小児科 すこやかアレルギークリニック

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とりあえず対症療法
2011年05月31日 更新

日頃からぜんそくやアトピー性皮膚炎の誤診が多いと言っています。

例えば、“乳児湿疹”と診断されて、何度通院しても良くならなかった患者さんが当院を受診されたとします。私がやっているのは、まずアトピー性皮膚炎の診断基準を満たすかどうかを確認し、満たせば「アトピーと診断されます」と言っています。

その場合、病気の頻度や悪化要因として食物アレルギーも考えられること、ステロイド使用の是非、予後も話しています。逆にアトピーと診断されたからこそ、注意すべき点を指摘できるのであって、“乳児湿疹”と言われている限りは注意点すら分からないことになります。

まず「診断」が大事なことになります。診察室でこんな話をすることがあります。「例えば、お母さんが胃の調子が悪いとします。本当は「胃潰瘍」なのに「胃がん」の治療されたら困りますよね?。胃の調子が悪いからと、最悪のケースを考えて対応したと言われても、患者さんには迷惑しかかかりません。」

胃潰瘍には胃潰瘍の治療があるのであって、胃の調子が悪い原因を追及して、その病気に見合った治療をしなければ意味がないと言えます。全く同様のことがアレルギーについても言えて、アトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”、ぜんそくを“風邪”、“マイコプラズマ”と言われている限りは、適切な治療ができず、症状も改善しないことになります。

診断をきちんとしない医療は、レベルの低いと言わざるを得ません。私もいつも正しい診断ができているとは限らないと思いますが、アレルギーでもアレルギーでなくても診断をつける努力はしているつもりです。

先日、当院で診ている患者さんが、発熱と嘔吐、下痢があり、お母さんも仕事を休めなかったため、他の医療機関を受診されたそうです。胃腸炎と診断され、点滴を受けたそうです。熱が続き、ぐったりしていても、それ以上の精査はなかったそうです。

今、地元では胃腸炎が流行っており、そのうちの一部で症状の強いものは、ロタウィルスが原因しているようです。胃腸炎は、悪くなるのも早いけれど、回復も早いのでじきに改善してしまいます。しかし、ロタウィルスとなると話は別です。

高熱も続くことが多く、嘔吐や下痢も頻回になり、ほとんどの患者さんが脱水症状を呈します。この前、受診された患者さんは39度台の熱が出たと思ったら、その日のうちに15回嘔吐し、10回下痢をして、結局入院になりました。つまり、同じ胃腸炎であっても、重症度は別物です。

ロタウィルスかどうかは、便をもらえばどこの小児科でも簡単に調べることができます。当院でも、最近はロタウィルスが検出されることが多く、ロタウィルスは知名度が高いせいか、大抵の親御さんが「ロタが出ましたか…」とガッカリされます。

先程のアトピーの話ではないですが、ロタウィルスと診断されて、強い脱水症状を起こす可能性が高いこと、入院のリスクもあること、感染力が極めて高く、他児にうつりやすいことなどなど注意を喚起できるのです。

当院では、軽ければ調べませんが、強めの症状が出ている場合はロタウィルスを調べるようにしています。胃腸炎と診断されて、熱や嘔吐を繰り返せば、親御さんは不安になります。ロタウィルスに対する特効薬がないとは言え、的確に診断することは、親御さんに安心を与えることができると思っています。

ちなみに他院で調べられず、胃腸炎と診断されていたお子さんは、翌日当院を受診して下さり、便からロタウィルスが検出されました。高熱や繰り返す嘔吐、ぐったりしている原因がロタと分かり、ホッとされていました。ロタはほとんどの小児科が調べていると思うので、先のケースはなぜ調べられてなかったのかは、よく分かりません。胃腸炎は胃腸炎だし、点滴をすれば同じと思っているのかもしれませんが、同じじゃないと思います。

原因を追及することで、親御さんに安心を与える努力は、小児科医にとって不可欠と思います。先日も2ヶ月も咳が止まらないという理由で当院を受診された患者さんがいらっしゃいましたが、前医では風邪と言うことで同じ風邪薬が出され続けていました。敢えて言えば、風邪と決めつけて、原因を追及しようとしなかった結果だと思っています。明らかなアトピー性皮膚炎なのに、乳児湿疹と言い続ける医師もいますが、これも同じだと思います。

時々触れているRSウィルスも、開業医が外来で調べると医院の持ち出しになります。それを理由に調べない医院さんもありますが、当院では調べています。患者さんに真実を伝え、安心を与えるためには必要なことで、医院の損得という問題ではないと思うからです。

熱が出て、咳が出るとすぐにマイコプラズマと診断する医院さんもあるようですが、症状が改善しないと当院を受診されることが多いのですが、そのほとんどがマイコプラズマではありません。マイコプラズマは抗生剤の内服が著効することが多いのに、なぜか点滴を繰り返されています。治療して良くならなければ、診断が間違っているのではないかと考えるべきで、他に原因を追及しなければならないはずです。

原因を追及しない、診断を付けようとしない医療がある限り、地元の医療レベルは上がらないと思います。「とりあえず対症療法」といった医療をなくしていかなければならないと思っています。