先日もお伝えしたように、今週末の土曜は休診にさせて頂き、横浜で開催される学会に行ってきます。
アレルギー関係の学会というと、日本アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、日本小児難治喘息•アレルギー疾患学会、また食物アレルギーに特化した食物アレルギー研究会などがあります。
日本アレルギー学会は、小児に限らず、成人ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎など、内科医、皮膚科医、耳鼻科医などの医師の集まるアレルギーに関する大きな学会です。勤務医時代は、何度か発表も行ってきましたが、開業医になって、しょっちゅう休む訳にもいかず、絞って参加しています。
欠かさずに参加しているのは、日本小児アレルギー学会と日本小児難治喘息•アレルギー疾患学会、食物アレルギー研究会です。私自身は、小児科医ですので、小児科が中心でアレルギーの学会には参加したいと思っています。
今週末に開催される日本小児難治喘息•アレルギー疾患学会は、難治なアレルギー疾患を扱う学会であり、看護師、養護教諭などいろんな立場から発表があります。通常の学会とはひと味違った趣がありますが、皆がアレルギーの子どもを何とかしようと一生懸命なのが感じ取れます。とても刺激を受けるので、つい参加してしまいます(笑)。
この学会は、以前も書きましたが、私自身も思い出があります。私の診ていた中学生の陸上選手がレースの最中に呼吸困難を起こし、才能がありながら、思うような成績を残すことができないでいたのです。普通は「運動誘発ぜんそく」といって、運動することでぜんそく発作が起きているのではないかと考えます。しかし、それを想定して治療しても、抑えることができませんでした。
そうなると「運動誘発ぜんそく」ではない可能性を考えなければなりません。できれば、実際に症状を見て確認する必要が出てきます。
勤務医時代のことでしたので、病院内の運動負荷をかける機械の上を走って頂きましたが、もともとがアスリートで、体力が有り余るほどあることもあり、症状を再現させることができませんでした。
だったらと、私が外に出向いて、患者さんに学校周囲をハイペースで走ってもらいました。軽く症状が出ましたが、聴診器でも、肺機能検査でも異常は指摘できませんでした。完全に八方ふさがりの状態に陥ってしまいました。
そこで私の思いついたことが、学会でこの患者さんの経過を発表し、経験豊富な先生方からアドバイスを頂くことでした。その場をこの日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会に選んだのです。
あまり「診断できないので教えて下さい」というような発表を行う医師はいないので、とても恥ずかしいことだと思っていましたが、頼ってくれる患者さんを何とかせねばと思っていたので、そうする決意をしました。
発表後、4人の先生が手を挙げて下さり、「声帯機能不全」という意見を頂きました。これは私も不勉強で知らなかったのですが、難治性のぜんそくと誤って診断されることがある病気です。ストレスの関与が指摘されています。確かに、この患者さんは、プレッシャーのかかるような大きな大会の時に症状が出やすく、小さな大会ではのびのびと走り、いいタイムが出せるのです。
この「声帯機能不全」という病気は、県内には治療経験のある病院がないようで、困っていました。東京まで診察に出向く患者さんは少ないと思いますが、親御さんがお子さんに簡単には陸上を諦めて欲しくないと願ったこともあり、国内で治療経験の豊富な東京の病院に紹介状を書くことにしました。
実は後日談があり、「声帯機能不全」として治療を受けても良くならず、別の病気が見つかります。日本でも報告のほとんどない珍しい病気でした。当時の主治医の先生とは、それをきっかけに今でも仲良くさせて頂いています。
このケースでは、私の力不足で病気の診断さえ付けられませんでしたが、昨日の話はないですが、気持ちいいと感じるくらいベストは尽くしました。いい思い出ではあります。
ちなみに彼は、中学を卒業した後、県内では駅伝で有名な高校に進学します。陸上を諦めずに済んだのです。専門でない医師が診ていたら、「陸上を諦めろ」と指導されていたかもしれず、必要最低限の役割は果たせたのかなと思っています。
かかる医師によって、患者さんの運命はどうにでも変わるものかもしれません。子どもの未来に制限をしないように努力するのが小児科医の役目だと思っています。自分で言うのも何ですが、医療には技術や知識の差も大きいのですが、責任感の差もあることを親御さんに理解して頂きたいと思っています。


