2日は、今月末の養護の先生を対象とした講演の打ち合わせがありました。
呼吸器感染症とぜんそくの最新治療について話をする予定になっています。昨年も地元の園の先生を対象にした小児の感染症に関する話をしましたが、最初に話を頂いた時は、時間が余ってしまうのではないかと心配していました。
アレルギーの話はしょっちゅうしているものの、感染症の講演はしたことがなかったので、間がもつかどうか心配していましたが、杞憂に終わりました。逆に、話したいことが沢山あり過ぎて、時間が足りない程でした(汗)。
今回、呼吸器感染症となると、呼吸器に絞られます。先回は、麻しん、おたふく風邪、水ぼうそう、溶連菌感染症などの一般的な感染症の他、胃腸炎、髄膜炎、とびひ、水いぼなどなど、子どものかかる多岐にわたる感染症の話をしたので、時間が足りなくなったのですが、今回は呼吸器のみです。
それこそ、間がもたないのではないかと心配になるところですが、今回はさほど心配していません。強調すべきことがあるからです。
現在流行中のRSウィルスは、小学生以降はかかっても風邪程度ですので、話す必要はないと思っていますが、インフルエンザの他、マイコプラズマ、クラミジア、百日咳などを話すことになると思います。
地元では、マイコプラズマの迅速検査が多用されています。熱が出て、某医院さんに行ったら採血をして、その日のうちにマイコプラズマと診断されたそうです。
ここまで聞いた時点で、私なら「マイコプラズマじゃないのではないか?」と疑います。何故なら、迅速検査には多くの欠点があるからです。まず、症状が出て7日以内には、結果が陽性になりにくいと言われているため、すぐに検査をして、陽性と出ると「本当かな」とまず思います。
一度、陽性になると、500日以上は陽性であり続けるという報告もあります。某医院さんで半年間で3回もマイコプラズマにかかったと“診断”され、その都度、点滴に通うよう強く言われるそうですが、検査の限界を理解せず、欠点を真に受けているからでしょう。先日、当院に来た患者さんも、点滴しても症状が改善していないのに、点滴に通えと言われたと不信感を露にしていました。
マイコプラズマの診断は、治った頃に抗体が上がってくることが多く、病初期に診断する方法の開発が望まれていました。迅速検査が出た頃は、待望の検査と歓迎されたものです。ところが、最近は「当てにならない」というのが専門医のもっぱらの評価です。もちろん、当たっていることもあるでしょう。でもそうでないことも結構あるのです。にもかかわらず、この検査をもとにマイコプラズマと診断されているようです。
「マイコプラズマが流行っています」という感染情報を信用していないというのは、そういうことからきています。ただ、当院でも間違いなくマイコプラズマであると診断したケースもいて、市内にマイコプラズマの患者さんがいるのは事実でしょう。“間違いない”とされる別の信頼性の高い検査法で確定して、流行情報を流すべきです。
いずれにしても、医院にかかってその日のうちに「マイコプラズマです」と診断された場合は、迅速検査で判断しているはずですから、診断が違っている可能性を考えなければならないのです。マイコプラズマは学童に多い病気なので、医師から診断されて、通院しても症状が改善しなければ、診断が間違っている可能性を養護の先生に考えて頂きたいのです。それを伝えるいい機会だと思っています。
先日、某医院さんで治療しても咳が止まらないという患者さんが当院を頼って受診されました。よくマイコプラズマと診断しているところですが、私は「マイコプラズマかクラミジアだろう」と考え、検査したらクラミジアの方でした。
治療したら、1日目で症状の改善が見られたそうです。前医の方には申し訳ないですが、「医師には実力の差があるって分かったでしょ」と言うようにしています。絶対に症状を良くしたいと思えば、“反射的に判断する”ことなんてできないはずだし、良くならなければ、「何故良くならないか?」と真摯に考えるべきだからです。
最近、小学校高学年のお子さんで百日咳の抗体がかなり低下している割合が少なくないことが分かってきました。実は、百日咳は乳幼児の病気ではなく、成人の報告が増えています。海外では、10歳以降で百日咳のワクチンは行なわれるようになっています。日本もいずれそうしなければならないと思っています。
免疫的に手薄になっている訳ですから、こういう年代で咳が長引いたら百日咳も疑わなければならないという話もしなければならないと思います。呼吸器感染症と言っても、結構と話すことが多いのです。
更にぜんそくの最新治療も話さなければなりません。ぜんそくが見逃されていたり、治っていないのに、治ったと思われていたりします。最近は、ぜんそくかどうかも定かでない頃からアドエアという最強の吸入ステロイドを出されていることもあります。これまでは圧倒的に過小治療が多かったのが、近頃は過剰治療も目立っています。
秋にマラソン大会をやると運動誘発ぜんそくを起こしやすいのですが、逆に見逃されているぜんそくを見つけるチャンスだと思うし、必要な治療を開始するきっかけにもなると思っています。
幼稚園児や保育園児の方が体が弱く、感染症にかかりやすいと思いますが、小中学生では誤解されているマイコプラズマの診断法を正したり、治療すべきぜんそく患者さんをピックアップできるいい機会だと思っています。
10年連続の小児アレルギー学会の発表という“大仕事”が終わったばかりですが、月末の講演は、地元の児童、生徒を守るための“大仕事”と捉え、頑張って準備をしたいと考えています。


