小児科 すこやかアレルギークリニック

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「言っちまったな~」
2012年04月10日 更新

クールポコという芸人がいます。

餅つきの格好で、「な~に~?、やっちまったな~」と言うのが決め台詞です。

新年度に入り、食物アレルギーの診断書の記載を求められることが多く、記入するのに結構手間がかかります。

当院の場合は、何日もかかります。「その場で書いてくれないの?」と思うかもしれませんが、ケースバイケースです。子どもの食物アレルギーは成長とともに治ることもあり、昨年食べられなかったと言って、今年も食べられないかは、そういうこともあるでしょうし、そうでないこともあるでしょう。

診断書を求められれば、プロとして、職人として“正しい”ものを書きたいと考えます。多くのケースで、1年前の診断書が「古くなっているのでは?」と考えます。古くなっているかどうかの確認は、「食物負荷試験」を実施することになります。そうしなければ“正しい”診断書は書けないはずです。

県内では多くの小児科医が負荷試験を実施していませんから、親御さんの中には食物アレルギーは治らず、毎年医師から同じ内容の診断書を書いてもらうものと思っている人もいるかもしれません。

こういう勘違いをしている患者さんを減らさなければならないと思うし、こんなことをやられているなら、患者さんが気の毒です。食品を食べることでアレルギー症状が誘発されてしまえば、除去する必要があります。食べても出なければ、除去する必要がありません。それが大原則です。

食物アレルギーの診療は、負荷試験なしにはできない、というのが常識になっています。敢えて言えば、県内では多くの患者さんが適切な医療を受けていないことになってしまいます。まずはこういった現実を知って頂くことから始めなければなりません。

園では給食が出ますから、園でも食物アレルギー症状が出る可能性があります。園側の誤配膳などのミスで、アレルゲンを食べさせてしまうかもしれません。子どもは疑うことをしませんから、目の前に出されれば、素直に口にしてしまうでしょう。

もしそうなった場合、誰の責任でしょうか?。園の管理責任でしょう。では、患者さんが重症で、弁当持参だとします。よく分かったお母さんが作っていますので、中にはアレルゲンが含まれないはずです。しかし、隣の子が「これあげる」と卵アレルギーの子に卵焼きを差し出しら、アレルギー症状は起きてしまうことでしょう。これは隣の子に責任を負えるでしょうか?。残念ながら、園の管理責任が問われるでしょう。

変な言い方になってしまいますが、多くの患者さんが、誤食を覚悟で園に行かせているのだと思います。つまり、園に預ける限りは、誤食する可能性を考えているという意味です。その後の対処が適切であれば、文句を言う親御さんはいないだろうと思っています。

厚生労働省は、食物アレルギーの患者さんが増えているため、誤食の時の対応を園側に求めています。抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬、場合によってはショック改善薬のエピペンを預かり、いざという時に投与するということです。

症状が軽かったり、進展がゆっくりなら、誤食したことを親御さんに謝罪し、親御さんを園に呼んで対応してもらうことが可能でしょうが、重ければ救急車を呼ぶことも必要かもしれませんし、その一方で症状を食い止めることが重要になります。早めの対応が必要になります。園が対処薬を預かり、親御さんの許可を得て、投与することは問題ないとされています。

ところが、ここに根深い問題があります。「医療行為だ」、「違法行為だ」という園があるのです。薬を投与することは、厚生労働省は「医療行為には当たらない」と言っています。つまり、園側が全く国の方針を理解していないと言えます。

私の患者さんは、私が守らなければならないため、これまでこういう壁に何度もぶつかってきました。そして理解を求めてきました。そしてまた、今もこの壁にぶち当たっています。私の患者さんが園との話し合いの中で、国の推奨している対応を断られてしまったのです。

親御さんも必死です。何とか理解を求めようと園と話し合っても、預かる、預からないで平行線を辿ってしまいます。ある園では、親御さんが「誤食も有り得ますよね?」と言ったら、「そんなことを言うのなら、給食中に園で待機してください」と言われたそうです。私には園の管理責任を、親御さんになすりつけているようにしか思えません。

今回の園の対応は「言っちまったな~」という感じです。逆に、そこまで言うなんて、どんな園長なのか興味を持ってしまいました(笑)。

重症な食物アレルギーの子を預かったことがないのなら、それはそれで仕方なく、皆で勉強してどう対応すべきか考えるべきです。ましてや国の定めた方針と全く逆のことを平気で言うことは、恥ずかしくないのかなと思います。更には、自分の立場を危うくしているかもしれず、もっと親御さんの言うことに耳を傾けるべきでしょう。

以前も、ある学校で給食中、親御さんがお子さんに付き添い、食べ終わると帰っていたというケースがありました。学校側からの要求です。さすがにおかしいことに気付いたようで、現在は止められています。こういうのって強要ですよね?。

当院の近隣の市では、国の方針に則り薬を預かる方針が普及しているところです。少し離れると、この有り様です。行政側の指導がしっかりしていれば、こんな患者さんに辛い要求を突きつけることはないはずです。

無理解がどれだけ患者さんや親御さんを傷つけているか、よく考えて頂きたいと思っています。