昨日の言ったように、この日曜に日本小児皮膚科学会に初めて参加してきました。
この学会は小児に特化したものですが、参加した感じでは皮膚科の先生が圧倒的に多い印象でした。アレルギー関係の学会にはよく参加していますので、小児科医なら知っている顔が多いはずですが、そうではなかったのです。
実際に学会は、講演をされる講師の先生の他に、一般演題を発表する先生もおりますが、その多くが所属を見ると皮膚科の先生でした。発表を聞いていると、やたらと皮膚の顕微鏡写真のスライドが出てきました。小児科医は、皮膚を取ってきて顕微鏡で見ることはしませんので、新鮮な気分になりますし、皮膚のプロとして、そこまでして診断を確定しようとされているのだなと思いました。
普段診療していると、湿疹が良くならないと、当院に鞍替えされてくる患者さんも少なくなく、皮膚科から逃げてこられる方もいます。
アトピー性皮膚炎なのに、アトピーと診断されていないことも多く、驚いたことに、ステロイド軟膏に不安を持つ親御さんも未だいらっしゃるのに、ほとんど説明されることなくステロイドが出されていることも多いのです。
だいたい、小児科と皮膚科はどこの開業医も、来院患者が多く、待ち時間は長めで、診察時間は短めです。ステロイドの不安を取り除くような説明をしている皮膚科医は少ない印象を持っており(これは小児科も同じですが)、薬の塗り方の指導を具体的に教えてくれる医院は極めて少ないのが現状です。
アトピー性皮膚炎なら皮膚症状を安定させるのがポイントで、昨日話したプロアクティブ療法など、いろんなテクニックがあるのに、症状が良くなっていないのに、同じ薬を出し続けられたり、細菌感染を合併しているのに、その対策がとられていないこともあります。
食物アレルギーがアトピーの皮膚を悪化させることがあることは、小児科医と皮膚科医で合意が得られているはずですが、食事の関与を否定しているかのような先生もおり、いろんな医師がいるものだと思っています。
学会で講師となるような先生はもちろん、一般演題を発表される先生達も、キチンと医学的根拠のあることをやろうとされていて、しかも、まず“診断がありき”の医療をされており、患者さんのために一生懸命に診断をして、適切な治療に結びつけようとする姿勢に感動すら覚えました。
そういう意味でも、二日に渡る学会の日曜しか参加できなかった訳ですが、学会参加費はちょっと高めの17000円でしたが、充分元が取れたと思っています。もちろん、学問上でも、まだまだ知らないことが多いと思い知らされました。
先日、ネットを見ていたら、県外ですが、ある皮膚科の開業の先生のホームページに目が止まりました。そこには「アトピー勉強会のご案内」と書かれていました。
説明を見てみると、普段の診療時間では説明が足りないこともあるため、木曜の12時半から予約制ですが、アトピー性皮膚炎に関する院内勉強会をされているのです。内容は「アトピー性皮膚炎とは」、「標準治療について」、「ステロイドを知る」の3つが挙げられていました。
アトピー性皮膚炎で困っているのは子どもだけとは限りませんで、大人も多いと思います。皮膚科の開業医なら、例えば一人当たりに30分も掛けていたら、1日当たりの人数が診られないため、つぶれてしまいます。診療時間内に説明しきれず、患者さんも消化不良の部分もあるだろうから、それを補うために院内勉強会をされていらっしゃるのです。
こんなすごい先生もいるものだとビックリしました。このクリニックでは「皮膚科」の他に「アレルギー科」を標榜されており、“本物”だと思います。中には、アレルギー科を標榜しているにもかかわらず、ぜんそくの典型的な症状でもマイコプラズマと診断している医師もおり、抗生剤の点滴を繰り返しており、しかもマイコプラズマが流行していると感染症情報も流しているようです。経営でも有利になりますし、もうやりたい放題といった感じです。
この「アレルギー科」にもお勧めと、全くお勧めできない医院さんがあり、“本物”でなければ、こんな手間のかかるようなことはしないはずです。アトピー性皮膚炎で有名な大学や大きな病院では院内勉強会をやって、徹底的に患者教育に力を入れています。アトピーはいまだに誤解も多く、その誤解をぬぐい去らなくては、前に進めないと思うからです。
大きな病院であれば、そういった教育的なことは避けて通れませんが、開業医でもこんなことをされている先生がいるとは思いませんでした。しかも、ホームページによると「参加者1名より実施します」と太線で書かれています。アトピー性皮膚炎に本当に力を入れており、真剣に患者さんと向き合おうとする姿勢を感じ取れるため、最初に目にした時は感動を覚えました。是非とも新潟に欲しい人材です(笑)。
アレルギーは慢性疾患であり、いわゆる風邪や胃腸炎のような病気とは対応が全く異なります。すぐには治らないため、病気をコントロールすることが大切と言われています。言い方を変えると、病気を手なづけてしまう、とも言えると思います。
ぜんそく発作を起こしても、次回の発作を予防しなければならないのに、ステロイドの点滴をして、「発作を起こしたら、またおいで」なんて言うアレルギー専門医の“敵”のような医療をしている医師もいます。アトピー性皮膚炎も診断すら正しくなく、良くなっていないのに同じ薬を出し続け、その結果、医療不信を招いている医師もいます。
そんな中で、今回は皮膚科の開業医の先生な訳ですが、真面目に取り組んでいる姿勢を目の当たりにすると、本当に頭が下がる思いがします。こういう患者さん本位で、“本物”の医療をする医師がもっと増えなければならないのだと思っています。


