小児科 すこやかアレルギークリニック

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2011年10月24日 更新

先日、ある患者さんが当院を初めて受診され、「もう二度と行きたくない」と怒りを露にしていらっしゃいました。

1歳前の赤ちゃんなのですが、食物アレルギーを心配されていました。前医にインフルエンザワクチンが打てるかどうかを相談したところ、「インフルエンザは怖い病気なので、ワクチンは接種すべき」と言われたそうなのですが、親御さんが卵アレルギーを心配していたため、それなら打てないと言うような話になったそうです。

実は、私が話をよく聞いてみても、卵アレルギーはあるかどうかも定かではないのです。親御さんが漠然と食物アレルギーを心配しており、そういう場合は、食物アレルギーがあるかどうかをハッキリさせてから、インフルエンザのワクチンが接種できるかどうかを議論してもいいのだろうと思います。

医師の方も、打って何か副反応でも起こしてしまったら困ると思ったのでしょう。インフルエンザのワクチンの重要性を聞いて、親御さんも接種の必要性は充分理解されています。ただ、接種することでデメリットが大きければ、二の足を踏むのも理解できます。

本来なら、プロが食物アレルギーの有無を示すべきですが、「ワクチンは必要だけれど、打てない」の一点張りで、親御さんも食い下がったというか、何とか心配を取り除いてもらおうと質問をしようとしたそうなのですが、しまいには、「混んでいるから帰ってくれ」という話になったそうです。

このやり取り、皆さんはどう思われますか?。

私には、医師の対応に問題があると考えています。それで、救いを求めて当院を受診されました。親御さんも前医へは「二度と行きたくない」とおっしゃっており、当院に対する期待の大きさを感じるし、多少はプレッシャーも感じます。実は当院は、言い方は悪いですが、こういう尻拭い的なことはよくあります。

卵のアレルギー検査すらされいませんでしたので、卵の検査をさせて頂きました。アレルギー検査だけでは物は言えないのですが、場合によっては「食物負荷試験」で卵を食べて症状が出るかどうかを調べることができるし、重症な卵アレルギーがある場合は、ワクチン自体を使って皮膚テストをし、安全に打てるかどうかを確認する方法もあります。

私から言わせれば、これだけの“根拠”のあることをすれば、親御さんも安心して接種できると思いますし、何よりこれまで重症な卵アレルギーの患者さん達に対し、インフルエンザワクチンの接種を断ったことはありません。それも安心してもらうポイントのひとつだろうと思っています。

前医の先生も機嫌が悪かっただけかもしれませんが、こんなことをしていては患者さん達の信頼を失います。

普段から言っているように、ぜんそくやアトピー性皮膚炎の診断が間違い、治療も誤り、症状が改善しない患者さんが毎日のように当院を受診されます。食物アレルギーも「食物負荷試験」が推奨されているにもかかわらず、ほとんど行なわれていません。

大抵の患者さんが「医師のやることは間違いない」と思って、子どもの健康をかかりつけ医に委ねています。ところが、特にアレルギーになると、ビックリするくらいのレベルの医療が繰り広げられています。

今回のケースも「納得いかない」と当院を受診された訳ですが、中には「そうなんだ。接種は諦めよう。」なんて素直に引き下がってしまう患者さんも少なくないでしょう。逆に、それではいけないのです。

基本的に同業者の足を引っ張るべきではありませんが、患者さんの言うことが100%正しければ、フォローのしようがありません。お子さんを思う親の気持ちが、当院へ足を向けさせたと思うと、納得してもらえるように頑張ろうとこちらも思います。

私は、地元の医療レベルを上げたいと思っています。他にもおかしな医療を沢山見てきました。今の保険診療は、大勢の患者を診れば診る程、利益が上がりますので、だいたい“共通点”があります。

良心的な医療は、時間をかけて納得のいく医療を心掛け、正しい医療をすることで症状が速やかに改善するはずです。おかしな医療の傾向は、やたらと診察が速い、説明が足りない、症状が良くならない、症状が改善しないのにいつも同じ薬が出されている、質問を受け付けてもらえないなどなど、とにかく、タイムロスを嫌うのです。そもそも症状が良くなってもいないのに、説明もほとんどしないなんて“マナー違反”も甚だしいし、先日も触れた、診察中に、すぐ背後に次のお子さんが服を上げて待っているという患者のプライバシーも何もないスタイルも有り得ないのです。

アレルギーに限りませんが、マイコプラズマと診断したらセットのように「点滴しないと治らない」という医師もおり、診察は速いのに、検査や点滴などの処置が多いのも、私には到底理解できません。点滴に通うくらいなら入院加療も考えないといけないのに、ほとんど病院に紹介しない医院さんもあります。

最初は、地元の食物アレルギーのレベルを上げたいと思っていましたが、それがぜんそくもアトピー性皮膚炎もとなり、感染症も必要ない抗生剤が使われていたりして、感染症も地域に正しい知識を広めたいと思うようになりました。今度は、“医師の対応”もと思ってしまいます。忙しいのは分かりますが、「混んでいるから帰ってくれ」は小児科では言うべき言葉ではありません。

今回のケースは、親御さんが悪くないことを、今回のお母さんも含めて知って頂きたいと思っています。地元の医療を良くするには、ついタイムロスを嫌い、医師のペースに乗ってしまいがちな医療を、患者さんの方へ引き戻すことが必要だと思っています。

これらのことを理解することで、地元の医療のレベルは上げられると信じています。