昨日、私の手元に画像のような「学校保健だより」が届きました。
これには私も出てくるのですが、昨年11月に上越の養護教諭の方々を対象とした研修会があり、私は「呼吸器感染症と喘息治療の最新情報」というタイトルで1時間半くらいだったでしょうか、講演させて頂きました。
11月と言えば診療とインフルエンザの予防接種で非常に忙しい時期でした。ただ、この講演も上越の養護の先生の期待もひしひしと感じていたため、そういった関係の本を読みあさり、分かりやすいデータを見つけ出しては、「これは講演に使える」などと考え、講演の直前には準備に余念がない状態でした。
私のアレルギーの講演歴は、10年以上あります。医者になってまもなく、アレルギーの分野に興味を持ちました。まだ若いのに、ちょっとした話を頼まれることもありました。ただ、本格的に力を入れ出したのは平成13年に福岡の専門病院で学ばせて頂いた以降になります。そこで学ばせて頂いた知識を新潟県内に広めるが私の使命だとさえ思いました。
前勤務先では、病院の性格上、情報発信も大切にしていました。「アレルギー研修会」というイベントを開催していましたが、養護教諭を対象に案内を出し、参加を募っていました。ただ、決まった時間内では話しきれないということで「アレルギー研修会」を「喘息研修会」と「アトピー性皮膚炎・食物アレルギー研修会」の2回に分け、年2回のペースで継続していました。
開業してからも、そういった活動は続けたいと考えていました。ただ、一介の開業医が同じようなイベントを開催しようと学校に案内を送っても「何それ」と思われるかもしれず、病院が主催するからこそ「参加してみたい」と思うのが世の常だと思います。やはり、開業医は病院よりも下に見られがちなのでしょう。結局、声がかかるのを待つしかないと思っていました。
私が診療の主体にしているのは「ガイドライン」です。この場でよく触れていますが、ぜんそくならぜんそく、アトピー性皮膚炎ならアトピー性皮膚炎のガイドラインがあり、その道の日本の第一人者の先生が「こうやったら間違いない医療ができる」と言うお薦めの標準的治療を示したものです。
今の時代は、医師の経験や勘に頼るのでなく、医学的根拠(エビデンス)が重んじられます。これもいつも書いていますが、小児科医がこういったエビデンスを重んじているかと言えば、残念ながらそうではありません。ぜんそくが“風邪”や“マイコプラズマ”、アトピー性皮膚炎が“乳児湿疹”などと診断され、食物アレルギーもアレルギー検査の結果で食べられる・食べられないの判断がなされています。
開業してみて、医師がいかに経験や勘に頼り、エビデンスに基づかない医療を繰り返しているか目の当たりにさせられました。中には、ぜんそくを作為的にマイコプラズマと診断し、点滴を強要しているという違法な診療をしているとしか思えない医院さんもあるくらいです。
私がアレルギーのガイドラインに沿った治療を始めたことで、注目して下さったのが地元の養護教諭や保育園・幼稚園の先生方だったと思っています。こちらから話させてくれと言った訳でもないのに、開院した年から講演の依頼が舞い込み、毎年何件も話す機会を与えて頂いています。
実は平成22年に食物アレルギーを中心としたアレルギーの話を地元の養護の先生に話させて頂き、23年には冒頭の呼吸器感染症とぜんそくの最新治療について講演していますので、自分で言うのも何ですが、私の日頃からやっている医療がいかに注目され、期待されているのか分かると思っています。
その時の話の内容は、画像の学校保健だよりに詳細に記載されています。ちょうど愛子さまが熱と咳で東大病院に入院された時期で、その時の東大病院の発表は「マイコプラズマ肺炎の疑い」という診断でした。講演の中で、「東大病院でもマイコプラズマと確定できなかったものを、田舎の開業医がマイコプラズマと診断を確定してしまうのはおかしいと思いませんか?」とお話ししました。皆さん、納得して下さいましたが、巷ではマイコプラズマでないものをマイコプラズマと誤診されている患者さんは、特に上越では多いのを何とかしないといけません。
ぜんそくも“治療の最新情報”を話さなければならず、昨年秋に発刊された小児ぜんそくのガイドラインに基づいた話をしました。市内には、ぜんそくの典型的な症状でもマイコプラズマと診断している小児科医、ゼーゼー言うとすぐにアドエアという過剰治療に当たる薬を出したり、すぐにステロイドの点滴に通わせる医師もいます。皆がガイドラインを少しでも読んでいれば、こんなことにはならないはずです。
養護の先生も園の先生も子どもを扱う職種ですし、子どもが病気ならいち早く改善させたいと思うと思います。小児科医よりも子どもに近い存在とも言え、ガイドラインの内容をある程度知って頂くことで、非専門医にかかっていて症状が良くならなければ、専門医への受診を誘導して下さると思っています。
勤務医時代のように、こちらから案内を出さなければ来て下さらなかったのが、日々真面目に診療に取り組んでいることから、講演の依頼をされるようになり、それが上越市を越えて、中越や下越からも声がかかるようになったのは、感慨深いものがあります。
今回の学校保健だよりを見られる環境にある方は、是非とも目を通して頂きたいと思っています。周囲の大人が関心を持つことで、医療関係者もより勉強せざるを得なくなり、場合によっては独りよがりや悪質とも言えるような医療が減るだろうし、そうさせなければならないと思っています。



