先週末は、有意義に過ごせました。
土曜は、70キロ離れた街からぜんそく治療で通院して下さっていた患者さんが、最近調子がいいので、そろそろ治療を中止していいかどうかを医学的に根拠のある判断をするために「気道過敏性試験」を行ないました。
開業医で、本格的な気道過敏性試験をやっている小児科は、全国的にも極めて少ないはずです。ただ、当院を信頼してそれだけの距離を通って下さっていたので、あまり根拠のない中止の仕方は失礼に当たります。この検査は、幼児や小学校低学年には年齢的に難しいと思われ、検査のできそうな患者さんには、ほぼ全例やっていると思います。
土曜の午後くらいしか体が空いていないので、土曜の診療の終わった時間に来て頂いています。1時間くらいかかるのですが、早く帰って1週間の疲れを取りたいと思っても、患者さんの期待に応えるためには、それくらいはしないといけないと思っています。
逆に、通院して下さっているぜんそく患者さんに、ベストな判断をするには、私の知識の中ではその検査以外は考えられず、当たり前のことをやっているだけという気持ちでいます。
結果は、発作を起こしやすい気管支の敏感さはかなり改善していることが分かりました。ぜんそく治療を中止してみようと言うことになりました。土曜は、翌日が休みということもあり、患者さんが集中しやすいのですが、気道過敏性試験でよい結果が出ると、診療の疲れも吹き飛びます。
医師の経験と勘に頼るだけでは、よりよい医療はできないと言われています。他院で治療してもよくならない「咳」や「湿疹」の多くは、診断が間違って、治療も適切でないのです。この事実が、経験や勘に頼ってはいけないことを物語っていると思っています。
当院が開院した4年前から比べても、特に食物アレルギーを中心に病気の考え方すら大きく変わりました。ぜんそくの新しい治療薬も加わりました。アトピー性皮膚炎に関しても、最近は「プロアクティブ療法」というやり方が注目されています。新しい知識を求めて、常にアンテナを張っていなければなりません。
普段から食物アレルギーのことを中心に書いていますが、真面目にアトピー性皮膚炎の診療もやっているつもりです。小児科や皮膚科に通院しても良くならないという、結構重症な小学生、中学生の患者さんも増えてきました。中には、かなり重症な方もいて、「もっと良くするためには、どうすべきか」と考えている患者さんもいます。重症なアトピー性皮膚炎の治療を学ぶ機会はないかと思っていました。
実は、日本小児皮膚科学会が23日、24日と横浜で開催されました。23日は診療と気道過敏性試験の予約が入っていたので、24日の日曜日だけでも参加しようと考えました。
プログラムを見てみると、モーニングセミナーといって、朝8時から学会が始まります。車で行くことにしましたが、それに間に合うためには、自宅を朝3時半に出る必要があります。ということで、慣れない早起きをして、出掛けてきました。
無事に間に合い、学会に参加してきました。私も参加したいとは思っていましたが、今回が初めての参加です。皮膚科医が中心の学会のようですが、新潟の小児科医も2名程見掛けました。敢えて言いますが、学会で会う顔ぶれは決まっていて、全く学会に参加していない医師もいます。患者さんは、誰が真面目に参加しているかは分からないため、医療は“ばくち”的な側面も残念ながらあると言えましょう。
地元では、ぜんそくを“マイコプラズマ”、アトピー性皮膚炎を“湿疹”と繰り返し診断されている患者さんも少なくなく、「アレルギー科」の標榜を目安に受診するのは危険な場合もあることを知っておいた方がいいと思います。地元の患者さんを守るためには、こういうことも認識して頂く必要があると思っています。
先の述べた「プロアクティブ療法」の話に戻ります。
アトピー性皮膚炎のガイドラインには「ステロイドを適切に使う」ようにと記載されています。これまでは、ステロイド軟膏を使い、その後、保湿剤のみにしていくというやり方でしたが、週に2~3回はステロイドを使い、じきに止めることで皮疹が悪化するようなケースも安定させていこうと考え方です。
そちらの方が慢性疾患であるアトピー性皮膚炎の病状をよりコントロールすることができるそうです。より積極的に働きかけるような治療法だと思います。当院で診ている患者さんにも使えそうであれば、適応を考えたいと思っています。
今回の学会で、強調されていたのが、「学校生活管理指導表」です。この30日(土)にこの学校生活管理指導表の幼稚園、保育園バージョンの解説をする予定ですが、小学、中学、高校では少しずつ学校生活管理指導表が普及しつつあります。
これまで皮膚科医は、学校にかかわることはあまりなかったのだけれど、学校生活管理指導表を通して、学校とより関わりを持っていくことが必要だということでした。確かに皮膚科は皮膚のプロですから、逆にこれまで関わりが薄かった方が不思議な気もします。
その学校生活管理指導表は、アトピー性皮膚炎の項目もあり、重症度も書く欄があります。学会の中である先生がおっしゃっていたのですが、重症度が「最重症」だったり「重症」な患者さんは、確かにコントロールが難しい場合もあるでしょうが、適切な治療を受けていない可能性も充分あると言えるということです。
患者さんや保護者が治療を避けていることもあるかもしれませんが、専門医が診ていれば、症状は良くなるはずで、非専門医が診ているとか、「アトピービジネス」と言われる不適切治療を行なっている可能性があるというのです。確かにそうだなと思います。
強行軍だったため、逆に疲れを溜めてしまった週末だったかもしれませんが、いろいろと勉強になった学会参加でした。


