小児科 すこやかアレルギークリニック

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少し躊躇したが
2011年06月02日 更新

当院の「食物負荷試験」の状況をみていると、ピークというか、患者さんが集中するのは3月、4月のようです。

それは新年度が始まり、アレルギー診断書の提出を求められるからだと思います。5月に入り、減ってはいますが、実施している火曜、木曜、金曜は複数の負荷試験の予定が入っています。

「食物負荷試験」は、いつも言っているように、アレルギー検査の値だけでは食べられる・食べられないの判断ができないので、医師の目の前で食べてみて、シロクロを付ける検査です。

当院の場合、「食べて自信をつけて頂く」のが主目的なので、クロの可能性が高いと判断されれば、負荷試験はやらないようにしています。多くの患者さんが、シロとなります。しかし、シロのはずと思ってもクロという結果になることもあります。

クロと言っても、蕁麻疹が少し出る程度のものもあれば、当院では稀ですが、蕁麻疹が広範囲に広がり、喘鳴も聞かれることもあります。これは定義上、「アナフィラキシー」と診断されます。

更に重い、「アナフィラキシーショック」は血圧が下がるような危険な状況ですから、これは避けたいところですが、負荷試験を行う時点で「アナフィラキシーショック」に至る可能性はあります。ちなみに当院では、まだというか「アナフィラキシーショック」の経験はありません。

「アナフィラキシー」は頻度は少ないですが、当院でも稀に起きています。蕁麻疹と咳、蕁麻疹と嘔吐のように二つの臓器に渡って症状を来すものが「アナフィラキシー」なのですが、負荷試験を多くやっていると、軽いものと重めのものがあるように思います。当然治療にも反映して、飲み薬で治まってしまうものから、「エピペン」と同じ成分の「アドレナリン」という注射を行わなければならないケースもあります。

「アドレナリン」の筋肉注射をやらざるを得ない時は、強めの症状を起こさせてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。

もちろん、こうなった場合は、速やかに症状を抑えようと一生懸命対応しなければなりません。アレルゲンをしばらく除去していた患者さんに負荷試験をした場合、こんな症状が起きると、親御さんも「まだこんな症状を起きてしまうんだ」と驚かれます。「アドレナリン」の注射をした場合は、どんな効き方をするのかよく見ていて頂きます。本物の食物アレルギーがある場合、家でも同じようなことは起き得る訳で、その時に速やかに対応できるように、院内での様子を冷静に観察して頂いています。

そこまでやって「食物負荷試験」をやっている専門医の責務を果たしていると言えると思っています。

その反面、私が食べようと勧めて、症状を誘発させてしまった訳ですから、正直言って落ち込みます。1週間に何人も負荷試験希望の患者さんがおりますので、「またアナフィラキシーを起こさせやしないか」と心配になります。

ただ、私が「食物負荷試験」を止めてしまったら、新潟県の食物アレルギー医療は、また元通りになってしまいます。それは許されないと思っています。

先日も、卵白がクラス5のお子さんに卵焼きの負荷試験をして、何事もなく食べられました。その少し前にアナフィラキシーを起こしたお子さんがいたので、負荷試験を少し躊躇したのですが、これまで1000件くらいやってきた手応えが「いや、やろう」と決断させました。勝てば官軍ではないですが、負荷試験をやって良かったと思っています。

今後も慎重に適応を判断して、負荷試験を進めていこうと思っています。