「チョー気持ちいい」とはオリンピックで優勝した時の北島選手のコメントです。
当院は、慢性疾患であるアレルギーを専門にしておりますが、慢性的な経過を辿る病気であるが故に、患者さんには説明しなければならないことが沢山あります。
ほとんどの患者さんが他の医療機関で改善が得られなかったために、当院を受診されます。驚くほど、充分な説明を受けていないのがほとんどです。同じ過ちを繰り返して欲しくないので、こと細かに説明しなければなりません。「なぜ良くならなかったのか?」を考えて頂く必要もあるし、医師の間には知識と技術の差が大きいことを知って頂こうとも思っています。
時間にして20~30分は話すことも多く、説明し終わった後は、親御さんの安心した顔を見ると、達成感というか、気持ちのよさを感じることもあります。
先日、血尿とたんぱく尿の患者さんが受診されました。昨年の学校検尿でもたんぱくが出ていたそうですが、今年は血尿の程度も悪化していています。私は腎臓病の専門家ではありませんが、以前勤務していた病院で腎臓の専門医から指導して頂いていたこともあり、少しはこだわりがあります。私の印象では、IgA腎症という慢性腎炎の可能性が極めて高いと思っています。
慢性腎炎の40%がIgA腎症という報告もあり、しかも20年後にこの腎臓病の患者さんの40%が腎不全になるとも言われています。決して楽観できない病気であり、尿所見がこの1年で悪化しており、精査が必要だと考えました。
アレルギーは、専門医でなければ、診断も間違い、治療も適切なものができないケースも目立つと言っています。実は腎臓病も、専門医と私のような非専門医では全く違うことを言ってしまうこともあります。しかも、腎不全は是が非でも避けなければなりません。
ということで、少し離れているのですが、私の知っている先生に紹介状を書くことにしました。もしかしたら、すぐに検査入院になるのかなとも思いました。私の場合は、腎臓の専門の先生がどれだけ自分よりも知識や技術をお持ちか、知っているつもりなので、それだけの「差」を知っていて、紹介しないのは“気持ちよくない”のです。後ろめたい気持ちになるのです。
数日前に紹介状の返事を頂き、専門的な検査項目をチェックし、精査を進めていくと記載されていました。その前に、血尿を来す別の病気を超音波検査で否定しておきたいとも書いてありました。
恥ずかしながら、私はIgA腎症の方ばかりに目が向いていたため、超音波で別の病気をチェックすることが頭から抜けていました。尿の専門的な検査項目も聞いたことはあっても、どれくらいの値なら異常かどうかさえも分かりません。
腕の確かな専門医に紹介することで、否定すべき別の病気を確認し、的確に診断して頂けるものと確信しました。患者さんにはちょっと遠かったものの、最悪の場合、腎不全に至る可能性もあるので、腎臓病が専門でない私にとっては、専門医に紹介状を書くことで、今回の患者さんには最善を尽くしたと思っています。
医師同士が互いの専門領域を活かし、専門医の知恵をお借りし、患者さんのためにベストを尽くす医療は、やっぱり気持ちがいいなと思いました。
周囲は、小児科医なら何でもできると考えていらっしゃる親御さんも少なくなく、アレルギーの症状が良くならないのは、敢えて言えば医師側の問題であることも多いのですが、それに気付いていない患者さんも少なくありません。
患者さんを専門医に紹介するという選択肢がベストであることもあるのです。地元の患者さん達に、それを気付いて頂く努力もしていかなければならないと思っています。


