小児科 すこやかアレルギークリニック

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コナン
2011年11月26日 更新

ここ最近、ずっとエネルギーを注いできた講演会も終わり、若干力の抜ける思いがしています。

呼吸器に細菌やウィルスが付くと、熱や咳、鼻水が出ると思いますが、主たる症状は「咳」だと思います。

アレルギー専門医は、専門でない小児科医よりは呼吸器疾患の知識も持っています。実際、小児呼吸器疾患学会に所属している先生方は、小児アレルギー学会にも所属しているケースが多いと思います。

呼吸器感染症により咳が長引くこともありますが、ぜんそくでも長引きます。いつも言っているように、正しく診断しなければ、適切な治療はできませんから、長引く咳がどういう病気によって引き起こされているか調べなければなりません。

例えば、結核や百日咳はBCGや三種混合の予防接種をしたからと言ってかからない訳ではなく、逆に症状がオブラートのかかった状況となり、つまり軽くしか症状が出ないため、分かりにくいことがあります。

マイコプラズマも当てにならない検査法で診断を“確定”している小児科医もおり、誤診につながっていることすらあります。クラミジア肺炎も年長児になってくると増えてくると言われています。

心因反応として咳が出ることもあり、今回勉強して知ったのですが、外耳炎という耳の病気が原因で咳が出ることもあると言います。

私も「咳」にはこだわっており、それなりに勉強し、知識は持っているつもりです。当院は他院に通院しても咳が長引くという患者さんが多いため、なおさら咳に関して力を入れないといけないのです。

今回の講演会で、私の知識を披露しようと思ったのですが、参考文献を集めて咳の勉強をし直し、分かりやすいデータがあれば利用し、分かりやすく解説をしなければならないと考えました。

単に「咳」といっても、生理的なものもあれば、持続期間も大事です。明確な定義はないのですが、2週間以内のものを急性、2~4週間を亜急性、4週間以上を慢性とする定義が提案されています。

また、分泌物の有無により湿性と乾性に分けられますし、クループのようにケンケンという犬の遠吠えのような咳もあり、発作性に出る咳もあります。更に、咳の出やすい時間というものがあり、夜に多かったり、起床時から日中に多かったり、夜のみ消失したりと様々です。

つまり、「咳」にはいろいろなタイプがあり、原因も様々と言えます。それを見極めるよう努力する必要があります。

例えば、ストレスで心因性に咳が長引いているお子さんがいて、ある小児科に通っていました。咳止めにはアスベリンなどという薬もありますが、それでも止まらず、リン酸コデインという麻薬系の咳止めが出されていました。更には、ぜんそくを考えたようで吸入ステロイドが出されていました。ぜんそくでないので、咳が止まるはずもありません。ここまでやってダメなら、明らかにこの先生の知識を越えているので、専門医に紹介すべきなのですが、そんなこともありませんでした。

結局、親御さんの方から「医者を代えよう」ということになり、当院を受診されました。先程述べた何種類もの「咳」から導きだした答えが心因性咳嗽でした。ぜんそくの薬も一切中止し、お子さんのストレスの原因を解消することにより、咳はピタリと止まりました。

ちなみに、紹介状を持ってきませんでしたので、前医の先生は、これだけ苦労された咳の原因が分からないままなので、同じ症状の患者さんが来たら、また同じような治療をされるのではないかと危惧しています。

先日も、初診の患者さんが受診されました。市内とは言え、隣の県境の近いのでかなり遠いところからの受診です。近くの診療所にかかっていても良くならないというのが受診の理由でした。市内にはいくつも小児科がありますから、「どうしてうちに?」という思いがありましたが、期待されて受診されたのでしょうから、“こだわり”を示さなければなりません。

“風邪薬”はずっと飲んでいたので、“風邪”でないのは明らかです。風邪なら、風邪薬で治ってしまうはずです。定義上は慢性とは言えませんでした。痰が絡み、昼も夜も出ていたそうです。咳が長引いたのは初めてだと言います。

頭の中で「この病気かな」というものが浮かびました。更なる問診を加えました。「保育園に行っていますか?」と聞くと、行っていないそうです。「周囲に風邪の人はいますか?」と聞くと、お姉ちゃんが風邪を引いているそうです。

私は、多分RSウィルスだろうと考えました。9月から0歳児に限りRSウィルスを外来で検査できるようになりました。このお子さんは1歳なので、医院の持ち出しになってしまいます。ただ、数ある小児科から当院を選んでくれたのだし、多分1時間近くかけて受診されたのでしょうから、是非とも答えを出そうと思いました。

RSウィルスを疑っても、損になるからとあからさまに調べない医院さんもありますが、残念ながら、医師のモラルも落ちたものだと思います。調べてみて、「RSじゃなかったら、どうしよう」という思いもありました。ただ、これまでこだわって咳の患者さんを診てきて、それなりの確信めいたものもあります。

若干ドキドキしながら結果を待ちましたが、結果は陽性でした。つまり、RSウィルスが原因と確定できたと思います。

小児科を受診する理由のトップ2が「熱」と「咳」だと思います。慢性の熱というのはあまり聞かないし、4週間以上も続くことはまずないでしょうから、長引いて親御さん達を不安に陥れるのが「咳」ではないかと思います。

今回の赤ちゃんの場合、診療所の先生は“風邪”と思っていたし、小児科医であってもRSウィルス感染となるとゼーゼー言うものと思う先生も多いと思いますから、分かりづらかったのだろうと思います。

「咳」には様々な性状があり、原因があります。その中から名探偵コナンのように、推理しながら答えを導きだします。あとは、損をしても答えを出したいと言う誠実さも必要かなと思っています。

かく言う私も、先の述べたように三種混合ワクチンで軽症化した百日咳に気付かないこともあるかもしれず、今回勉強し直した咳の知識をもとに、見逃しの少ない医療を心掛けたいと思いました。