当院は、アレルギーに力を入れていますが、れっきとした小児科医です。
アレルギーで他院に通院しても良くならない患者さんが、上越市はもとより市外からも受診してくださっています。いつも時間をかけて正しく診断するよう心掛け、治療法を説明しています。それだけでも大変ですが、普通の小児科らしい風邪や胃腸炎など感染症の患者さんも大勢受診してくださいます。
これまでの習慣なのでしょうが、熱は小児科、耳や鼻は耳鼻科、皮膚は皮膚科、目は眼科と思っている親御さんが大勢います。はっきり言って、これはおかしいのです。小児科医は耳や皮膚、結膜炎くらいは診なければいけないし、上越以外の地域では小児科医はそうしています。
私は小児科医としてもまっとうなことをやりたいと思っているので、耳も頻繁に診ているし、皮膚も自分のできる範囲内で対応しています。最近は、アトピーでなくても皮膚科に通っても良くならないと当院を受診されるケースも増えてきました。鼻で耳鼻科に通っても良くならない場合も同様です。
ある意味、損な役回りと言えるかもしれません。良くならない時だけ頼られることも結構あります。要は時間のかかる、手間のかかることを任されるということです。ただ、その逆、つまりとりあえずかかるけど、良くならなければ愛想を尽かされ、他の医院に行くという場合もあるでしょう。医師の実力を見透かされている訳で、そうはなりたくないと思っています。
いろいろ診療していると、便秘のお子さんも結構見かけます。たまたま便秘になったというケースが多いのですが、中には常習生の便秘もあり、下剤を連用して便の出るクセをつける治療が必要な場合もあります。
便秘がひどいと、コロコロ便になり、排便時にお尻を拭いた時に紙に血が付くことがあります。それもたまに付く程度なら、様子をみていいと思います。ところが、少し前にこんなケースに遭遇しました。半年前くらいから、しょっちゅう血が付くのだそうです。こんなケースは経験がありません。
診察したところ切れ痔はありそうで、その場合、小さな軟膏を肛門に塗り、傷を治す方法がありますが、それは私も時々使っています。ところがそうしても改善が思わしくありません。
やることはやっているつもりでも、頻回に出血があり、私の手には負えないと判断しました。小児外科の先生に紹介状を書くべきであろうと判断しました。もしかしたら見えない肛門の内側に何か異常があるかもしれません。
いつも言うように、分からなければその道の専門科に紹介状を書くのは医師のルールですが、守らない医師がとても目につきます。医師として成長を放棄しているように思います。何故なら、自分の手に負えないことを専門家にお任せし、紹介状の返事を読むことで「こういう時はこう考えればいいんだ」と学ばせてもらえるからです。
当院はアレルギーに力を入れていますが、紹介がないが故に、同じ医院の医師が同じ誤診を繰り返しているケースをよく見かけます。残念ながら、よくあることなのです。この先生は、ずっと誤診を繰り返すのだろうと思います。信頼して通う患者さんが気の毒でなりません。おかしなことに、医師にはペナルティも何もありません。
肛門からの出血の患者さんは、もしかしたら何か大きな異常があるのだろうと思っていました。返事を待っていると、私の思った切れ痔の診断で良かったようです。確かに軽くはないので、治りが悪かったのでしょう。当院を受診した際に、「なんて言われたの?」と聞くと「薬の塗り方が少ないと言われました」とのこと。
普段、アトピー性皮膚炎の患者さんを診ていて、多くの小児科医や皮膚科医がステロイドを出すことすら説明していないケースあり、話していても塗り方を患者さんに理解してもらう努力をしていません。塗るべき量が塗られておらず、それが故に皮疹が改善しないということが繰り返されています。
いつもフィンガーティップユニット(FTU)という世界基準の塗り方を指導して「しっかり塗らないと効くものも効かないよ」と言っているのに、今回は肛門への塗り方が相当足りなかったようです(汗)。それを聞いて、ともて恥ずかしかったのは言うまでもありません。
ただ、似たようなケースがあれば、今回の赤っ恥の失敗は次回に役立つはずです。医療の世界も「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」と言えるのだろうと思っています。


