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「速くない方が」
2012年03月06日 更新

ここ新潟も、だいぶ春の訪れを感じられるようになりました。

地方は車が主要な移動手段ですが、路面に雪がなく、乾いています。少し前までは吹雪で視界も悪く、出掛けることさえはばかられることもあったので、ようやくこんな季節になったかという気持ちでいます。

ずっと講演ラッシュなどで忙しかったので、家族と出掛けることすらできなかったのですが、日曜はイチゴ狩りに行ってきました。子どもも大喜びで、久々に家族サービスができました。

正直、忙しい日々を送っていると、ストレスも溜まります。リフレッシュはとても重要です。しかし、月曜は患者さんが多く、昼休みも取れない程でした。仕事が終わったのが19時近くでした。もう前日のリフレッシュ分は使い果たしたみたいです(汗)。

最近は、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの新患が多く、救いを求めて受診されています。いつものように診断が間違っていて、指導も適切でないことが多く、それを払拭するにはかなりの労力を使います。説明に30分以上かけることもよくあり、損な役回りだと思うこともあります。

でも私が同じことをやれば、上越の医療レベルは変わらないことになります。少なからず期待して当院を受診されていると思います。園や学校からの紹介、他の親御さんからの口コミもあることでしょう。期待に応えなければいけない立場にあると自覚しているつもりです。

春は出会いと別れの季節でもあります。これまで手塩にかけて守ってきた患者さんが家族の都合で転居されるケースが増えています。そんな中、印象深いことをおっしゃるお母さんがいらっしゃいました。

某市にご実家があるのか、そこの小児科でぜんそくと診断されている患者さんが、しばらく当院で治療を続けていましたが、今度は転勤で某市に戻られるようです。

もともとのいきさつは、実家に戻られた際にゼーゼー言って、近隣の綜合病院に入院したこともあり、先の小児科で吸入ステロイドを使った治療を薦められていました。自宅のある上越市に戻る際に、アレルギーの専門でない小児科に紹介状を持って受診したのですが、ほとんど説明もなく不信感を持たれたようです。

上越にアレルギー専門医は当院しかなく、吸入ステロイドを使った治療をするなら専門医に紹介するのが筋だと思うのですが、残念ながらそうはされていませんでした。結局、当院を受診されることになるのですが、問題意識を持った患者さんの場合、やはり大事なのは治療のビジョンを時間をかけてしっかりと伝えることだと思っています。

私は過剰治療を避けるべきだと思っており、吸入ステロイドは本当に必要な患者さんを見極めて使うことを心掛けています。当初は使っておりませんでしたが、のちに必要と判断し、追加させて頂きました。その甲斐あって、症状はとてもいい状態が続いていました。

そんな状況で、この春に転勤が決まってしまい、親御さんもとても残念そうにして下さっていました。某市に戻る訳ですから、ぜんそくと診断して下さった小児科医にお返しするのが筋ですよね?。

お母さんにそう言うと、「他に専門医はいないのですか?」とおっしゃいます。ある程度は信頼関係ができていたので、本音が聞けたのですが、「診察も速く、話も聞いてくれないので、できれば他の専門医にお願いしたい」とおっしゃるのです。

特にアレルギーは話さなければいけないことが多く、自分で言うのも何ですが、当院よりも説明する小児科はほとんどないのではと思っています。親御さんの不安にも耳を傾けているつもりです。当院のやり方に慣れてしまうと、他院に不安を持つのも分からなくもありません。多少待っても、適確に子どもを診て欲しいという親御さんは少なくないのだと思います。

聞きたいことも聞けないような間柄は、“かかりつけ”は失格だと思っていますので、ちょっと離れていますが、ぜんそくのプロの先生を推薦することにしました。あとは通院できるか検討して頂こうと思っています。

当院には、病気が重症化してから受診される患者さんが結構います。ほとんどが「混んでいるから、別の小児科に行っていたけれど、良くならないので来ました」とかおっしゃいます。頼られて悪い気はしませんが、私自身も好きで待ち時間が長くしている訳ではありません。結局、そういう患者さんも多いので、見逃しは許されず、時間をかけて診療したり、説明することを求められています。

当院に来られる親御さんの多くは、「前の小児科はあっという間に診察が終わった」とか「質問すると怒られた」などとおっしゃいます。結局、必要な説明すらされておらず、話も聞いてもらえない不満を抱えているようです。

中には「とにかく風邪薬さえもらえれば」と言う方もいるでしょうが、特に慢性疾患の場合は、しゃべることが多いため、「診察時間が短い」=「診療のクオリティ(品質)が落ちる」ということは言えそうです。先のお母さんはそれに気付いてくれ、医師の差を理解して下さっており、それは有り難いことだと思っています。

また、この場で書かざるを得ないのですが、誤診や誤った治療が繰り返されており、医師がもう少し時間をかけて親御さんの話に耳を傾けてくれたら、患者さんにとって失礼で、利益のない医療は減るのだと思っています。

私は子どもを守るために一生懸命診療しているつもりですが、巷ではビックリするくらいの、要は研修医以下の医療を繰り返している小児科の医院さんもあり、地元で医療のクオリティを理解して下さる親御さんが増えて欲しいと思っています。