週末、学会のため大阪に行かなければなりません。
学会で最新情報を学ぶことができるのはもちろん、同じアレルギーを志す専門医の知り合いの先生方と話ができることも楽しみにしています。今回は発表はないので、気が楽です。
ところで、昨日市内のある園の先生からお電話を頂きました。今月末にある感染症の講演の件についてです。
なぜ、アレルギー専門医の私に感染症の講演をして欲しいのか?。今回の勉強会は、親御さんを対象にした催しです。一昨年の秋に上越市内の園の先生方を対象に、小児の感染症についてお話させて頂いたのですが、それが好評で、その話を園に通う子ども達の親御さんに聞いて欲しいということだそうです。
市内には、いろいろな医療機関があります。「小児科」が多いでしょうが、「内科・小児科」に行く方もいるでしょうし、鼻なら「耳鼻科」、湿疹なら「皮膚科」に行くことでしょう。
いつも言っているように、ぜんそくやアトピー性皮膚炎の診断すら間違っている医療機関があります。食物アレルギーも「食物負荷試験」の説明すらされておらず、これらの病気にはガイドラインがあるため、どの医師もキチンと勉強していれば、同じ診断、同じ治療方針になるはずです。ところが、様々な医師が、様々なことを言うので、対応に苦慮しており、園という現場が混乱しているのだそうです。
先日、ちょっとビックリした話を聞きました。市内では溶連菌やリンゴ病が流行っていますが、これらは皮膚にも症状が出ることがあるので皮膚科を受診される親御さんもいらっしゃると思います。
ある患者さんが頬が急に赤くなってきたそうです。通っている園ではリンゴ病が流行っており、一応診断の確定のために、患者さんが多く詰め掛ける皮膚科を受診したのだそうです。園の先生も「こりゃ、リンゴ病だね」と予想は全員一致していたそうです。
親御さんも、診断の手助けになればと思い周囲にリンゴ病が流行っていることを伝え、「リンゴ病だと思うんですが」と言ったら、その先生は「これは“絶対に”違う。日光の影響でこうなったんだ。」とおっしゃったそうです。信じ難いと思ったそうですが、北島康介選手ではないですが、この状況では「何も言えねぇ」ということでそのまま帰ってきたそうです。
翌日、納得がいかないと当院に相談に来られたのですが、間違いなくリンゴ病と診断されました。素人でも分かるものを、なぜ評判の皮膚科医が…と思ってしまいます。しかも、診断が誤っているのに、「ありがとございました」と言って、医療費まで支払わねばなりません。残念ながら時間とお金を無駄に使ったということになります。
この先生は、自分の判断ミスに気付いていませんから、また似たような症状の患者さんを「日光のせいだ」と自信を持って診断するに違いありません。これが“医療”の怖いところであり、現場が混乱する元凶となっています。
普通なら頬に発疹が出れば、リンゴ病の可能性を考えます。あとは両腕と両腿を見ると、レース状の発疹が出ていれば、診断は確定できると思います。私も頬だけで、手足に出ていなければ、親御さんには「リンゴ病でないかもしれないけれど、これから手足にも出てくるのかもしれない」と言っています。
私は水ぼうそうの診断ができないことがあります。水ぼうそうは、体中に水ぶくれが現れる病気ですが、水ぶくれの直前は赤い小さな盛り上がった発疹の状態です。一般的には、そういう発疹がパラパラと体に出てきて、それが水ぶくれになります。そこで「水ぼうそうです」と診断できます。
体に発疹が出始めてすぐに受診される場合があります。あまりにタイミングが早いと、発疹が水ぶくれになっていないため、「水ぼうそうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」としか言えないこともあります。
心配で早く受診して下さったので、診断ができないことを親御さんのせいにすることもできません。こういう時は「申し訳ないけれど、まだ診断できず、もう一日待たないと判断できません。」と言っています。いろんな可能性を考えると「絶対に違う」なんて言葉はそう言えるものではないはずです。
先のリンゴ病の話を聞いて、「こりゃ、園の先生も大変だわ」と思いました。当院は、園の先生のお子さんを診るケースも多く、話を聞くと厚生労働省が平成21年に出した「保育所における感染症対策ガイドライン」を参考に、感染症の対策をされているそうです。
ガイドラインには、登園の目安なども書かれているのですが、様々な医療機関の先生が同じ意見になるはずが、そうはなっておらず、場合によっては病気の診断までもが間違っています。親御さんからすれば、信頼しているからその医院さんに行っているのであって、「間違っています」とはなかなか言えません。親御さんにも配慮して「いろんな先生の考え方がありますから」と言っているそうですが、ガイドラインが存在しているにもかかわらず、“いろんな考え方がある”ではおかしいはずです。
私はアレルギーでガイドラインを強調していることもあり、感染症であっても、より根拠のある対応をしたいと考えています。市内には、RSウィルスやロタウィルス、アデノウィルスなど簡単に調べられるにもかかわらず、検査費用や時間ロスを気にしてか調べない小児科医もいます。園の先生はその辺をご存知なので、真面目に取り組んでいると評価して下さった上での依頼なのだそうです。
ひしひしと地元の園の先生方の期待を感じていますので、例えば「こういう発疹を見たら、リンゴ病を考えて下さい」というような話し方をした方が良さそうです。発疹で診断するので、視覚に訴える話をする必要性を感じます。患者さんに協力して頂き、リンゴ病や手足口病、溶連菌の時に見られる発疹もデジカメで撮らせて頂いています。
これは園の先生の狙いでもあるのでしょうが、参加者の方々には、“いろんな考え方がある”のではないことを理解して頂けるよう準備を進めたいと思っています。


