小児科 すこやかアレルギークリニック

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お節介
2011年08月02日 更新

いつのまにか8月になりました。巷では夏休みになっているのですね。

診療中に、まだ終わっていないだろうと予想しつつも「夏休みの宿題終わった?」なんて聞いていますが、昨日は2人「終わった」と答えた子がいました。私の子どもの頃から思うと“考えられないこと”です(笑)。

食物アレルギーのアレルギーの専門病院だと、夏休みを利用して「食物負荷試験」の検査をしている小学生くらいのお子さんもいらっしゃるでしょう。

昨日も言いましたが、4年程前に開業し、上越の地に「食物負荷試験」を根付かせようとしていますが、4年という期間は「短い」範疇に入るようで、当院で負荷試験をやっているのは、圧倒的に幼児が多く、小学生はまだ多くないのが現状です。

確かに、この頃の食物アレルギーは、卵や牛乳アレルギーの場合だと、幼児期に比べ、治りにくい印象もあります。また、ピーナッツやソバ、魚などは、治りにくいアレルゲンのため、そんなに高頻度に負荷試験をやるものでもありません。

中には、専門でない先生から負荷試験の存在さえも知らされずに、一生食べられないものと決めつけ、日々必死に除去している患者さんもいると思うと、切なくなります。もしかしたら、本人も食べられないものと思っているので、それを除去することに慣れてしまって、疑問にすら思っていないケースもあると思います。

もし、病気がなければ、つまり、食べても何もないのだとしたら、「病気が作られた」もしくは治っているのに「病気が存続させられている」と言えるのだと思います。

先日、小学生のお子さんにエビの負荷試験を行ないました。以前、カニを食べて症状が出たことがあるそうですが、それ以来、エビも除去しているようです。こういうパターンは結構あるものと思います。

エビもカニも甲殻類に入ります。ただし、エビアレルギーがあれば、カニアレルギーがあるとは限りません。エビアレルギーの患者さんで、カニにも症状が出るのは2/3と聞いたことがあります。逆のデータはよく分かりませんが、“必ずしも”合併していないことは確かでしょう。

巷では、エビアレルギーがあれば、カニも除去するように指導されているケースも少なくないと思いますが、正しいかもしれないし、正しくないかもしれないのです。

患者さんは、それが分からないから、プロである医師に相談するのであって、プロは「食べたら具合悪くなるかもしれないから」という理由で除去するのは、大した根拠のあることだとは思えません。結局、個別に調べるしか方法はないと思います。しかし、「アナフィラキシーを起こしたら困る」などと言って、負荷試験も行なわれていないのが現実でしょう。

繰り返しになりますが、医師のあまり根拠のない発言が、一生の除去につながってしまうのです。こんな大迷惑なことはないと思っています。

今回のケースも、実は少し前に親御さんが「学校生活管理指導表」を持ってきて、「エビとカニを除去するよう記載して欲しい」と言われました。ここで「ハイ、分かりました」と書けば、除去はずっと続くことになります。時間も取られません。

医師が何の確認もせずに、食物アレルギーの診断書とも言える「学校生活管理指導表」を書いてはいけないというか、そこが不必要な除去をなくする絶好のチャンスです。話をよく聞いてみても、エビを除去する理由が私には理解できなかったのです。そこで、時間をかけてエビの負荷試験の説明をし、今回の検査につながったのです。

よく当院は待ち時間が長いと言われます。

待ち時間を短くするのも患者サービスのひとつでしょうが、今回の場合も、言い方は悪いですが“親の言いなり”で書いていたら、誰も見直しすることもなかったことでしょう。待ち時間は短いけれど、誤った指導を医者がしていては、何の意味もないことだと思いますし、そんなのを“医療”とは呼んで欲しくありません。なるべく間違いのない医療をするのが、最大の患者サービスであるはずです。

さて、負荷試験の当日になりましたが、本人は全く乗り気ではありません。「エビを食べれば具合悪くなるに決まっている」、そういう気持ちが大きいようです。

本人の気持ちを考え、持参したエビのかけらを1つ食べさせてみます。足の裏が痒いといいます。よく見ると蚊に刺されたような跡が見えます。中は全く口にしてくれないお子さんもいますが、幸い今回は、本人が口にしてくれますので、緊張をほどくように、少し増やして与えてみます。

最終的に、小さなエビを8匹完食しました。本人の不安も軽減してきたようで、最後はパクパク食べてくれていました。これで、エビアレルギーというのは“濡れ衣”だった可能性が極めて高くなったと思います。

長期間、特定のアレルゲンを除去し続け、精神的に食べられなくなっているお子さんを時に目にしますが、「専門医がもっと早く介入していたら」といつも思います。そうなっても、正しくない指導をしたであろう医師は、また同じ指導を繰り返しているかもしれないのです。

このお子さんは、最終的にはかなり自信もついたようで、「また食べたい」と言ってくれました。子どもの大好きな海老フライも頬張ることができることでしょう。時間をかけて説明して、負荷試験にまで持っていけてよかったと思います。

今の保険診療は、大勢診た方が経営的に“有利”になります。いろんな方針の医院さんがありますので、本来やるべきことを端折り、とにかく短時間で大勢診るという診療をしているところもあるようです。まさにビジネスライクって感じです。今回は、それとは対局にある、ある意味で“お節介”な気持ちが、解除につながったと思っています。

医療はビジネスではないと思っていますし、人とのつながりと考えると“お節介”は必要かと思っています。