12日(月)から「食物負荷試験」を再開しました。
昨日の触れたように、当院ではこだわって外来で行なっている負荷試験のデータを、日曜返上で入力しています。3月末までに、9月に開催される日本小児アレルギー学会の発表申し込みをしなければなりません。それまでに発表の内容をまとめて、エントリーしなければならないのです。早めにデータを入力し、分析し、発表の一連の流れを構築する必要があります。
開業医は、毎日診療にどっぷり浸かっていますので、日曜くらいはリフレッシュに充てたいところですが、学会だったり、講演だったりが迫っていたりすると、ぶざまな発表はできませんので、日曜はつぶれてしまいます。そこしか時間はないのです。
「日頃、忙しいので学会にも行けない」という医師もいるでしょうが、残念ながら“言い訳”だと思います。開業医でもそれなりの内容の発表もできます。ただし、休みはつぶれてしまうのは致し方ないと思います。アレルギー科を標榜していて、アレルギー関係の学会で一度も顔を見たことのない小児科医が多すぎるのも、「食物負荷試験」など正しい知識が広まらない要因のひとつだろうと思っています。
当院は、負荷試験の希望が集中するのは3月です。何故なら、新年度のアレルギー診断書の提出期限に当たるからです。普段の月曜日は外来が混雑するので、負荷試験は行なっていないのですが、春は希望者が多いので、月曜日も行なうことにしています。
12日は外来が混雑する中、早速2名に負荷試験を実施しました。負荷する食材はもちろん患者さんによっても異なりますが、この日は2人とも卵焼きでした。
既に卵の入った加工品は食べられており、卵そのものの挑戦する日だったのです。卵アレルギーがあるかどうか、もしくは除去する必要がないかどうかを調べるには、加熱全卵1個を使います。要は、卵1個を食べることができれば、「卵アレルギーはない、もしくは治った」と考えます。
当院では、いきなり卵1個を食べさせてみるのではなく、加工品を食べられることを確認してから、“本丸”である卵焼きに挑戦して頂いています。開業医で、しかも外来でやっていますので、アナフィラキシーショックは避けなければなりません。まず外堀を埋めてから、卵1個という本丸に攻め入っているのです。
言い方を変えると、卵アレルギーで卵焼きを負荷するのは、自動車学校の“卒業検定”とも言えます。
患者さんにとって、初めて“濃い”卵を食べるので、予想外に強めのアレルギー症状が出てしまうかもしれません。こちらも正直、緊張はします。アレルギー症状を“絶対”に起こさないことが分かっていれば、負荷試験なんてやる必要がないからです。アレルギー検査で、卵の値が陽性だったのがクラス0になっても蕁麻疹が出たという経験もあります。
増してや、月曜の外来の忙しい中での負荷試験なので、隣の部屋での負荷試験の様子を気にしながらの診療になります。
また、私が気にすることと言えば、ちゃんと食べれくれるか、ということです。開業医の外来負荷試験は、本人も何を食べるかを分かっています。本人が食べてくれなければ、負荷試験は成立しません。
食べてくれないとすると、それがアレルギーのせいなのか、ただ気分的に食べたくないだけなのかと言うことになりますし、卵1個を食べるのが目標なので、途中で食べるのを止めてしまっても、合格とは言いづらいのです。
昨日の負荷試験でも、卵焼きを少しずつ食べ始めましたが、途中でパタリと食べてくれなくなりました…。
母の機転で、別に茶碗蒸しを作ってきてくれていたので、急遽そちらに切り替えました。無事に卵1個分を食べてくれました。食べてくれなくなった理由は、卵焼きは初めて食べるものなので、口に合わなかったのかもしれません。もしアレルギーなら、何らかの症状が出たはずですし、卵1個分は食べられなかったはずです。
この日の負荷試験は、2人とも卵を1個食べられました。これで全面解除かと言えば、そうとも言えません。2人とも人生で初めて卵を1個食べた訳ですが、それが“たまたま”かもしれません。家でも何度か食べて頂き、お母さんも「うちの子は大丈夫だ」と思って初めて、園や学校に「卵の制限は解除して下さい」と言うことができます。
2人のお子さんの頑張りと母の機転のお陰で、幸先のいいスタートが切れました。2人のお母さんも嬉しそうな表情で帰っていかれました。13日以降も負荷試験の予約が入っており、各患者さん、親御さんの笑顔のためにも頑張っていこうと思っています。


