小児科 すこやかアレルギークリニック

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2012年03月21日 更新

18日(日)に大学時代の友人で「食物負荷試験」に興味を持つ小児科医の友人が、来県しました。

飛行機でないと来れない距離なので、新潟空港まで迎えに行きました。当日は上越市に入り、一緒に酒を酌み交わし(と言っても私はあまり飲めません…)、翌日に備えました。

19日は月曜日で、ただでさえ週明けと言うことで外来は混雑しますが、20日(火)は祝日なので、更に混雑が予想されました。ただ、彼も仕事があり、それを休んできてくれているので、「食物負荷試験」も4件実施しました。

卵の加工品、卵焼き、牛乳、エビが食材でした。時に3人とも卵焼きの負荷なんて日もありますので、バラエティに富んでいると言ってもいいでしょう。

私の友人は優秀な小児科医で、日々一生懸命診療しています。食物アレルギーに関しても知識は、新潟県の中では上位に入るくらいです。私のようにウソはつけない性格のようで、常々「食物負荷試験」をやりたいと考えていました。しかし、私のよく言う食物アレルギーのガイドラインを見ても、ホイホイとできる代物ではありません。

彼が言うには負荷試験が広まらない理由のひとつは、「小児科医自身がアナフィラキシーを見たことがないからではないか?」と言っていました。特に開業医は、救急患者はあまり診ませんから、アナフィラキシーすら診たことがないのかもしれません。その点、私の友人は小児救急をやっていたこともあり、アナフィラキシーの重症例も対応してきたそうです。

ただ、負荷試験はだからと言ってすぐに始められるものではないでしょう。やはり誰かが手ほどきをしてあげないと、ゼロからの出発は厳しいと思います。「やり方が分からない」という理由も大きいのだろうと思っています。

負荷試験をやっていない医師は、「アナフィラキシーを診たことがない」、「やり方が分からない」という理由であっても、あれもこれも食べられない患者さんを“放置”している現状は戴けません。評判のいいと言われる小児科であっても、食物アレルギーになると突然、無責任な冷たい態度を取る医師が多いのが現状でしょう。

19日は朝から駐車場が混雑気味で、忙しそうな雰囲気がありました。私としては、診療をこなしつつ、友人に負荷試験の実際を見て、理解して頂く必要があります。ただ単に見るのではなく、どれくらいの量から始めて、どう増やしていくか、そこにどういう思考が働いているかなども知って欲しいのです。

負荷試験は、“全く食べたことのないもの”を食べるというケースもよくあります。患者さんにとっては、海のものとも山のものともつかない訳です。しかもアレルギー検査が陽性ですから、何が起きてもおかしくありません。

となると、「何をどれくらい食べさせるか」ということは重要です。設定を間違うと、いきなりアナフィラキシーショックなんてことすら有り得ます。100%安全な負荷試験はありませんので、いかにそれを100%に近づけるかが大切でしょう。友人など真面目な小児科医にとって、そこが取っ付きづらいところであり、ある程度経験を積んでいるとは言え、私にも難しかったりします。

また負荷試験をやっている小児科医なら経験済みですが、負荷の途中で口の周りが赤くなることがあります。しかし、様子をみていると消えてしまい、続行しても更なる悪化は見られません。赤くなった時点で、負荷試験を中止してしまうと、食べられるものを食べられないと判断してしまうこともあるのです。

結果的に、1人は蕁麻疹が広く出てしまい、処置を必要としました。もう1人は口の周りに蕁麻疹が出てしまいました。つまり負荷試験で、食べられないと判断されました。他の2人に特に問題は起きませんでした。

ちなみに、当院は症状がなるべく出ないように心掛けているため、2人に症状が出てしまうことは滅多にありません。患者さんには申し訳ないですが、友人にはこういうことも起こり得ることを見て頂けたと思います。

大事なことは、症状が出た場合の指導です。目の前で症状が出ているので、当たり前のことですが、それは現実として受け止めて頂くことになります。完全除去か、そこまでしなくていいのかという問題もありますし、誤食により、また同じ症状が誘発されることもあります。その時に親御さんに冷静に対応して頂かなければなりません。

しっかり説明すると診療が中断してしまいますが、それは仕方ありません。そこまでしなければ、負荷試験をやった意味がなくなってしまいます。

実は、1人のお子さんに牛乳を負荷するつもりだったのですが、飲んでくれず、急遽ヨーグルトに食材を変更しました。飲まないと言うのもアレルギー症状だったりすることもあるのですが、最終的にヨーグルトは一個食べられたため、牛乳アレルギーのせいで飲まなかった訳ではなさそうです。せっかく時間を作って来てくださったので、そういう機転も大切だったりします。

19日の夜も食事をしながら、話し込んで負荷試験のノウハウの多くを伝えることができたと思っています。20日は、飛行機で帰るため、新潟空港に送っていきましたが、その間も真面目に語り合いました。

もともと彼の勉強した知識と、今回のことで、1人で食物負荷試験を始められるくらいになっただろうと思っています。増える食物アレルギーの患者さんに対応するためには、外来での負荷試験が大切になってきます。皆が専門病院で入院の上、負荷試験をできる訳ではないからです。これで彼の地元の食物アレルギーの患者さんも、正しい根拠のある医療を受けられるようになると思います。

午後には負荷試験をやっておりませんが、アトピー性皮膚炎やぜんそくと適切に診断されていなかった新患の患者さんも受診されました。友人には一日当院の診療を見学して頂いた訳ですが、仕事を休んで来てくださっただけの価値があったでしょうか?。

風邪や胃腸炎などの一般診療と食物負荷試験を含めたアレルギー診療で、ヘトヘトになりましたが、「身体を壊さないでね」と言われました。実際に比べたことはありませんが、確かに平均的な小児科医の仕事よりは質も量も相当ハードだろうなと思います。

友人の負荷試験が軌道に乗れば、他にも食物アレルギーの患者さんと真摯に向き合いたいけれど、やり方が分からないという真面目な小児科の先生のために、食物負荷試験の見学を受け入れようかしらとも考えています。今回は半分の患者さんに症状が出てしまいましたが、これは例外的と言えます。普段は症状が出ないように工夫した、親御さんに食材を増やす負荷試験をやっており、「これならできそうだ」と小児科医から共感が得られやすいと思っています。

まだまだやらなければいけないことが沢山あるようです(汗)。