インフルエンザの流行が確実に減っている印象を持っています。
ちょうど卒業式、卒園式のシーズンです。先日、発熱で来られた患者さんは、検査の結果、インフルエンザと診断されました。お母さんから「週末に卒業式があるんですが」と言われ、すんなり解熱すればギリギリ間に合いそうだと話していました。
予想通り、速やかに解熱し、卒業式の前日に登校許可書を取りに来られました。「間に合ってよかったね~」と言い、母も嬉しそうでした。ところが、「担任の先生がインフルエンザにかかっちゃって」と言われ、笑うに笑えない、気の毒なオチがありました。
インフルエンザの流行期は、当院では食物負荷試験は休止しています。ここ最近の流行の減少に伴い、負荷試験を再開しています。
ちょっと話はそれますが、昨年の10月に福岡で日本小児アレルギー学会がありました。朝、会場に入り、エスカレーターに乗ろうと思ったところ、ある人と鉢合わせしました。お互いが「おーっ」と声を上げました。15年以上会っていなかった大学時代の同級生でした。
彼も小児科を志し、東京の名門の病院で学び、海外留学まで経験しており、少し前に地元に戻り開業していることは風の便りで知っていました。学会の合間に、互いの現在の状況を話し合ったのは言うまでもありません。
その中で彼が興味を持ってくれたのは、私の力を入れている「食物負荷試験」のことでした。開業医は、外来にいろいろな病気の患者さんが受診されますが、乳幼児の間に5~10%いると言われる食物アレルギーは、かなりの頻度で診ることになります。いつもこの場で言っているように、食物アレルギーの診療に負荷試験は欠かせません。開業医だからしなくていい検査とは思いませんし、できなければ、正しい判断はできないので、専門医に紹介すべきだと思っています。
私の同級生は優秀で真面目ですから、食物アレルギーの診療に関しては多くの小児科医がそうであるように、少し後ろめたさもあったようです。負荷試験をやることができれば、「家でちょっと食べさせてみて」なんて患者さんに負担をかけるようなことは言う必要がなくなるからです。
先月、19日に当院の負荷試験を見学に来たいという申し出がありました。18日は日曜日、20日は祝日なので、19日を休診にすれば新潟まで来られるという判断でした。彼にも抱える患者さんがおり、電話やメールでやり取りしようと思ったのですが、意志が硬かったのでそうすることにしました。
食物アレルギーにはガイドラインがあり、その本を読めば、負荷試験のやり方が記載されています。ただ、アナフィラキシーショックの可能性もあり、責任を負うことになります。「食べるな」と言っておけば何も起きないため、誰もリスクを抱える負荷試験なんてやりたくないと思っているのだろうと思います。
結局、“良心の呵責に絶えきれない”医師が負荷試験を行なうのだろうと思います。専門医は、専門医としてのプライドや責務を全うするために時間をかけてでも、取り組んでいます。
当院は、アナフィラキシーを起こさない食物負荷試験に取り組んでおり、基本的には先に述べたガイドライン通りのことをやっているのですが、さすがに多くの小児科医が二の足を踏んでいる負荷試験を、ガイドラインを読んだだけではなかなかできません。実際のやり方をみて、学び取るのが効率はよく、私自身も研修先の病院で見て覚えました。
開業している医師が、休診にしてまで勉強に来ることは普通はありません。でも、私の伝え方にもよるのでしょうが、負荷試験のノウハウを学び取って頂ければ、彼の診療の幅も広がりますし、何より食物アレルギーの患者さんに誠実な医療が提供できます。
ということで、19日(月)は私の同級生が医院に見学に来られますので、かかりつけの患者さんにはご協力をお願いしたいと思います。私も伝えられることは十二分に伝えられるよう、頑張りたいと思っています。


