最近の外来では、ぜんそくの調子がやや悪いという患者さんを目にすることが多いようです。
ぜんそくは季節性に悪化しやすく、9月、10月に発作を起こしやすく、それに次いで6月も多いのです。ただ、日頃から治療している患者さんは重い発作に至ることはないようです。
それと同時に増えているのが、アトピー性皮膚炎の悪化した患者さんです。急に暑くなったせいで、汗をかきやすくなっています。体や膝、肘のアトピーの皮疹が悪化したと受診する患者さんが増えています。
子どもは痒いと思ったら、とことん掻き、血が出るまで掻き壊すこともあります。その傷から菌が入ると「とびひ」になり、ヘルペスウィルスが入ると「カポジ水痘様発疹症」になります。
重症な場合は、カポジを併発しやすく、何度も繰り返す場合もあります。ヘルペスウィルスは水ぼうそうウィルスの親戚なので、水ぶくれが特徴的です。皮膚に水泡が局所的にプツプツと出ていれば、カポジ水痘様発疹症と診断するのは難しいことではありません。ちなみに、水ぼうそうの時に使う抗ウィルス薬を使って治療します。
先日、当院で診ているぜんそくとアトピーの患者さんが左側の頬を腫らして受診されました。痛みもあるようです。また、両まぶたも赤く腫れています。普通、皮膚が盛り上がって腫れる時は、皮膚に細菌が入る「蜂窩織炎」を考えると思います。
目から黄色い汁が出ると言うことで、親御さんも心配されており、「これから眼科に行く」とおっしゃっていましたので、抗生剤を処方し、目は眼科の先生に委ねることにしました。
蜂窩織炎はひどければ入院することもあり、何とか軽快して欲しいと思っていましたが、翌日左側の耳の後の部分が腫れたと言って再診されました。眼科からは重症のアレルギー性結膜炎という診断だったそうです。
耳の後側というと乳様突起といって、骨の空洞がいくつもあり、そこが化膿してしまうと乳様突起炎という病気であり、間違いなく入院加療が必要になります。頭部CTなどの精査が必要と考え、患者さんの自宅に近い方の総合病院に紹介状を書きました。
翌日、たまたま市の乳児健診があり、その病院の先生とお会いする機会がありました。紹介させて頂いたお礼を言うと、もう結論は出ていたそうで、意外な病名を言われました。カポジ水痘様発疹症でした。
まず耳鼻科でCTなど精査をして頂いたそうで、異常はなかったそうです。では皮膚科的なものかと皮膚科の先生に診て頂いたところ、カポジだと見抜かれました。私自身、カポジはこれまで何度も治療はしてきましたので、見逃さない自信はあったのですが、私も修行が足りないなと思わされました(涙)。
後日伺ったところ、皮膚科の先生に診てもらう頃から、腫れた部分に水泡が出てきたそうでした。それにしても、カポジの発症前に蜂窩織炎のような状態になるとは知らず、勉強させられました。実は、まぶたの内側に2~3個の水泡らしき所見はあり、それがヒントだったと思います。
私の診たタイミングでは診断が難しかったのかもしれませんが、自分が診断できなかったことは、やはり悔しく思います。悔しく思わなければ成長はないと思いますし、次回こそは適切に診断し、治療に結びつけたいと思っています。


