先日、ビートたけしさんがメインでやっている医学の情報番組を放映していました。
「たけしの本当は怖い家庭の医学」という番組だと思っていたのですが、このタイトルでは一旦終わっていたのですね。知りませんでした。
「名医のセカンドオピニオン」と題された番組は、“風邪”と町医者に診断されていたのに、実は名医が診れば生命を脅かすような重い病気だったというような内容でした。
“風邪”と“生命を脅かす病気”では、あまりにも違い過ぎます。つまり風邪という診断は、誤診であったと言えるでしょう。最終的に名医とされる先生のもとを受診して、すぐに“風邪”ではないことに気付かれます。同じ医師免許を持っているにもかかわらず、どうしてこんな差が生じてくるのでしょうか?。
たまたま珍しい、分かりにくい病気だったのだろうと一般の方は思うでしょうが、逆に医師の方が、安易に“風邪”と診断する風潮があるのかもしれないと思っています。
つい先日も触れたように、握る力が低下するということを繰り返しているお子さんに対し、何の精査もせずに「風邪のせいだ」と説明されていた患者さんがいましたが、ここまでくると“大したもの”と言えます。いえ、決して褒め言葉ではありませんよ、念のため。
何か症状があると、「ストレスのせいだ」という医師もいます。本当かもしれませんが、“逃げ道”に使われやすいフレーズだと思っています。本来なら、ストレス以外に原因がないことを証明しなければならないはずです。
いずれにしても、セカンドオピニオンで別の医師に診察してもらうことで、原因を追及され、新たに診断名がつけられ、治療も適切なものに変わり、悩まされていた症状が軽減しています。
「さすがは専門医」となるのでしょうが、専門的な知識を持っているから専門医であって、真面目に診療をしているだけとも言えます。
“風邪”と診断しても、風邪では説明できない症状が他に見られているのを見逃していたり、風邪ならじきに治ってしまうのに治らないとか、“風邪”ではないと判断するに充分なヒントはあるのだと思います。
結局、それを見逃さないか、それとも最初の時点で“風邪”と判断した先入観から、ヒントを見逃しているか、の差なのだと思います。確かに専門医でなければ分かりにくいケースも多いのでしょうが、安易に“風邪”と決めつけてしまっていることをここは問題に挙げたいと思っています。
もし患者さんの症状を良くしたいと思えば、少なくとも「あれ、おかしいな」と気付く可能性が高まると思うし、そうしなければならないと思っています。最初は、何が隠れているか分からなくても、セカンドオピニオンを求めることで、何が起きているのかが分かるようになると思います。次回以降は、その経験を活かせると思うのです。
アメリカなどではセカンドオピニオンをとる、というのが日常的に行われています。自分の命や健康を守るためですから、当然の権利です。その点、日本は「そんなことをしたら、主治医に嫌われるんじゃないか」という不安もあり、なかなか進まないようです。
当院には、いつも言っているようにぜんそくを“風邪”、“マイコプラズマ”、アトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”、“乾燥はだ”と誤診されていることが多いのですが、患者さんが何度も通うということは、症状の改善が得られていないにもかかわらず、医師自身がセカンドオピニオンをしようとしないことは、はなはだ疑問に思っています。テレビでは、稀なケースをピックアップしているだけと思われるかもしれませんが、当院が普通に診療していても、診断の間違っているケースは決して少なくないと感じています。
患者さんは、他の医師に相談したくても、自ら言い出せない状況で、本来は医師から「良くならないようだから、紹介状を書くね」というべきなのに、それがなされていないのです。
アメリカの医師は、自分のやっていることに自信があるから、医師自らが「セカンドオピニオンが必要ですか?」と患者さんに聞くのかもしれません。となると、日本の医療はどうなんでしょう?。
テレビの影響力は計り知れない程、多いと思います。番組を通じて、日本人の間にも「セカンドオピニオン」という概念が広まって欲しいと思います。逆に、広まらなければ、救われる患者さんも増えてこないのだろうと思っています。


