんがいつもという訳ではないのですが、時間と手間を掛けることで、親御さんから信頼が得られたのだと思っています。早まって点滴をしていたら、患者さんを裏切ったと言えると思っており、小児科医としては筋が通せたのかと思っています。