地道に「食物負荷試験」をやっています。
先日の負荷試験は、3人やった全員が市外の患者さんでした。いつも言っているように新潟県内には負荷試験をやっている小児科がほとんどいないので、市外からの受診も多くなります。
「無駄な除去はさせたくない」、「なるべく周囲のお子さんを同じものを食べさせてあげたい」と思えば、自然と負荷試験をやる、もしくは専門医に紹介するという方向に進むはずですが、残念ながらそこまで考える医師が少ないということなのでしょう。
こういうと同業者から嫌われそうですが、負荷試験の存在を知っていて患者さんにそのことを伝えないのは、ある意味“悪質”だと思っています。なぜ紹介がないのか不思議でなりません。
タイトルの「3と5と6」とは負荷試験をやった患者さん3人のアレルギー検査の結果です。以前、学会の抄録を見ていて、専門医であってもクラス4以上は負荷試験はやりづらいと書いてありました。クラス2とか3の患者さんの方が4以上のお子さんよりも多いので、そういう患者さんに負荷試験をやって頂けるだけでも有り難く思います。ちなみにその発表をしたのは、あいにく新潟県外の専門医です。
負荷試験自体をやる小児科医が少ないので、当院の場合はクラス4以上でも「無駄な除去はさせたくない」、「なるべく周囲のお子さんを同じものを食べさせてあげたい」という気持ちが強いので、あえて負荷試験に挑戦しています。
まず、クラス3のお子さんは卵アレルギーでした。加工品を用い、負荷をするという、まさに9月の学会で発表依頼のあった方法を用いての負荷試験でした。結果はあっさりクリア。同じくらいの濃さの食品なら食べてもよいであろうと説明しました。食材が増えて、お母さんも喜んで下さいました。
お次ぎはクラス5のお子さんですが、小麦アレルギーでした。以前も書きましたが、比較的頻度の高い食品で一番困るのが、小麦アレルギーです。何故なら、小麦は麺類やパンに使われており、子どもの好きなお菓子の材料になっていることも多く、小麦が食べられないと、想像以上に多くのものが食べられないのです。当院で診ている重症な小麦アレルギーの親御さんは皆さん苦労されています。
重症なアトピー性皮膚炎もありましたが、皮膚もようやく落ち着いてきたので、食材を増やしていこうということで、クラス5と高値にもかかわらず、挑戦してみようということになったのです。
小麦アレルギーの場合、うどんを100g食べさせるのが常とう手段ですが、無理だろうと思っていたので、当院得意の加工品を使い、挑戦してみました。
微妙に症状が出たような、出ないようなという感じでしたが、強い症状が誘発されることも予想していたので、かなり頑張ったというのが率直な感想です。私もホッとしました。これを足がかりに、完全除去まではしなくていいのかなと考えています。
最後のクラス6のお子さんは、卵アレルギーでした。ウソのような本当の話なのですが、茶碗蒸しを少し食べているということでしたので、卵1個を使った卵焼きで負荷試験をしました。先の2人は加工品を使った方法でしたが、この患者さんは自動車学校の“卒業検定”みたいなものです。給食では半熟や生卵は出ないので、加熱した卵を食べられれば、一応卒業と言えると思います。
結果は何も起きませんでした。誤解して頂きないのですが、これは例外的とお考えください。やはりクラス6だと症状が誘発されない方が圧倒的に少ないのです。ただ、個人的にはクラス6で卵焼きを食べさせ、何ともなかったのは2人目です。負荷試験を多くやっていると、“例外”にもよく出会います。専門医にかかっていなければ、ずっと「除去」、「除去」と言われ続けていたはずです。
今回のような経験が、他の患者さんに関しても「この子は検査が高いけれど、もしかして食べられるのでは?」という考えにつながります。クラス5の小麦アレルギーも今回挑戦してみようと思ったのは、そのためです。
周囲には「2歳になるまで除去」とか言っている医師もいますが、残念ながら大した根拠のないことです。やってみなければ分からないのです。
こらからも困っている患者さんには、「食物負荷試験」という検査が存在することを広く知ってもらえるよう努力をしていこうと思っています。


