明日も食物アレルギーの講演があります。
ここ最近は1か月に4回くらいのペースでやっており、何気なく数えてみたら、小規模のものも含めると今年で20回目です。こういう活動をやっている小児科医は、かなり少ないと思っています。
当院は、ともすると午前中だけで、例えば新潟市で結構流行っている小児科さんの1日分の患者さんが来られます。そして、午後もまた多くの患者さんを診なければなりません。18時半に診療が終わることもあまりない状況です。
診療だけでなく、啓発活動にも力を入れているため、ハードなスケジュールを送っている、“忙しい”小児科と言っていいのだろうと思っています。5年前に開業医になった時に、これ程の忙しさは想定はしていませんでした。とにかく「アレルギーで困っている子ども達の役に立ちたい」、それしか考えていませんでした。
勤務医時代から、アレルギー専門医と非専門医の間に大きな知識の差があることは分かっていました。柏崎市というところの病院に勤務していましたが、当時から上越市からも患者さんが40キロの道のりを受診して下さっていました。だからこそ、専門医不在の上越のレベルアップを図らなければと思ったのです。
先日、市内で唯一尊敬できる耳鼻科の先生と話す機会があったと書きましたが、耳鼻科の開業医同士の横の連携はほとんどないそうです。小児科の場合も、私がアレルギーの専門医で、アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、ぜんそくに力を入れていることは、周囲の先生方はご存知で、しかも自分の手に負えないアレルギーの患者さんであっても紹介すらしてもらえないということは経験済みです。
プライドだか、経営だか何だか分かりませんが、患者さんが困り果てて結局は当院を受診されているので、「あんなところ、二度と行かない」とおっしゃる方もおり、逆に評判を落とすと私なら考えます。私が専門医として、病状を説明すると「何で同業者同士、連携していかないんですかね?」とおっしゃる方もいるのですが、私も不思議ですが、親御さんの目にもこの現状がとても違和感を持って映るようです。
患者さんにガイドラインに沿った診療を提供していない医療機関も多いのですが、私はガイドラインを作る側の先生の下で勉強させて頂いたので、意地でも正しい知識を広めなければなりません。となると、私の行為が周囲にとっては“ありがた迷惑”になっている可能性はあります。同業者からみると、“嫌われ役”に違いありません。
でも、同業者をとるか、患者さんをとるかと言えば、間違いなく患者さんの味方につきます。それは筋を通してきたので、地元に関しては、多くの養護教諭や園の先生方が各医師の実力を分かってきていると思います。このまま啓発活動を続けて行けば、地元のレベルは確実に上がってくると思っています。
ただ、他の地域は別です。当院は40キロとか70キロ離れた街からもアレルギーの患者さんが受診しており、いつも書いているようにアトピー性皮膚炎が乳児湿疹と診断されており、適切な治療が行なわれていなかったり、食物アレルギーで「食物負荷試験」の存在も知らされずに、血液検査の結果だけで「食べてはいけない」と除去を指示されています。
やはり上越だけでなく、子どもに適切な治療を受けさせてあげたい、正しい知識を持って欲しいと願う学校や保育園・幼稚園の先生方は多く、そういった方々のご協力で、講演の場を与えて頂いております。有り難いことです。
ある街では、私が地元の医師会の所属でないからと勉強会での講師を拒否されたこともあります。その地元に食物アレルギーの専門医がおらず、ニーズがあるから私が時間を作って出掛けようとしているにもかかわらずです。地元の方との連携や働きかけにより、その縛りは取れたため、大手を振って出掛けられます。それにしても、私のやっている啓発活動は、ある方面にとってはどこに行っても嫌われるようです。
先日、中越のM市から患者さんが来られました。食物アレルギーとアトピー性皮膚炎なのですが、M市、N市、T市などの小児科を渡り歩いておられました。食事制限については、血液検査も高くなく、私なら早いところ「食物負荷試験」をやって解除してあげたいと思うのですが、どの小児科でもそんな話は一切出なかったそうです。
その患者さんが当院に来られた理由は、M市の園の先生の紹介だそうで、その方にはお礼を言いたいし、どうして当院のことを知ったのか聞いてみたい程です。本当なら、私のやっていることを知っている同業者が紹介すべきケースです。
それなら、意地でも、そういった地域にも食物アレルギーの正しい知識を広めたいと思っています。70~80キロ離れていると、確かに受診したくても、しづらいかもしれません。ただ食物アレルギーなら「食物負荷試験」の存在を説明しないのは、ルール違反です。患者さんが検査の存在を知っていて、遠いから受診できないと判断されるのは、それはそれで仕方ないことだと思っています。
今月も来月も再来月もしばらく講演ラッシュが続きますが、私自身は嫌われてもいいので、患者さんの方向だけを見て、啓発活動を続けていくつもりです。


