最近、診療と予防接種でハードな毎日が続いています。
寒暖の差で、咳が悪化するお子さんがとても多く、中にはRSウィルスにかかるお子さんもいます。呼吸状態が悪化して入院一歩手前という患者さんも、もちろん入院は避けたいため、何とか入院を阻止する努力もしています。
予防接種も、当院がアレルギーだけでなく、小児科医として認知されてきたこともあり、当院での接種希望者も増えています。
その予防接種も、子どもが泣こうが泣くまいが、片っ端から打ちまくるような無機質なやり方は好みではありません。いつもそうなのですが、「いかに泣かせないか」というテーマのもとに、接種しています。
0歳児は、なるべく速やかに済ませることがポイントのようです。もう少し大きくなると、おもちゃで気を引くと、それに集中している間に打ってしまうと、泣かないことも多いようです。話しかけながら、気をそらすのも有効です。泣いても、諦めずにおもちゃを見せると、すぐに泣き止むことも結構あります。
また、だいたい5歳くらいになると泣かない子が増えてくるように感じていますが、いろいろな個性があって、それを見ながら接種していると、往々にしてただ殺気立った小児科の予防接種も、楽しさも見出せると思っています。
一昨年、3歳だったある男の子に予防接種をやったら、よほど悔しかったのでしょう。目に一杯涙を貯め、「出てけっ」と捨て台詞を残しながら診察室を出ていきました。昨年、4歳になった時は、「今度はどんな面白いことを言ってくれるのかな?」と思いながら接種をしました。この時は大して泣き叫ぶこともなかったのですが、“殺気”を感じて振り返ったら、絵本を振りかざしているところでした…。危うく、仕返しされそうになりました(汗)。そして5歳なった今年は、お互いちょっとドキドキでしたが、泣かずに、上手に終えることができました。ホッとしています(笑)。
医師から「予防接種はできない」と言われたお子さんにも接種しています。N市から転居してきたお子さんは、卵アレルギーと診断され、5歳になるのにインフルエンザのワクチンは過去一度も接種したことはありませんでした。
いつも言うようにアレルギー検査のみで判断されていたので、卵アレルギーがあるかどうかさえも分からない状況でした。食物負荷試験を実施したところ、強めのアレルギー症状が誘発されました。これまでは除去一辺倒でしたが、これで制限する“根拠”が明らかになり、卵成分を含むインフルエンザのワクチンも注意して打たなければいけないことが分かりました。
残念ながら、この“根拠”のある医療をしなければいけない時代に、“根拠”のないことをする医師は少なくありません。卵の加工品でアナフィラキシーを起こしても、ガイドラインにはインフルエンザワクチンが打てないとは記載されていないのです。
インフルエンザにかかったことがあるらしく、接種希望はありました。何かあったら自分の身に降り掛かってきますから「打てない」というのは簡単です。かかりつけとして信頼されているからこそ、接種を希望したのに、前医ではあっさりと断られたそうです。自分ができなければ、できそうな医師に紹介するのが筋なのに、筋を通さない医師も少なくありません。残念なことです。
過去にそういう嫌な経験があったそうですが、アナフィラキシーを起こしたため、皮膚テストの上、接種したところ何も起こりませんでした。
こんなこともありました。ある医院さんで数年前にインフルエンザのワクチンを打ったところ、1週間後に体に細かい皮疹が出たそうです。それを接種したところに相談に行ったら「ワクチンの副反応だ」と診断されたそうです。
接種した1週間後に出た皮疹をインフルエンザのせいだと言い切る“診断能力”に脱帽です。「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」と考えるのが妥当だと思います。ちなみに、小児科のかかりつけで打った訳ではないので、かかりつけである小児科医に相談したところ、「よそで出た副反応のことは分からないので、よそでやってくれ」とあっさり断られたそうです。
そんな邪険に扱われ、親御さんも「もううちの子は予防接種はできない」と諦めていたそうです。一縷の望みを持って当院を受診された訳ですが、1週間後に出た皮疹さえ、インフルエンザのワクチンによるものとは考えにくく、私自身もリスクを避けるために、こういう患者さんを断るのは簡単ですが、それでは上越の医療レベルが上がらないし、「ここで引き受けるのが当院の役目」と考え、引き受けることにしました。もちろん、打っても今のところ変わった症状は起きていません。
申し訳ないですが、モラルというか、良心というか、レベルというか、物足りないと言わざるを得ず、もうちょっと骨のある医療をする医師がいないものかと思ってしまいます。
医師の言うことは「絶対」と思っている親御さんも多いのでしょうが、残念ながら予防接種に関してだけでも、“医師による”ということは覚えておかざるを得ないのかなと思っています。


