小児科 すこやかアレルギークリニック

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ファジーな部分を減らす
2011年12月28日 更新

先週の土曜の午後に中越地方の某市から患者さんが来られました。

当院は、土曜の午後は休診です。休診なのに、何故患者さんが受診したのか?。それは「気道過敏性試験」のためです。

地元の病院でぜんそくの治療を受けていたそうなのですが、以前は入院したこともあるそうです。発作もしばらくないので、親御さんが「いつまで治療を続けるんですか?」とその病院の医師に聞いたら「じゃ、止めてみましょうか」という話になったそうです。

ここまで書くと、「よかったね」と聞こえるのでしょうが、私の感じ方は違います。何を根拠に止めたのかがあまり明確でないのです。しかも、秋という一番発作を起こしやすい季節にいきなり中止になっています。普通は秋が終わってから、中止するなど季節を配慮した止め方をすることが多いと思います。とにかく、本来なら医師が明確な治療中止の基準を持つべきであり、親御さんが言い出さなければ、延々と治療が続いたのかもしれません。

しかも、敢えて言いますが、ぜんそくの治療をしてもらっていたつもりでしたが、使われていた薬はアレルギー性鼻炎などには使われても、ぜんそく治療には用いられていないものでした。

日頃からぜんそくと診断されるべきなのに、“風邪”とか“マイコプラズマ”とか診断されている患者さんが少なくないと言っています。おそるべき実力のアレルギー科を標榜する医師も存在するのです。さすがに入退院を繰り返すような患者さんはぜんそくと診断されているようですが、主治医が明確な治療方針を持たなければ、患者さんに失礼です。そうされていない患者さんを目にすると、正直怒りが込み上げてきます。

ぜんそくは、そう簡単に治る病気はありません。11月末に呼吸器感染症とぜんそくの最新治療についての講演をした時に、いろいろな論文からデータを提示しました。いずれも決して楽観できるものではありませんでした。

現実問題として、専門医が診たからといって、小児ぜんそくは100%治せるものではないでしょう。極めて重症な患者さんは誰が診たって治りづらいのです。ただ、ガイドラインに沿った治療をすれば、かなり良い治療ができるとも思います。専門医でなければ、ガイドラインを無視した治療をされていることもまだ多く、もしかしたら専門医が初期から診ていれば治ったものを、そうでなかったがために、大人に持ち越すこともあるのかもしれないと思っています。

ですから、重いぜんそく患者さんは専門医が診るべきなのですが、そうされていないケースもまだまだ多いようです。

冒頭の話に戻りますが、いろいろ話を聞いてみると、アレルギーの体質も強いようで、他のアレルギー疾患を合併していました。しかも入院歴があり、これまでのぜんそくの治療はガイドラインに沿ったものとはいえない状況でした。しかし、ここ数年は明らかな発作はないようです。

私は「治療を止めていいか」の患者さんの質問の答えとして「気道過敏性試験」をやりましょうと言いました。どういう検査かと言うと、「食物負荷試験」と同じような検査です。

「食物負荷試験」は食品を食べさせてみて、実際にアレルギー症状が起きるかどうかを確認する検査です。「気道過敏性試験」とはぜんそく発作を誘発するような吸入薬を薄い濃度から吸入させて、発作を起こすかどうかを見る検査です。検査のやっていることは、「食物負荷試験」と全く同じなのです。

こう書くと“すごい検査”に聞こえるのかもしれませんが、世界的に認められた検査です。この検査をクリアしたら、ぜんそく治療を中止してもいいくらい気管支の状態は落ち着いていると考えていいと思います。

この検査は全国のアレルギー専門病院では行なわれていますが、開業医でやっているのは全国的にも少なく、99%以上の小児科でやられていないと思いますし、「食物負荷試験」よりも遥かに少ないと思います。当院も医師は一人だけなので、土曜の午後くらいしか時間は取れませんが、根拠のある医療をやるために頑張ってやっています。

先の患者さんに実施したところ、途中で軽い発作が起きてしまいました。やはりまだ発作は起こしてしまう可能性はありそうです。ぜんそく治療はかなりファジーな部分もあるとは思いますが、今回のように専門的な検査をもとにお子さんの気管支の“現状”を示されると、親御さんも分かりやすいと思っています。

このまま治療を中止しても治ってしまうのかもしれませんが、まだぶり返してしまう可能性もあります。どちらに転ぶか分からない状況では、個人的には丁寧に対応すべきだろうと思いますし、もう少し治療をした方がいいと判断しました。

日頃から食物アレルギーのことを中心に書いていますが、ぜんそくも自分のかかわる患者さんは100%治すつもりで取り組んでいます。

継続治療して、また「気道過敏性試験」を行なえば、前回の検査よりは改善しているかどうかも分かります。頼って下さる患者さんには、キチンと根拠を示し、将来を見据えた治療を行なっていけるよう努力しなければならないと思っています。