昨日、テレビで愛知県の病院が診療報酬を不正に受け取っていたというニュースが流れていました。
看護師の数が多ければ手厚い看護ができるということなのでしょうが、看護師の数を水増しし、国の定める基準を満たした医療体制を敷いているように見せかけて、50億円ものお金をだまし取っていたそうです。
医療費の増大が言われ続けて久しいですが、それは高齢化社会で高齢者がどんどん増えているため、それで医療費が毎年増え続けていると考えられているようですが、実はこんな詐欺的な行為も結構あるのだと思います。多分、氷山の一角に過ぎないでしょうから、それを厳しく取り締まることで、医療費はまだまだ減らすことができるのだろと思っています。
政治の世界でも、増税の議論がなされていますが、まずは無駄遣いの削減をするのが順序のはずです。天下りの問題など何も解決していないし、身を切れということで国会議員の定数を削減するという案もあるようですが、議員は自分の身がかわいいため、議論が全く進んでいません。
医療の世界も、悪質な医療は排除すべきです。この病院には、過去5年間で50億ものお金が支払われていた訳で、何故すぐに分からなかったのでしょうか?。「お医者さんのやることは正しい」、「お医者さんがウソをつくはずがない」なんて考えが根底にあるため、見逃されやすいのではないかと思っています。
結局、今回のニュースのような完全にアウトというものだけが取り上げられ、かなりグレーなものは見過ごされています。
先日、友人と小児科医や皮膚科医は、一見してアトピー性皮膚炎なのに何故“乳児湿疹”と診断するのかということを話した時に「わざとしているんじゃないか」という話が出ました。
ここからは推測ですが、アトピー性皮膚炎のような慢性疾患の診断が一旦付いてしまうと、次回受診した時には「再診料」しか患者さんから請求できません。病気を新規で発症した時に医者にかかると、診断する手間を考え、再診料よりは高い「初診料」を請求できることになっています。
つまり、アトピー性皮膚炎を慢性疾患ではない“湿疹”と診断してしまえば、治りが悪くてまた受診した際に「初診料」を請求できるということになります。わざとそう診断してしまえば、利益が上がることになります。仮に医師の知識や技術不足でそう診断しても、その方が経営に有利になります。
結局、「正直者は馬鹿を見る」という言葉がありますが、医者の世界でも同じことが言え、真面目にやっていると利益が上がらないことになります。ずる賢かったり、勉強不足の方が得をすることになってしまいます。
わざとやっていれば、冒頭のニュースのように「不正受給」となると思いますが、わざとやっているかを見極めるのは至難の業です。やはりお医者さんがおかしなことをするはずがないという前提が、医師の不正を見極める邪魔をしているように思えてなりません。
当院は市内だけでなく、市外からも湿疹が治らないと言う赤ちゃんが大勢受診されています。それ以前に小児科や皮膚科を受診しており、ほぼ全員が“乳児湿疹”と診断され、アトピー性皮膚炎とは診断されていません。
アトピーの診断は、私が勝手に診断しているのではなく、ガイドラインに沿ってそう診断しています。ガイドラインがあるにもかかわらず、多くの医師が揃いも揃って“乳児湿疹”と診断しているのは、とても不思議に思っています。
敢えて言えば、開業してからこういう“医療”を目にする機会が多く、私自身が人間不信に陥っています。親御さんも薄々アトピーと気付いており、私が「アトピー性皮膚炎です」と診断することで、嫌な顔をするどころか、「やっぱりそうですか」と原因が判明することで安堵の表情を浮かべる親御さんがいかに多いことか。
当院は、食物アレルギーの診療に力を入れており、患者さんに「食物負荷試験」の存在を知って頂く努力をしています。県内では多くの医師が負荷試験をやっていないため、検査の存在すら患者さんに説明していません。これと同じような感じなのかもしれません。
つまり、多くの医師がアトピーをみて「アトピー性皮膚炎です」と診断してくれれば、“乳児湿疹”と診断している医師は淘汰されるでしょうが、多くが「乳児湿疹です」と言っているため、“誤診”している医師があぶり出されず、患者さんには真実が伝わりにくくなっていると思います。と同時に、多くの医師が“おいしい思い”をしていることになります。
この場で時々書いている、ぜんそくをマイコプラズマと診断して、「点滴しないと治らない」と半ば脅して思い通りの“治療”をしている医師もいますが、マイコプラズマのイムノガードという検査が診断の確定に使えないことは、昨年の県内の小児科医の間で出回ったメーリングリストを読んでいれば分かるはずで、これもわざとやっているものと思われます。
正しい知識を持った小児科医からすれば、マイコプラズマは点滴をしなければ治らないと言うことは有り得ない話で、当院では多くの患者さんを内服薬で改善させています。しかも、ぜんそくの咳をマイコプラズマと診断すれば、先の慢性疾患ではなく、急性疾患と診断しているので、初診料が請求できます。私から見れば、完全にアウトです。
この春から国は、医療費の抑制のためにジェネリック医薬品をなるべく使うように指導を強めるようです。その前にやるべきことがあるはずです。アウトの医療をしている医師も見かけますが、こういった医師への取り締まりを強化すべきでしょう。
政治のことはよく分かりませんが、政府のやっていることも歯がゆく感じています。医療についても、おかしな医療を減らす努力をすれば、医療費は削減できると思いますし、真面目な医師がもっと腕を振るえるようになると思っています。


