急に冷え込んできました。
他の医療機関のことは分かりませんが、当院では咳の患者さんがとても多く、ぜんそくの治療をしているお子さんで、熱もないのにゼーゼーして受診されることもあります。
こういう場合は、いつも「熱を出してくれた方が分かりやすいんだけれど」と言っています。つまり、熱が出た方が、「いかにも風邪を引きました」という感じできっかけがハッキリ分かるので、ゼーゼーしてしまっても致し方ない、という意味です。
熱も出ないのに、急にゼーゼー言うと、親御さんはもちろんですが、治療している方の私もへこみます。ゼーゼーさせないよう一生懸命に予防的治療をしているからです。
あくまで推測ですが、「ライノウィルスでも悪さしているのかな?」と思っています。一般的にぜんそくを悪化させやすいウィルスとして、その代表格がライノウィルスと言われています。
当院でもRSウィルスにかかり、呼吸状態が悪化して入院加療を要した患者さんがいます。RSウィルスがぜんそくを悪化させるのは実感としてあるのですが、研究においては、先のライノウィルスが最多で、その他にコロナウィルス、インフルエンザウィルス、パラインフルエンザウィルスなどが挙げられ、RSウィルスの関与はそれ程多くないと言われています。
日頃、診ているぜんそく患者さんが発作を起こした時は「なぜ悪化したのか?」を考えるようにしています。例えば、実家に行って布団の上でピョンピョン騒いだとか、台風が接近してきて咳も増えてきたとか、「これがきっかけになったのだろう」とできるだけその理由を考えています。最近のようにRSウィルスが流行していると、熱が出て、ぜんそく症状が急激に悪化した患者さんはRSを調べると、かなりの確率でRSウィルスが検出されます。
研究では、ライノウィルスが多いそうなので、できればインフルエンザやRSウィルスのように医院でも調べる術があれば、分かりやすいのにと思っています。
ところで、風邪のことを医学用語で「上気道炎」と言います。健康な人もライノウィルスに感染すると、上気道炎を引き起こします。現在、月末に迫った呼吸器感染症とぜんそく治療の講演の準備に余念がありませんが、呼吸器感染症には「上気道炎」も含まれます。つまり、風邪の話もしなければいけないのです。
よくある咳や鼻、熱という症状を呈する風邪ですが、ここ最近は咳の出る病気の勉強をし直していますので、“たかが風邪”の研究している人もいるのだなと思わされます。データを示しますと、生後6ヶ月から12歳までの小児を対象として、いわゆる風邪と診断された場合、受診後4日で44%が、7日で74%が、14日で94%が改善したと言うのです。確かに、風邪にかかったはずのうちの子も知らないうちに咳が消失しています。
もう少し若い年代の0~4歳の風邪と診断されたお子さんの経過を追うと、大半がじきに治ってしまうものの、5~10%が肺炎などの重症感染症に進展したという報告もあります。毎日、風邪などの感染症を診ている小児科医としては「やや多いかな」という印象もありますが、肺炎など見落とさないように注意しなければならないと感じました。
当院は、他院で良くならない咳の患者さんが集まってきますし、日中の診療でも夜間の講演の準備でも「咳」のことから離れられずにいます。


