小児科 すこやかアレルギークリニック

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2011年08月08日 更新

先週の土曜日は診察の後、ふたりのぜんそく患者さんに検査を行ないました。

成人ぜんそくと違い、小児ぜんそくは治る可能性があります。

まず、小さい頃ゼコゼコ言っていても、小学校に上がる頃にゼコゼコ言わなくなってしまうパターンもありますし、いわゆる典型的なぜんそくであっても、成長とともに発作を起こさなくなり、治ってしまうこともあります。

小児ぜんそくは、以前は8割治ると言われていましたが、最近は5~6割とされています。治る率は下がっていますが、それでも治る確率は、成人ぜんそくよりは相当に高いと言えます。であれば、小児期に治す努力をすることが重要と言えると思います。

当院では、幼児でゼコゼコ言っていても、もちろん重症と判断されなければですが、症状が一旦落ち着けば、治療は止めるようにしています。先程述べたように、だんだん落ち着くケースもあるからです。

小学生くらいになると治る子は治っていくので、それでもゼコゼコ言いやすければ、「黄色信号」だと思っています。体力もついてきて、ゼコゼコしなくなる子が増えてくるのに、ゼコゼコを繰り返すようでは「本当に治ってくれるの?」って心配になってくるからです。

そこで、薬を継続治療して、発作を起こさないクセを付けるよう努力するのですが、しばらく安定した状態が続いたら、いつ治療を止めるべきか?と判断しなければなりません。

いつも言っているように、医学は根拠のあることをやならなければならない時代に来ています。「そろそろ止めましょう」では根拠があるとは思えず、何らかの指標が必要になります。

当院では、その判断材料に「気道過敏性試験」を用いています。読んで字のごとく、気道(気管支)の過敏性を測る検査です。この検査が上手にできるようになるのは、小学校中学年くらいと思われ、ぜんそく自体も治りやすい年齢が12歳前後のため、丁度いいと言えば丁度いいタイミングです。

夏休みは、学校を休まずに検査に受診できるので、この検査の予定者が増えます。ただ、私一人でやっているので、私の体の空く土曜の午後くらいしかできないのです。患者さんと予定を合わせた結果、この日は2件の気道過敏性試験が入ってしまいました。

この検査は、当院ではぜんそく治療を止めていいかどうかの判断する時にしていますが、場合によっては、咳の長引く患者さんがぜんそくかどうかを調べる時にも使えたりします。有効な検査ですが、この検査をやっている小児科は極めて少なく、専門的なため、いつも言うように「食物負荷試験」のように検査の存在すら患者さんには知らされていません。全国的にも、「食物負荷試験」よりは知名度が低いと思います。

土曜の検査は、二人とも10歳前半という意味では共通しており、両方ともしばらく発作は起こしていませんでした。この検査を日頃から行なっている私の感覚では、二人とも治療を止めていいだろうと予想していました。

まず一人目を検査してみると、かなり発作を起こしにくい状態であることが明らかになりました。そこで二人目のお子さんの検査に入るのですが、検査の途中でちょっと咳が出ておかしいなと思っていたら、予想より早い段階でぜんそく症状が誘発されてしまいました。かなり手前の状態で症状が出るということは、相当発作を起こしやすいことを意味します。

実は、この患者さんはスポーツをしていて、真っ黒に日焼けしています。しかも、この夏は県大会にも出場したというくらいなのです。ぜんそくは重症だと、運動誘発ぜんそくを起こしやすくなりますが、運動誘発ぜんそくも見られていないくらいの安定していると思われる状態だったのです。だからこそ、県大会まで行けたのでしょう。

検査結果も、患者さんの気管支の過敏さを表す事実でしょうが、何とも理解し難い、受け入れ難いものでした。ただ、ここで治療を止めてしまうと、発作を繰り返す可能性が高くなると判断されたので、治療を強化の上、継続させて頂くことにしました。

土曜に二人検査をした訳ですが、何でこうも差が出てしまうのだろうと考えさせられました。気管支の敏感さが取れるのに、個人差があるのは知っていましたが、ここ最近は発作すら起こしていなかったにもかかわらずです。

食物アレルギーの患者さんに「2歳まで除去」という小児科医が地元では多いですが、「それは正しくなく、患者さんによっても異なるため、負荷試験で個別に対応すべき」と繰り返していますが、「気道過敏性試験」も「食物負荷試験」と同様にやってみなければ分からない、というのが結論となるのでしょう。

この患者さんも、大した根拠もなく「そろそろ治療を止めよう」と言っていれば、発作を繰り返し、大人のぜんそくに近づいていた可能性も充分考えられたため、事実が分かったという意味では収穫があったと思います。

やはり、アレルギーはパターンにはめてしまうと判断を誤ってしまう可能性があり、個別に対応する姿勢が大切のようです。