小児科 すこやかアレルギークリニック

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「胃腸炎」
2012年05月15日 更新

どこの小児科もそうかもしれませんが、月曜が一番ハードでしょうか。

特にこの週末は、学会の準備をして、そのまま月曜日を迎えた訳ですが、充分リフレッシュした週末を過ごした時よりは、正直言って気持ち的にも疲れが残る気がします(汗)。

当院の場合、月曜日は健診、予防接種はやっていません。健診や予防接種は、健康な子に行なうので、気持ちは楽ですし、そう時間も取られません。一方、熱や嘔吐、アレルギーで困ったお子さんが来られると、“戦闘モード”なので見逃しがないように気を遣います。つまり、朝から晩まで気が抜けないのです。

当院は、特に感染症は「改善すれば再診不要」というスタイルを取っています。何度も来てもらった方が医院の経営は潤うでしょうが、毎日ヘロヘロになりながら診療していますので、ある意味“贅沢な悩み”なのでしょうが、いかに受診する患者さんを多くしないかということも考えています。

大人のアトピー性皮膚炎やぜんそくを診ないのも、患者さんが多くなり過ぎて、肝腎のアレルギーで困っているお子さんの対応がおろそかになるのを避けるためです。

先日書いたように学会の準備もしなければならないのですが、150人近い患者さんが受診されると、家に帰ってやることと言えば、飯を食って寝ることです。それしかできません。それから夜中に起きて、夜な夜な学会や講演の準備をやることになります。

最近、新患が多い気がします。咳が長引く、湿疹が良くならない、という訴えが多いのですが、いつも言っているように診断が間違っています。いや、診断すらされていないことも多いのです。残念ながら、診断できない医師に治療なんてできません。その病気に詳しくないから、診断が確定できないと言わざるを得ないのですから。

「診断を確定すること」は「敵を知ること」でもあります。よく言うようにぜんそくを“風邪”と診断されていたり、一部の小児科医は未だに“マイコプラズマ”という診断を繰り返しています。間違ったことをして感謝されるのは、医者くらいだと思います。

更に、マイコプラズマが流行っているなどという感染症情報が流れており、患者さんはそれを信じているという格好です。医師が日々努力し、根拠のある医療をすれば、誤診は減るはずです。一部の医療機関ですが、この地元のレベルの低さを何とかしてくれといつも思っています。

感染症情報によると、今は胃腸炎が流行っているという話ですが、それも一言言いたいと思います。私が心掛けているのは、診断を確定することです。それはアレルギーだけでなく、感染症でもです。

院内で調べられる項目として、インフルエンザ、RSウィルス、ロタウィルス、アデノウィルス(腸炎)、溶連菌、アデノウィルス(咽頭炎)などが挙げられます。これらは小児科外来ではおなじみの感染症であり、短時間で調べることができるのです。

医師であれば、嘔吐や下痢を繰り返していれば、「胃腸炎」と診断します。ただ、その胃腸炎にも名もないウィルスが原因なこともあれば、有名なウィルスが原因なこともあります。名前がついていると言うことは、症状も重く注意すべき相手ということになります。その代表格がロタウィルスでしょう。現在流行中の「胃腸炎」の中に、一部ロタウィルスが原因の胃腸炎が含まれます。

実際、軽い胃腸炎症状ならロタウィルスは検出されないし、熱が出て、嘔吐も下痢も派手な場合は結構ロタが出ます。軽い胃腸炎なら「悪くなるのも早いけれど、治るのも早い」と言えます。一方、ロタウィルスが原因の胃腸炎だと、高熱が続くことが多いし、嘔吐も下痢も頻繁で長引く傾向にあり、しかも脱水にもなりやすいのです。注意点が多く、親御さんには正しい診断を提供すべきと言えます。

当院は、無駄な点滴をしないようにしています。そちらの方が経営は潤うでしょうが、必要のない処置は詐欺のようなものと思っていますので、極力点滴はしない方針です。そういった方針でも、ロタウィルス性胃腸炎の場合は点滴が必要になることが多いのです。一方、ロタウィルスが陰性の場合は、ほとんど点滴はせずに済んでいます。

もう一つ、違いがあるとすれば感染力でしょう。勤務医時代のことですが、ロタウィルスで重症化した患者さんには入院して頂くこともよくありました。別格の感染力を持っていることを知っているので、個室に入院して頂くのですが、それでも別の病気で入院していたお子さんが胃腸炎症状を起こすことがあります。

調べると、ロタウィルスが検出されることがあり、患者さんには申し訳ないのですが、院内感染と考えられます。ドアノブや水道の蛇口などからでも感染すると言われており、そういった苦い経験からロタウィルスの尋常でない感染力には特に注意すべきと思っています。

以上のことから、お子さんが胃腸炎症状で受診された場合で、症状が強いと思えば、ロタウィルスかどうか調べさせて頂いています。もちろん、ロタが検出されれば、普通の胃腸炎よりは注意点が多いし、中途半端に改善した状態で登園を許可してしまえば、その園で一気に広まってしまいます。患者さんや園関係者に対する指導と言う意味でも、ロタウィルスかどうかをハッキリさせることはとても大切なことでしょう。臨床の現場にいる感覚では、その他の胃腸炎も他の子に移りますが、ロタウィルス程の感染力はないと思います。

原因が分かったところで、ロタウィルスに対する特効薬がある訳ではないので、治療には直接結びつかないのですが、これまで述べてきた通り、様々な注意点があるため、手間がかかっても診断の確定に努力すべきです。

明日もそうですが、食物アレルギーの緊急対処薬のエピペンの取り扱いについて県内の各地を飛び回っています。エピペンに限らず、患者さんや園•学校関係者に対するいわゆる「患者教育」は重要です。

胃腸炎と言って、ロタウィルスかどうかを確定する努力をしないのは問題だと思うし、患者教育にもなりません。正しい情報を発信する医師に増えて欲しいものだと思っています。