小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

間に合いそう
2012年03月02日 更新

つい先日、100キロ以上離れた街からアトピー性皮膚炎の患者さんが受診された話をしました。

最大の目的は、この春に中学に上がるので、それまでに少しでも皮膚の状態を良くしたいというものでした。

もともとは美人になるだろうなという顔立ちなのですが、所々から汁が出てジクジクしていました。身体の方は、ゴワゴワした皮膚が身体の広範囲を覆っていました。

春は出会いの季節です。初対面の人とも多く出会うことでしょう。その場合、どうしても顔に目がいってしまいます。本人も年頃ですし、周囲の大人もイジメの原因になりやしないかと気が気でなかったのだろうと思っています。

いや、既に気が滅入っており、本来の明るさも失われがちだったようです。患者さんはいち早く症状を改善したいと考えていますが、繊細な時期なだけに極力速やかに改善させたいところです。前医にはもう何年も通っていたようですが、残念ながら有り得ないような“治療”がなされていたことは、先日に記載した通りです。

今は3月に入ったところですから、新学期までは1か月しかありません。つまり私に与えられた時間も1か月でした。

私がアトピー性皮膚炎の患者さんを診る上で心掛けていることと言えば、まず診断をつけて、ガイドラインを片手に治療方針を理解して頂くことです。多くの方がステロイド外用薬に不安を持っていますので、不安を取り除くことも重要です。

これまで受診された皮膚症状の悪かった患者さんの多くが、ステロイドに対し大きな偏見を持っていました。また、医師の多くが塗り方の説明をしていないので、偏見を持った状況では、適切な塗り方はできていないと考えます。

今回の患者さんの場合、親御さんも本人もステロイドを嫌っていた訳ではなく、皮膚科医が全く効かないような薬を選択していたが故に、指示通りに塗っていても改善がなかったのです。私の怒りが爆発した原因は、そこにあります。「オレが絶対に良くしてやる」という気持ちすら感じられない処方でした。

先週の木曜日が初診でした。その日の午後は近隣の市にアレルギーの講演に行く予定だったので、午前中の最後に来て頂きました。私としては頼られたら全力を尽くしたいと思っていますので、あれこれと1時間以上は説明などに時間をかけることができました。

医療番組の中でも言っているように、1か月経っても改善がなければ、皮膚アレルギー専門医や小児アレルギー専門医に紹介するのが望ましいと言われています。これを守っている小児科医、皮膚科医は見たことがありません。私の目にしてきた他院の治療は、多くが過小治療で、ガイドラインに沿っていません。要はルールが決まっているにもかかわらず、医師がルールを守っていないのです。

患者さんは、そのなことはつゆ知らず、通い続けています。医療費の削減が問題になっていますが、アトピー性皮膚炎の患者さんの多くが、ガイドライン通りの標準治療を行なう専門医しか診てはいけないルールができれば、相当に無駄な医療費を削減できると思っています。敢えて言えば、無駄な医療費が専門でない医師を潤わせているとも言えてしまいます。

100キロ以上の道のりを申し訳ないのですが、1週間後に受診して頂きました。

ステロイドは、チューブのまま処方するのがルールになっており、大人の第一関節分を出し、それで大人の手のひら2枚分をカバーするくらいの濃さで塗るのが適切な塗り方と言われています。その説明すらしていない医師が圧倒的に多いのですが、初診時に薬の塗り方の説明には時間をかけたし、親御さんも本人も言われた通りにやって、おもしろいように症状が改善するので一生懸命に塗って下さいました。

この場で改善した皮膚の画像を見て頂きたいくらい改善していました。周囲の大人は、これまでの皮膚科医の治療を「何だったのだろう…」と目を丸くしていたと言います。本人は、少しずつ明るさを取り戻してきているようです。

あとは顔に関して言えば、プロトピック軟膏に移行していきます。決して軽くはないので、ステロイド軟膏の減量中に悪化もあることでしょう。よく言うのですが、仮にまた悪くなっても、キッチリ塗れば1週間でいい状態に戻すことができるのは、今回体験済みです。

プロトピック軟膏のヒリヒリや火照りという副作用もやや心配ですが、一旦ほぼきれいになっているので、それも最小限に抑えられるはずです。初診時に「春までには何とか改善させられるはず」と言ってしまったので(もちろん、自信はありましたが)、何とか間に合いそうだとややホッとしています。