小児科 すこやかアレルギークリニック

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重症な果物アレルギー
2011年12月20日 更新

今度、ある中学校にエピペンの使い方の説明に行ってきます。

アナフィラキシーショックに状態に陥り、エピペンを使わざるを得ない状況でしたが、何と原因は果物でした。

果物アレルギーだと、「口腔アレルギー症候群」の患者さんが多いかなと思います。最近は子どもにも増えていますが、成人女性が多いとされています。

果物を食べて、口の中がイガイガしたり、違和感を感じたりします。唇が腫れることもあります。この程度の症状なら、自然に治ってしまうこともあります。

この患者さんは、実は果物は小さい頃から食べていました。普通は、卵や牛乳のアレルギーがあると、成長とともに食べられるようになることが多いのです。食べられていたのに食べられなくなるのは、おかしいと思いませんか?。

実は、からくりがあります。花粉症がかかわっているのです。どういうことかと言うと、花粉症を発症することで、花粉と似た構造を持つ果物を“敵”と誤って認識してしまうのです。それがきっかけとなるので、食べられていたものが食べられなくなってしまうのです。

ただ、口腔アレルギー症候群なら、基本的に症状は口の中だけなのですが、「茶のしずく石けん」で有名になった「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」という病気まで引き起こすことがあります。これは重症な病態として知られている病気です。

「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」は、茶のしずく石けんの時のように、小麦が原因アレルゲンとして最多です。その次がエビ、カニといった甲殻類となるのですが、最近は果物の報告も増えてきています。ちなみに小麦が62%、甲殻類が28%というデータがあり、合わせると90%にもなってしまいます。

食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、10~20代に多いとされます。どういう訳か、園児や小学校低学年くらいでは見られません。原因アレルゲンを食べてから、運動すると腸が揺れて、アレルゲンの吸収が増すからだと思っていましたが、なぜ低年齢の児に見られないのかはよく分かりません。

発症時の運動としては、球技やランニングが1位、2位と多いのですが、何故か「歩行」が3位に入っています。激しい運動をした時にみられる病気だと思っていたので、歩行中にアナフィラキシーを起こした場合、これを食物依存性運動誘発アナフィラキシーと診断すべきかどうかは、判断が難しいところです。

アナフィラキシーを起こしてしまう可能性が高ければ、負荷試験はしない約束になっていたと思いますが、最近は原因究明のために、専門施設では食物依存性運動誘発アナフィラキシーであっても、食べさせて運動負荷をかけ、原因を調べる努力をすべきと言われるようになっています。

本当なら、原因アレルゲンを食べて歩かせてみるのと、食べてじっとしていることの両方を試さないといけないのかもしれません。ただ、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの場合、アレルゲンを食べたあと2時間は運動をしないように指導することが多いので、2時間も歩くことを禁じることはできません。対応がすごく難しいと思っています。

果物アレルギーは、軽いものからアナフィラキシーショックに至るものまであり、運動が関与してくるとかなり複雑で、深刻になってきます。そうならないことを願っていますが、またエピペンを使う可能性はありそうです。

食べられていた果物が食べられなくなることもあるでしょうし、必要な時はエピペンを速やかに打てるようシュミレーションは必要でしょう。現場の理解を深める一助になればいいなと思い、もう少し説明の準備を進めたいと思っています。