日々、真面目に診療に取り組んでいるつもりです。
上越の地で診療して早4年あまり。とても違和感を覚えることと言えば、「お薬手帳」を見た時に感じます。
他の医療機関を受診していると、薬がかち合ったり、飲みあわせを気にしてでしょうが、患者さんの方から「お薬手帳」を差し出し、「いま、この薬を飲んでいますが、大丈夫ですか?」と言われることがあります。
見ると、小児科、皮膚科、眼科、耳鼻科などからもらった薬が並んでいることがあります。親御さんも忙しいでしょうが、いくつも他の科を回っているようです。
皮膚科ならアトピー性皮膚炎やとびひなど、眼科なら結膜炎による目やに、アレルギー性結膜炎、耳鼻科なら中耳炎、鼻炎などでかかっているようですが、どれも小児科でもある程度は対応すべき病気です。
ある患者さんが年末年始に皮膚に湿疹ができ、心配で休日診療所にかかったそうです。小児科の先生だったようですが、皮疹が分からなかったらしく、「餅は餅屋だから」と言われたそうです。分からないことを分からないと言ってくれる医師が少ないのですが、ある程度は分からないといけないと思っています。
「皮膚科に行って」と言われたようですが、もともと当院がかかりつけなので、当院を受診されました。私も分からなければ紹介状を書くのですが、この患者さんは当院で治療することになりました。
分からなければ、紹介状を書く。こういう習慣があれば、返事に答えが書いてありますから、そこから「こういう時はこう診断すればいいんだ」と分かりますし、次回から自分でも対応できることになります。紹介状を書かない医師が多いのは、学ぶ機会を自らなくしていると言え、勿体ないことをしていることになるのです。
以前も、虫刺されだと思っていたのが、徐々に顔に皮疹が広がり、信頼できる皮膚科に紹介状を書いたら、その先生も虫刺されが難治化したものという返事でしたが、最終的にはヘルペス感染症だったそうです。この経験を踏まえ、似たようなケースではヘルペス感染症が頭に浮かぶように条件反射ができ上がっています(笑)。
最近は、目やにの患者さんを診る機会が多いように思いますが、目に菌がついていると診断すれば、抗生剤入りの目薬を使えば、多くの場合、あっという間に症状は改善します。つまり小児科の処方でもことが足りることがほとんどです。
耳も、もともと急性中耳炎は小児科でも診なければいけない病気の一つだと思っています。鼓膜を診て赤くなっていれば、中耳炎の存在は確実でしょう。時々耳あかが遮って、鼓膜が見えないことがあります。使っている器具の限界もあり、どうしようもないこともありますが、私はピンセットで耳あかを取る努力をしています。
そうするように先輩の医師から習ったのですが、上越では「餅は餅屋」なのか、すぐ耳鼻科に行くよう言われるようです。自分がちょっと時間をかけてピンセットで耳あかを取るだけで、中耳炎の有無が分かるし、患者さんも耳鼻科に行く時間と手間が省ける訳です。
皮膚も、アトピー性皮膚炎は少なくとも乳児期の場合は、小児科医がキチンと対応すべきものです。ただ、かなりの部分で“乳児湿疹”と誤診されており、改善してもいないのに、他院へ紹介すらされていない状況です。
最近、当院で経験した皮膚の病気といえば「ジアノッティ症候群」や「ジベルバラ色粃糠疹」でしょうか。後者は、皮膚科にかかっていたのですが、診断されなかったようです。いずれもある程度は時間がかかる病気で、それを説明することで、親御さんも不安が減ったようです。
当院は、開院当初はほとんどがアレルギーの患者さんでしたが、最近はこういう他科のケースも増えています。小児科医は、ある程度はこういう分野も診なければならないし、他の地域ではキチンと対応している小児科医も少なくないように感じています。
「餅は餅屋」、正しいようでいて正しくない、というのが結論だと思っています。


